心の健康、企業の財産に
昨年12月に始まった「ストレスチェック制度」で、企業は年1回、従業員の心の健康状態を調べることが義務付けられた。企業は形式的なチェックで終わらせず、実効性のある対策につなげなければならない。ここで改めて制度の内容、導入の背景、課題についてまとめてみた。
Q どのような制度か。
A 「時間内に仕事が処理できない」など厚生労働省が推奨する57の質問に答えてもらい、精神的な負担の程度を点数やグラフにして本人に通知する。従業員50人以上の企業が対象だ。
ストレスが高いと判定された場合、本人から申し出があれば、医師による面接指導を実施する。企業は医師の助言を踏まえて、従業員の業務の負担を減らしたり、就業環境の改善に役立てたりする。
Q 導入の背景は。
A 従業員の健康管理は身体的な側面に重点が置かれてきた。しかし、1998年に自殺者が3万人を超えたことなどを機に、心の健康管理の重要性を訴える声が高まった。
Q 課題は何か。
A 受検率が伸び悩む可能性がある。従業員には検査を受ける義務はなく「プライベートな情報が会社に知られてしまう」との不安を抱く人もいる。発見が遅れれば、職場の課題分析にも支障を来しかねない。
新制度では、受検しないことを理由に不利益な扱いをするのを禁じている。企業側は制度の趣旨を丁寧に説明するとともに、外部カウンセリングを紹介するなど、安心して受検できる体制づくりが求められる。
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