厚生労働省は厚生年金の加入を逃れている企業の実態調査を強化する。
安倍晋三首相が13日の衆院予算委員会で、塩崎恭久厚労相に対策を指示する考えを表明した。厚労省の推計によると、約200万人が厚生年金に加入せず国民年金のままになっている。未加入の疑いのある全事業所の調査を2017年度末までに実施する方針だ。
調査の対象になる事業所は15年9月時点で79万カ所ある。日本年金機構を通じて調査票を送り、加入状況を調べる。未加入であることが確認でき、督促しているにもかかわらず支払う意思を示さない事業所には職員が訪問して指導する。実態調査は15年4月から始め、9月までに18万カ所の調査を実施したが、時間がかかっている。
厚生年金の保険料は労使で折半する。法人事業所や従業員5人以上の個人事業主に加入を義務付けているが、保険料負担を避けるため、加入を怠っている企業がある。資格があるのに厚生年金に加入していないと将来もらえる年金額が少なくなる。
厚労省は15年12月に公表した国民年金被保険者実態調査で200万人が厚生年金に加入せず国民年金のままになっているとの推計を示した。国民年金の加入者は14年3月時点で1805万人。この1割に当たる規模だ。
未加入の事業所は零細企業が多いとされ、厚労省は「経営に配慮して保険料を督促する」方針。強制徴収権の発動には消極的で、どこまで加入が進むかは不透明だ。
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