2017年2月23日木曜日

事業主・労務担当者必見!「マタハラ防止措置」対策⑤


平成29年の1月から、すべての会社でマタハラ防止措置の実施が義務付けられました。
では、一体何を行えばよいのか?
今回も、その内容についてお話していきます。

では、何を実施するのか?
「マタハラ防止措置」は、大きく5つのことを行う必要があります。 
1.事業主の方針の明確化およびその周知・啓発2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備3.職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
4.職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置
5.併せて講ずべき措置
今回は、5つの項目の4つ目。
4.ハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置

この項目については、「セクハラ防止措置」には無いものです。
マタハラ防止措置についてのみ、義務付けられたものです。
では、具体的に何を行っていけば良いのでしょうか?

妊娠した女性は・・・
まず理解しておいて欲しいことがあります。
それは、妊娠した女性は、労働能率が落ちるということ。
当たり前です。
妊娠したことで、体調不良になることも多くなります。
ハードな業務は行えなくなります。
長時間労働も行いにくくなります。
このようなことは、当たり前のこととして受け止めてください。

いじめ型マタハラの原因

しかし、ここからが問題です。
妊娠した女性の労働能率の低下分を、周囲の人にそのまま押し付けていませんか?

そんなことしたら、押し付けられた方は、たまったもんじゃありません。
ただでさえ自分の仕事で手一杯なのに、さらに他人の余計な仕事まで引き受けなければならないなんて!
そりゃ、不満も溜まりますよ。

その不満が、上司や会社への業務改善の訴えとして働けば良いのですが、普通はそうではない。
その妊娠した女性への不満として爆発します。
それはまさに、マタハラそのものです。
マタハラnet.の分類では、「いじめ型」となるマタハラです。

これは、育休中や育休からの復帰後にも起こることです。
(ですから、男性従業員[イクメン]も被害者となります)
要は、残された従業員の業務負担が増えることが、マタハラの原因となっているのです。

マタハラの原因を取り除こう

この原因を取り除く措置を講じなければなりません。

まずは、業務の見直しを行います。
効率化できることは効率化します。
無駄な業務は切り捨てます。
長時間労働が常態化している組織については、どうしたら長時間労働が解消できるのか?
仕事改革、業務改革、働き方改革。
そして、評価制度改革。

「お互い様」のこころ

さらに、コミュニケーションも重要です。
妊娠等した従業員が、周囲の他の従業員と普段からコミュニケーションがとれていることが重要です。

「妊娠したのだから、制度を利用するのは当たり前でしょ!」
「妊娠したのだから、特別扱いされるのは当たり前でしょ!」
という態度では、周りも協力していこう、支援していこうとは思いません。
妊婦様」などと陰口を叩かれる存在ではダメなんです!
周囲への配慮と感謝が必要なのです。
その気遣いがあってこそ、「お互い様」という感情も芽生えてきます。

妊娠等した女性も、いつまでも「支援される」立場ではありません。
出産し、育児が一段落つけば、今度は「支援する」立場に変わります。
支援している方も、いつ、妊娠・出産や家族の介護、病気やケガで「支援される」立場になるかわかりません。

ですから、「お互い様」の精神を養うことは重要です。
その基本がコミュニケーションなのです。

それと共に、「業務の効率化」と「互いに業務をカバーし合える体制を築く」ことが、マタハラ防止に役立ちます。

また、法律や制度の周知によって、当事者だけでなく、上司や同僚・部下等が知識を持つことも、マタハラ防止には有効です。
そのためには、研修や講習が効果的です。
ぜひ御社でも、全従業員に対してマタハラ防止研修を行ってください。
その場合、1度限りではなく、定期的に行うことが有効です。
また、管理職向け講習や一般従業員向け講習など、職階別に分けて行うのがより効果的です。

マタハラ防止措置を、効果の上がる、御社にとって価値あるものにするための労力を惜しまないでください。
この努力が、きっと、御社の将来の発展に役立ってきます。

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