2018年8月19日日曜日

年休を前倒しで付与した場合の年休時季指定義務の特例の概要を提示

厚生労働省から、平成30年8月9日に開催された「第145回労働政策審議会労働条件分科会」の資料が公表されました。その中で、平成31年4月1日から施行される「年次有給休暇の時季指定義務」について、年休を前倒しで付与した場合の特例に関する資料も公表されています。

 この特例は、省令(労働基準法施行規則)で規定することとされており、今回公表された資料では、省令の条文案に沿って、その内容が説明されています。
【確認】時季指定義務とは?
10日以上の年休が付与される労働者に対し、そのうち5日については、毎年、使用者が時
季を指定して取得させなければならないこととするもの。ただし、労働者の時季指定や計画
的付与によって労働者が取得した年休の日数分については、指定の必要はありません。
<年休を前倒しで付与した場合の特例の概要>
具体的には、次のように規定する案が示されています。
●年休の付与を入社日に前倒しする場合は、その入社日を起算日として1年間で年5日分、取得させなければならない。
●入社日に5日付与し、6か月後に残り5日を分割して付与するようなケースでは、年休の付与日数が10日に達した入社6か月経過後時点を起算日として、それから1年間を時季指定義務の履行期間とする。
なお、その場合で、入社から6か月を経過する前に労働者が取得した年休があれば、その日数を含めて5日までの時季指定でよい。  
●一方、全社的に起算日をそろえる場合は、年休の付与日が異なることで一時的に5日の時季指定義務の履行期間に重複が生じ、年休の取得状況の管理が複雑になることが考えられる。
そこで、「最初に10日の年休を付与した日から、1年以内にある新たに10日の年休を付与した日(全社的起算日)から1年を経過するまでの期間」の長さに応じた比例付与を認める。
労使ともに今回示された内容に特に異議はないようで、同省は平成30年9月にも、省令を改正し、この特例を規定する考えのようです。
詳しくは、こちらをご覧ください。
図解入りで丁寧に説明されています。

改正労働者派遣法の施行から平成30年9月30日で3年経過 注意点や問題点は?

 平成27(2015)年の労働者派遣法の改正から、平成30(2018)年9月30日で3年が経過します。 この改正で特に注意すべきは、「労働者派遣の期間制限の見直し」。

 従来は、秘書や通訳など専門性の高い26業務には期限制限を定めず、それ以外は最長3年とされていました。
 これが、この改正によって、同一の派遣労働者を同一の組織単位(いわゆる「課」など)で受け入れることができる期間が、業務に関係なく最長3年に一本化されました。
 その一方で、労働組合等の意見を聴取すれば、4年目以降もその組織単位に別の派遣労働者を受け入れることが可能とされました(なお、同じ派遣労働者を異なる組織単位で受け入れることは可能)。
 この改正の施行後3年を迎えるにあたって、派遣労働者を受け入れている企業におかれましては、期間制限のルールなどを再確認しておく必要があります。
 知らずに、何の手続きも踏まないまま3年を超えて派遣労働者を受け入れ続けているようなことがあれば、労働者派遣法違反ということになってしまいます。
 厚生労働省からも、再度の確認を促すリーフレットが公表されています。
 詳しくは、こちらをご覧ください。
<平成27年労働者派遣法改正法施行から3年を迎えるにあたっての確認事項【派遣先の皆様へ】 >

 なお、派遣労働者の立場で考えると、これを機に、派遣労働者の雇止め(派遣切り)が多発するのではないかという懸念がされています。
 派遣労働者を受け入れていた派遣先の企業が、その派遣労働者を直接雇用するのが理想ですが、次の〔参考〕のURLの資料にもあるように、事務的職業の有効求人倍率が0.45倍にとどまるなど、余剰感の強い職種もあります。
 そのような職種では、雇止めの発生は避けられないのではないかという見解もあります。

2018年8月11日土曜日

賃金不払残業に関する監督指導 平成29年度の是正企業数は1,870企業(前年度比521企業の増)

 厚生労働省から、「平成29年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果」が公表されました(平成30年8月10日公表)。

 今回公表されたのは、全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業への監督指導を行った結果、平成29年4月から平成30年3月までの期間に不払いだった割増賃金が各労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案を取りまとめたものです。
【平成29年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果のポイント】
●是正企業数⇒1,870企業(前年度比 521企業の増)
うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、262企業(前年度比 78企業の増)
●対象労働者数⇒20万5,235人(同 107,257人の増)
●支払われた割増賃金合計額⇒446億4,195万円(同 319億1,868万円の増)
●支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり2,387万円、労働者1人当たり22万円
 支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり2,387万円ということで、とても大きな金額です。日頃から、労働時間は適正に把握しておく必要があります。
 監督指導の対象となった企業では、その監督指導のもと、定期的にタイムカードの打刻時刻やパソコンのログ記録と実働時間との隔たりがないか確認するなど、賃金不払残業の解消のためにさまざまな取組を行い、改善を図っているようです。
 厚生労働省では、引き続き、賃金不払残業の解消に向け、監督指導を徹底していくとのことです。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成29年度)>
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00831.html
※上記のリンク中の【別紙3】では、「賃金不払残業の解消のための取組事例」も紹介されています。

地域別最低賃金の改定額を答申 東京都は27円アップの985円に

 厚生労働省は、都道府県労働局に設置されているすべての地方最低賃金審議会が、平成30年8月10日までに答申した平成30年度の地域別最低賃金の改定額(以下「改定額」)を取りまとめ公表しました(平成30年8月10日公表)。

 これは、平成30年7月26日に厚生労働大臣の諮問機関である中央最低賃金審議会が示した「平成30年度地域別最低賃金額改定の目安について」などを参考として、各地方最低賃金審議会で調査・審議した結果を取りまとめたものです。
【平成30年度 地方最低賃金審議会の答申のポイント】
●改定額の全国加重平均額は874円(昨年度848円)
●全国加重平均額26円の引上げは、最低賃金額が時給のみで示されるようになった平成14年度以降最大の引上げ
●最高額の東京都は27円アップの985円
また、引上げ額の最高(27円)と最低(24円)の差が3円に縮小(昨年度は4円)
 答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、平成30年10月1日から10月中旬までの間に順次発効される予定です。

2018年8月9日木曜日

中小企業の長時間労働是正など「中小企業・小規模事業者の長時間労働是正・生産性向上と人材確保に関するWG」が資料を公表

首相官邸ホームページに、平成30年8月1日に開催された「第4回中小企業・小規模事業者の長時間労働是正・生産性向上と人材確保に関するワーキンググループ」の資料が公表されています。

このワーキンググループ(WG)は、「中小企業・小規模事業者の活力向上に向けた関係省庁連絡会議」において、開催が決定されたWGの一つです。
今回は、「働き方改革関連法の施行に向けた取組・支援」、「働き方改革を巡る中小企業向け対応策
<第4回中小企業・小規模事業者の長時間労働是正・生産性向上と人材確保に関するワーキンググループ/配布資料>のアクションプラン」、「行政手続簡素化の取組」について、進捗状況の報告などが行われました。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<第4回中小企業・小規模事業者の長時間労働是正・生産性向上と人材確保に関するワーキンググループ
参考として紹介されている資料(「働き方が変わります!」、「こんな労務管理、していませんか?」)も、チェックしておくとよいと思います。

長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導 平成29年度は約7割の事業場で法令違反

厚生労働省から、「長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果(平成29年度)」が公表されました(平成30年8月7日公表)。

これは、平成29年度に、長時間労働が疑われる25,676事業場に対して実施された労働基準監督署による監督指導の結果を取りまとめたものです。

平成29年度は、​監督実施事業場のうち70.3%の事業場で、労働基準法などの法令違反が認められました。
平成28年度の66.0%よりも、その割合が増加しています。

平成29年度の監督指導結果のポイント
⑴監督指導の実施事業場:25,676事業場
 このうち、18,061事業場(全体の70.3%)で労働基準関係法令違反あり
⑵主な違反内容[⑴のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場]
 ①違法な時間外労働があったもの:11,592事業場(45.1%)
   うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が月80時間を超えるものは、8,592事業場(74.1%)
 ②賃金不払残業があったもの:1,868事業場(7.3%)
 ③過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:2,773事業場(10.8%) など

なお、この公表に当たって、監督指導事例も紹介されています。
事例のなかには、36協定の締結・届出をせずに、労働者28名について、月100時間を超える違法な時間外・休日労働(最長:月224時間)を行わせていたことが判明し、かつ、法定の休憩も与えていなかったため、是正勧告が行われたという事例もあります(旅館業)。

上記は極端な事例ですが、他には、次のような事例もありました。
・健康診断において異常所見があった者に係る医師の意見聴取を行っていなかったため是正勧告
・常時50人以上の労働者を使用しているにもかかわらず、1年以内ごとに1回のストレスチェックを実施していなかったため是正勧告
労働基準法や労働安全衛生法は、必ず遵守する必要がありますね。

裁量労働制の自主点検の結果を公表 違法適用の事例も

厚生労働省では、裁量労働制の適正な運用が図られるため、裁量労働制を採用している事業場において、法令に従った運用がなされているかどうかを事業主自ら点検することを目的として、平成30年2月より、自主点検を実施してきました。

この度、その結果が公表されました(平成30年8月7日公表)。

これによると、休日・深夜労働に対する割増賃金の不払いや、制度対象外の業務への就労など、労働基準法や指針に違反するおそれがある事例が相当数判明したようです。
この自主点検の結果を受けて、労働基準監督機関は、事業主が自主的に必要な改善を図ることを促すとともに、自主点検結果報告書未提出事業場、労働基準法違反や指針に反する疑いがあるなど運用の改善が必要と考えられる事業場などに対して、重点監督を実施するとのことです。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<裁量労働制の運用の適正化に向けた自主点検の結果について公表します>

中小企業の賃上げ率 1.89%(経団連調査)


日本経済団体連合会(経団連)から、「2018年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果[最終集計]」が公表されました(平成30年8月7日公表)。
 この調査は、地方別経済団体の協力により、従業員数500人未満の17業種741社を対象として実施。そのうち集計が可能な412社の結果を集計したものです。
 これによれば、今年の春闘による中小企業における賃上げは、総平均で、次のような結果となっています。
・賃上げ額(妥結額)=4,804円
・賃上げ率(アップ率)=1.89%
 いずれも前年よりもアップしています。
詳しくは、こちらをご覧ください。

「2018年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果[最終集計]」(平成30年7月10日公表)では、賃上げ額(妥結額)=8,539円、賃上げ率(アップ率)=2.53%という結果でした。

雇用保険事務手続きの手引き 平成30年8月版に更新

厚生労働省では、「雇用保険事務手続きの手引き」を作成し、公表しています。

これは、雇用保険の各種届出の記載方法等をまとめたものです。
この手引きが、平成30年8月版に更新されています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<雇用保険事務手続きの手引き(平成30年8月版)>