2016年1月17日日曜日

経歴詐称を理由とする解雇及び、損害賠償請求が認められた事例

経歴詐称を理由とする解雇及び、損害賠償請求が認められた事例がありましたので紹介します。

K社事件
東京地裁平成27年6月2日判決

〈事案の概要〉
原告は被告会社に対して解雇の無効を主張して地位確認の訴えを提起した。解雇の理由
は、採用を決定するに際して被告が必要であるとする技術を持っていないにも関わらず、
技術があると主張し(また技術があると主張することによって給与の増額をさせていた)、
日本語ができるとの主張もしていたが日本語能力も必要なレベルになかった。
そこで被告会社は原告に対して詐欺による損害賠償請求を求める反訴を提起した。

〈判旨〉
労使関係は「相互の信頼感家を基礎とする継続的契約関係であるから、使用者は、労働
力の評価に直接かかわる事項や企業秩序の維持に関係する事項について必要かつ道理的な
範囲で申告を求め、あるいは確認をすることが認められ、これに対し、労働者は、使用者
による全人格的判断の一資料である自己の経歴等について虚偽の事実を述べたり、真実を
秘匿してその判断を誤らせることがないように留意すべき信義則上の義務を負うものと解
するのが相当である。」として解雇を有効とした。
「労働者が、前記のように申告を求められ、あるいは確認をされたのに対し、事実と異な
る申告をするにとどまらず、より積極的に当該申告を前提に賃金の上乗せを求めたり何ら
かの支出を働きかけるなどした場合に、これが詐欺という違法な権利侵害として不法行為
を構成するに至り、上乗せした賃金等が不法行為と相という因果関係のあるソンガイにな
るものと解するのが相当である。」として、会社に対して上乗せを求めた金額を会社の損害
として、原告に損害賠償義務があると判示した。

〈解説〉
本件は採用面接時に虚偽の事実を述べて入社した従業員の解雇事例である。求めていた
能力を欠いていたために経営者が頭を悩ます事案は比較的多いのではないかと思われる。
本件は、プログラムを作成する会社に入社した外国人の案件である。求められるのは、
プログラムを作れるか、という点と、ビジネスで使えるレベルの日本語が話せるかであ
る。

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