2017年2月28日火曜日

労働時間適正把握ガイドラインのリーフレットを公表


 「「過労死等ゼロ」緊急対策」の一環として、厚生労働省が、1月末に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を策定し、周知を図っていることはお伝えしているところです。
この度、そのポイントなどをまとめたリーフレットが公表されました。
 今後は、このガイドラインに基づいて、行政指導なども行われることになると思われます。
 今一度、このリーフレットの内容も確認してみてはいかがでしょう。
<リーフレット『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』>
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-06.pdf

勤務間インターバル導入に関する助成金のリーフレットを公表


厚生労働省が、2月中頃に、職場意識改善助成金の一環として「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」を創設し、その詳細を公表したことはお伝えしているところです。
 労働局によっては、その活用を奨めるご案内(リーフレット)を公表しているところもあります。
 参考までに、そのリーフレットを紹介させていただきます。
今一度、確認してみてはいかがでしょう。
<「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース(新設))のご案内」>
/http://hyogo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/hyogo-roudoukyoku/kikaku/2017217interbal.pdf

2017年2月25日土曜日

国会 裁量労働制の拡充などについて審議


今月17日、現在開催中の国会における衆議院予算委員会の集中審議で、“一定の時間、働いたものとみなして賃金を支払う「裁量労働制」の拡充”などが盛り込まれた労働基準法の改正法案(平成27年から継続審議中)が取り上げられました。
民進党の長妻元厚生労働大臣が、「長時間労働が増える危険な法案。労働の規制緩和のしわ寄せが弱い立場の働く人にいく。法案を撤回すべきだ」と主張するなど、反対意見がある中、安倍総理は、「自律的で、多様な働き方を可能にするために行うもので、制度の対象は、業務をみずからの裁量で遂行できる知識や経験を有する人に限定される。本人の同意も必要で、極めて限られた範囲になっていく」とし、その上で、「新たに健康管理をしっかり行っていくこと、対象業務は、労使同数の委員会の決議で選定される仕組みになっており、働く方の立場をしっかりと守っている」などと述べ、同法案の成立を目指す構えを見せました。今後の動向に注目です。
〔確認〕裁量労働制の拡充
企画業務型裁量労働制の見直し
・企画業務型裁量労働制の対象業務に「課題解決型提案営業」と「裁量的にPDCAを回す業務」を追加するとともに、対象者の健康確保措置の充実や手続の簡素化等の見直しを行う。
特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設
・職務の範囲が明確で一定の年収を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、健康確保措置等を講じること、本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外とする。
・また、制度の対象者について、在社時間等が一定時間を超える場合には、事業主は、その者に必ず医師による面接指導を受けさせなければならないこととする。(※労働安全衛生法の改正)
平成27年から継続審議中の労働基準法の改正法案の全体像については、こちらをご覧ください。
「提出時の法案の概要」(施行期日の部分は提出時のものなので内容のみご参照ください)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/189-41.pdf
さらに、同集中審議では、「勤務間インターバル」も話題に上り、加藤働き方改革担当大臣は、「日本で導入している企業は2.2%という水準で、罰則付きのインターバル規制は、今、直に導入しうる環境にはない。まずは導入する中小企業への助成金(※)の創設などを通じて環境整備していく」と述べたとのことです。
(※)「職場意識改善助成金 (勤務間インターバル導入コース)」が該当します。

健康経営優良法人 2017年度の認定法人が発表されました

 特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する健康経営優良法人制度ですが、21日、運営する日本健康会議において、2017年度の認定法人として、大規模法人部門(ホワイト500)235法人、中小規模法人部門95法人を認定したと発表しました。
詳しくはこちらをご覧ください。【経済産業省HP】
http://www.meti.go.jp/press/2016/02/20170221008/20170221008.html

健康経営とは

健康経営とは、「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても 大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康管理を経営的視点から考え、 戦略的に実践することを意味しています。 従業員の健康管理・健康づくりの推進は、単に医療費という経費の節減のみならず、生産性の向上従業員の創造性の向上企業イメージの向上等の効果が得られ、かつ、企業におけるリスクマネジメントとしても重要です。 従業員の健康管理者は経営者であり、その指導力の元、健康管理を組織戦略に則って展開することがこれからの企業経営にとってますます重要になっていくものと考えられています。

経済同友会 働き方改革に関する意見を公表 2017年2月22日

 公益社団法人経済同友会は、『「働き方改革」に関する主要論点に係る意見』を公表しました。
 時間外労働の上限規制について、「上限を規制するよりも、割増賃金率を大幅に引き上げるほうが、経済合理性に基づく是正も進む可能性がある」など、その意見がまとめられています。
上限時間についての考え方
健康被害リスクが生じる時間外労働時間(い わゆる「過労死ライン」)が、「発症前 2~6 ヶ月間で平均 80 時間」「発 症前 1 ヶ月が月 100 時間」とされることを考慮し、実効性のある改革 を促す意味のある目標とするため、以下が望ましいと考える。

1.「年 720 時間(月平均 60 時間)」を上限とし、その範囲内で 「2~6 ヶ月平均で月 80 時間」を一つの目途とする。ただし、 導入にあたっては、各業種・職務の特性を考慮し、実施に向け た猶予期間を設ける。 (例:月 45 時間×年 6 回+月 75 時間×年 6 回=720 時間)

2.例外的な事情によって月 80 時間を超えてしまった場合、割増 賃金率を 2.0 とする(現行:月 60 時間超の場合は 1.5)。

3. 産業医面談を義務付ける(現行:月 100 時間超は義務、月 80 時間超は努力義務)。

4.一律的な規制が難しい業種・職種6については、健康配慮のた めの特別措置を講じた上で、適用除外を認める

詳しくは、こちらをご覧ください。
<「働き方改革」に関する主要論点に係る意見>
https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2016/170222a.html


残業手当の要らない管理監督者と単なる役職者の区別基準



<ショッキングな事実>


現在企業で勤務している管理職の大半は、管理監督者ではありません。したがって、時間管理をきちんとして、残業手当や休日出勤手当も支給しなければなりません。
ところが、このことについては世間一般に大きな誤解があります。
最近も、弁当チェーンの店長だった30代の女性が、管理職であることを理由に残業代が支払われなかったのは不当だとして、会社に未払い残業代などを求める訴えを起こしたのに対して、裁判所はこの女性が管理監督者には当たらないとして、会社に約160万円の支払いを命じました。〔平成29年2月17日静岡地裁〕
いわゆる「名ばかり店長」というのは、責任だけが店長クラスで、権限と収入は平社員クラスなのだと思います。

<管理監督者といえるための最低限必要な条件>
管理監督者といえるかどうかは、その人の肩書ではなく、職務内容、責任、権限、勤務態様、待遇などの実態により判断されます。
少なくとも、次の3つの条件はすべて満たしていることが必要です。
・経営者と一体的な立場で仕事をしていること
・出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていないこと
・その地位にふさわしい待遇がなされていること

<経営者と一体的な立場で仕事をしていること>
労働者でありながら、経営者の業務を代行する立場にあり、経営者から管理監督、指揮命令について大きな権限を与えられています。他の社員の指示に従ったり、他の社員に決裁を仰ぐ必要があるというのでは、とうてい管理監督者とはいえません。
次のようなケースでは、この基準を満たしません。
・工場長の肩書だけで監督管理権がない
・人事や機密に関与せず経営を左右するような仕事ではない
・人事に関与することがあっても独自の決定権はない
・自部門の社員を統括し、採用にも関与するが、労働条件は経営者が決定する
・社員に対する懲戒処分の権限がない
・顧客とのトラブルについて示談の最終的な権限がない
・意見は言えるものの経営者とともに経営方針を決定する権限がない

<出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていないこと>
管理監督者は、24時間、経営上の判断と対応を求められます。ですから、いつ会社に現れて、いつ去って行くかは、本人の判断に任されています。遅刻や早退によって、給与や賞与が減額されるというのでは、とうてい管理監督者とはいえません。
次のようなケースでは、この基準を満たしません。
・出退勤の時刻が会社に決められている
・タイムカードにより勤怠管理を受けている
(タイムカードを打刻しているだけでチェックを受けないのは良い)
・いつどの仕事をするかの時間配分を任されている

<その地位にふさわしい待遇がなされていること>
給与、賞与その他の待遇で、一般社員がどんなに頑張っても、つまりどんなに残業しても、どんなに高い評価を得ても、追いつけないレベルにあることが必要です。給与についていえば、新卒社員の初任給の4~5倍以上だと思われます。
スタッフ職であっても、他の部門の管理監督者と同等の地位にあり、給与、賞与が支給されるのでなければ、とうてい管理監督者とはいえません。
次のようなケースでは、この基準を満たしません。
・残業手当の多い部下よりも給与が少ない
・評価の高い部下よりも賞与が少ない
・他部署の一般社員よりも給与や賞与が少ないことがある

<名ばかり管理監督者の存在理由>
会社が管理監督者ではない社員を管理監督者扱いする理由は2つ考えられます。
まず、残業手当などをカットして人件費を削ることです。これは違法です。
もう一つは、何か大きな問題が発生したときに、名ばかり管理監督者に責任を押し付けてクビにすることで、その社員の上司が責任を回避できるようにすることです。こんなことをしても、マスコミやネットを通じて顧客や取引先には実態が伝わってしまい、会社の評判が落ちるだけです。

<人件費を削るなら>
次のようなことを推進すべきでしょう。特に、教育がいい加減な会社が目立ちます。たとえば、パソコンの表計算ソフトの使い方が、本人任せになっていて全くレベルアップしない人が多いようです。
・ダラダラとした時間や、なんとなくの休憩時間を解消する
・残業や休日出勤は自己判断ではなく会社からの命令によって行う
・具体的な教育訓練によって生産性を上げる
・能力や貢献度を適正に評価し給与や賞与に反映させる
(同期入社なら同額というのではダメ。できる社員ほどヤル気がなくなる。)
・状況によっては定額残業代を導入し正しく運用する
具体的に何をどうしたら良いのか、迷うところがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

財務省 「平成29年度税制改正(案)のポイント」を公表

 今月初旬、平成29年度税制改正大綱で取りまとめられた事項を盛り込んだ「所得税法等の一部を改正する等の法律案」が国会に提出されています。その内容を分かりやすくまとめたパンフレットが財務省から公表されています。
 「配偶者控除・配偶者特別控除の見直し〔平成30年分以後の所得税について適用予定〕」など、改正予定の税制をチェックするのに適した資料です。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<「平成29年度税制改正(案)のポイント」(平成29年2月発行)>
http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeiseian17.htm

労基法違反 欠勤に罰金1万円  

 今月24日、「急な欠勤に罰金を科す違法な契約をアルバイト店員に結ばせた容疑で、大手コンビニエンスストア加盟店の経営者夫婦が書類送検された」という報道がありました。

 警察の調べによりますと、加盟店の経営者夫婦は、昨年9月から12月にかけて、アルバイト店員の男女5人に、「急に欠勤した場合は1回1万円の罰金を徴収する」という内容の書類に署名させたとのことです。調べに対し2人は容疑を認め、「急に休まれると穴埋めをしなければならず、自由な時間が欲しかった」などと供述しているそうです。
 このような契約は、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)の規定に違反しますが、認識不足が招いた事件といえそうです。加盟店のフランチャイズ本部は、「加盟店に対し法令順守を徹底していきたい」とコメントしているとのことです。
 なお、先月には、同コンビニエンスストアの別の加盟店で、違法な減給があった(労働基準法第91条に違反)と話題になったばかりでした。
 経営者であれば、労働基準法による基本的な労働のルールを知っておく必要があるといえそうです。

〔確認〕労働基準法第16条(賠償予定の禁止)
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
〈補足〉この規定について、「現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止するものではない(昭和22年発基17号)」という通達が発出されています。簡単にいうと、“あらかじめ罰金などを決めておくことはダメ”ということです。上記の書類送検の話題は、この規定違反の典型といえますね。

2017年2月24日金曜日

事業主・労務担当者必見!「マタハラ防止措置」対策⑥





マタハラ防止措置についてお話するのも、今回が最後となります。

繰り返しになりますが、「マタハラ防止措置」は、大きく5つのことを行う必要があります。

1.事業主の方針の明確化およびその周知・啓発2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備3.職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応4.職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置5.併せて講ずべき措置
今回お話しするのは、最後の項目である「5.併せて講ずべき措置」

ここで行うことは2つ。
プライバシー保護」と「相談者らへの不利益取扱い禁止」。

プライバシーの保護

相談者のプライバシーを守ることは当然です。
プライバシーの保護が保証されていなければ、とてもじゃないが、相談などできるわけがない!
ハラスメントの内容によっては、かなりセンシティブなものとなります。

相談したことが周囲に知れて、ハラスメントの二次被害に遭うことだってあります。
ただでさえ傷ついている相談者が、さらに傷ついてしまう、あるいは傷を深くしてしまう。
そのようなことは、絶対にあってはなりません。

そのために、相談窓口では相談マニュアルを定め、担当者には必要な研修を行って、プライバシー保護を徹底していく必要があります。

また、プライバシー保護に関しては、相談者だけでなく、行為者(加害者)や事実確認に協力した人ついても保護していく必要があります

そして、プライバシー保護を徹底しているという事実を、全従業員に周知することで、安心して相談できる相談窓口を実現していきましょう。


不利益取扱いの禁止

さらに、相談者や事実関係の確認に協力した人が、不利益な扱いを受けることがないようにして下さい。
そのためには、就業規則やハラスメントについて定めた就業規則の別規定などに、不利益な扱いを行わないことを明記しておくべきです。

また、1.事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
の措置を実施する際に、絶対に不利益な扱いをしないと宣言することも効果的です。


リスクマネジメントとしてのマタハラ防止

この「マタハラ防止措置」は、平成29年の1月から、企業規模に関係なくすべての事業主が実施しなければなりません。
実施していない企業は、厚労大臣から勧告され、その勧告に従わなければ企業名が公表されます。

これは相当なイメージダウンです。
しかし、ハラスメントが起きてしまえば、あるいは起こったハラスメントが不適切な対応で大問題に発展すれば、それこそ、企業イメージの悪化どころでは済みません。

被害者からの損害賠償請求や他の従業員の士気の低下人材の流出、顧客の不買行動等々、取り返しのつかないダメージを受けることになります。
御社のリスクメネジメントの一環として、必ず、この「マタハラ防止措置」を実施してください。

2017年2月23日木曜日

事業主・労務担当者必見!「マタハラ防止措置」対策⑤


平成29年の1月から、すべての会社でマタハラ防止措置の実施が義務付けられました。
では、一体何を行えばよいのか?
今回も、その内容についてお話していきます。

では、何を実施するのか?
「マタハラ防止措置」は、大きく5つのことを行う必要があります。 
1.事業主の方針の明確化およびその周知・啓発2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備3.職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
4.職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置
5.併せて講ずべき措置
今回は、5つの項目の4つ目。
4.ハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置

この項目については、「セクハラ防止措置」には無いものです。
マタハラ防止措置についてのみ、義務付けられたものです。
では、具体的に何を行っていけば良いのでしょうか?

妊娠した女性は・・・
まず理解しておいて欲しいことがあります。
それは、妊娠した女性は、労働能率が落ちるということ。
当たり前です。
妊娠したことで、体調不良になることも多くなります。
ハードな業務は行えなくなります。
長時間労働も行いにくくなります。
このようなことは、当たり前のこととして受け止めてください。

いじめ型マタハラの原因

しかし、ここからが問題です。
妊娠した女性の労働能率の低下分を、周囲の人にそのまま押し付けていませんか?

そんなことしたら、押し付けられた方は、たまったもんじゃありません。
ただでさえ自分の仕事で手一杯なのに、さらに他人の余計な仕事まで引き受けなければならないなんて!
そりゃ、不満も溜まりますよ。

その不満が、上司や会社への業務改善の訴えとして働けば良いのですが、普通はそうではない。
その妊娠した女性への不満として爆発します。
それはまさに、マタハラそのものです。
マタハラnet.の分類では、「いじめ型」となるマタハラです。

これは、育休中や育休からの復帰後にも起こることです。
(ですから、男性従業員[イクメン]も被害者となります)
要は、残された従業員の業務負担が増えることが、マタハラの原因となっているのです。

マタハラの原因を取り除こう

この原因を取り除く措置を講じなければなりません。

まずは、業務の見直しを行います。
効率化できることは効率化します。
無駄な業務は切り捨てます。
長時間労働が常態化している組織については、どうしたら長時間労働が解消できるのか?
仕事改革、業務改革、働き方改革。
そして、評価制度改革。

「お互い様」のこころ

さらに、コミュニケーションも重要です。
妊娠等した従業員が、周囲の他の従業員と普段からコミュニケーションがとれていることが重要です。

「妊娠したのだから、制度を利用するのは当たり前でしょ!」
「妊娠したのだから、特別扱いされるのは当たり前でしょ!」
という態度では、周りも協力していこう、支援していこうとは思いません。
妊婦様」などと陰口を叩かれる存在ではダメなんです!
周囲への配慮と感謝が必要なのです。
その気遣いがあってこそ、「お互い様」という感情も芽生えてきます。

妊娠等した女性も、いつまでも「支援される」立場ではありません。
出産し、育児が一段落つけば、今度は「支援する」立場に変わります。
支援している方も、いつ、妊娠・出産や家族の介護、病気やケガで「支援される」立場になるかわかりません。

ですから、「お互い様」の精神を養うことは重要です。
その基本がコミュニケーションなのです。

それと共に、「業務の効率化」と「互いに業務をカバーし合える体制を築く」ことが、マタハラ防止に役立ちます。

また、法律や制度の周知によって、当事者だけでなく、上司や同僚・部下等が知識を持つことも、マタハラ防止には有効です。
そのためには、研修や講習が効果的です。
ぜひ御社でも、全従業員に対してマタハラ防止研修を行ってください。
その場合、1度限りではなく、定期的に行うことが有効です。
また、管理職向け講習や一般従業員向け講習など、職階別に分けて行うのがより効果的です。

マタハラ防止措置を、効果の上がる、御社にとって価値あるものにするための労力を惜しまないでください。
この努力が、きっと、御社の将来の発展に役立ってきます。

事業主・労務担当者必見!「マタハラ防止措置」対策④




平成29年の1月から、すべての会社でマタハラ防止措置を実施しなければならなくなりました。
では、一体何を行えばよいのか?
今回も、その内容についてお話していきます。

では、何を実施するのか?
「マタハラ防止措置」は、大きく5つのことを行う必要があります。

1.事業主の方針の明確化およびその周知・啓発2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備3.職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
4.職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置
5.併せて講ずべき措置 
今回は、「3.職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応」についてお話していきます。

職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応
ハラスメントがあったと被害者から訴えがあった場合、速やかに事実確認を行います。
被害がまだ続いている場合や、さらにエスカレートしそうな場合には、特に迅速な対応が必要です。
そのためにも、あらかじめ対応の手順などを定めておくことが重要です。

ハラスメントの事実があったと確認できた場合には、行為者と被害者の関係改善に向けての手助け行為者の謝罪被害者のメンタルケア等を行う必要があります。
場合によっては、行為者と被害者を引き離すための配置転換や、行為者への懲戒処分も必要です。

会社側のもっともマズイ対応は、個人間の問題だととらえ当事者同士の解決に委ねようとしたり、それぐらいではハラスメントにならないだろうと問題を軽く考えたり、問題を無かったことにしようと秘密裏に処理したり、被害者をクビにしたりすることです。
このような対応は絶対にしてはいけません!
問題がこじれるだけで、何の解決にもなりません。
マズイ対応は問題を大きくするだけ!
一つ、裁判例を紹介します。
「福岡出版社事件」(福岡地判 平成4.4.16)
この事件は、男性上司と女性従業員の間で、ハラスメント発言等によるトラブルが発生した際に、使用者が、「個人的な問題」として適切な職場環境調整をせず、最終的には女性従業員の退職によって事態の収拾を図ったものです。

この裁判で、使用者に対して「職場環境を調整するよう配慮する義務を怠り、主として女性従業員の譲歩・犠牲において職場関係を調整しようとした点において、不法行為性が認められる」と判示されました。

会社がすすんで適切に対処していかなければ、不法行為として損害賠償責任が発生する場合があるということです。
また、裁判になったという事実をみても、このような対応は、問題をこじらせるだけである事がわかっていただけると思います。
被害者が望む解決法の把握
また、被害の訴えがあった場合には、被害者がどのような解決を望んでいるのか、正確に把握することが重要です。
被害者の望んでいる解決法を、必ず実施しなければならないわけではありませんが、なるべく要望に沿った解決を選択していくとよいでしょう。

被害者が望む主な要望として、以下のようなものがあります。
  • 話を聴いて欲しい
  • 言動をやめて欲しい
  • 謝罪をして欲しい
  • 行為者との接点をなくして欲しい
  • 行為者へ注意・警告して欲しい
  • 行為者を懲戒処分して欲しい 等々
再発防止に向けて
このような被害の訴えがあった場合には、再発防止の観点から、あらためて、
1.事業主の方針の明確化及びその周知・啓発」を徹底していくべきです。
TOP自ら、ハラスメントは絶対に許さないということを発信していきましょう。
また、全従業員を対象に研修やセミナー等を実施して、ハラスメントに対する意識の啓発を図っていくべきです。

ハラスメントは、起こさないに越したことはありませんが、残念ながら起きてしまった場合には、迅速かつ適切に対応し、今起こっているハラスメントの解決に全力を尽くすべきです。
そして、そのようなハラスメントが二度と起こらないよう、再発防止に努めましょう。

再発防止のためには、既に起こってしまったハラスメントの分析も重要です。
  • 人が問題なのか? 
  • 環境やシステムが問題なのか? 
  • 過去の研修内容はどうだったのか? 
  • 従業員の意識はどうなのか?
考えるべきポイントはたくさんあります。

以上が、「3.職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応」について、御社が行うべきことになります。

事業主・労務担当者必見!「マタハラ防止措置」対策③

平成29年の1月から、すべての会社でマタハラ防止措置を実施しなければならなくなりました。

では、一体何を行えばよいのか?
今回も、その内容についてお話していきます。

では、何を実施するのか?
「マタハラ防止措置」は、大きく5つのことを行う必要があります。
1.事業主の方針の明確化およびその周知・啓発2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備3.職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応4.職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置5.併せて講ずべき措置

今回は、「2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」についてお話していきます。

相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

これは、相談窓口の設置が必須となります。

相談窓口設置の基本知識

相談窓口は、社内で設けても、外部に委託しても構いません。
顧問弁護士事務所顧問社労士事務所に依頼するのも1つの方法だと思います。

相談方法も、面談だけでなく、電話やメールなど複数の方法を用意しておくべきです。

また、マタハラやセクハラが実際に発生している場合だけでなく、発生する恐れがある場合や、ハラスメントに該当するか微妙な案件についても、広く相談に応じる体制を作っておくべきです。
そのために、相談担当者向けのマニュアルを作成したり、担当者の研修を行う必要があります。

社内に相談窓口を設ける場合、担当者の人選は特に重要になります。
日頃から、信頼できる・話しやすい印象をもたれる人物を、担当者に選ぶべきです。

相談を受けた際には、人事部門をはじめとする他部署と連携が図れる仕組みを作っておくことも重要です。
また、相談したことで二次被害を受けることがないよう、特に注意しなければなりません。

相談窓口について、もう少し掘り下げていきます。

セクハラやマタハラについては、相談窓口の設置が義務となっています。(マタハラについては、平成29年の1月から義務化)
しかし、パワハラについては、そのような義務はありません。

だからといって、パワハラの相談を受け付けないというのでは、従業員にとって使い勝手の良い相談窓口とはいえません。
当然、パワハラについての相談にも応じるべきです。

また、被害者からの直接の相談だけでなく、ハラスメントを目撃した、ハラスメントの噂を聞いたという情報も受け付けるべきです。
いわゆる、内部通報窓口としての機能も持たせるとよいでしょう。

さらに、繰り返しになりますが、ハラスメントが実際に発生している場合だけでなく、発生する恐れがある場合や、ハラスメントに該当するか微妙な案件についても、広く相談に応じるようにしましょう。


 セクハラやマタハラの相談窓口設置は、確かに、事業主の義務ではあるのですが、それだけでなく、御社にとって経営上重要な役割を果たします。

相談窓口設置の効果

まず、相談窓口を設置することで、ハラスメントの初期段階での対応が可能となります。
問題が大きくなる前に解決することが可能です。

相談窓口があることで、ハラスメントへの抑止力にもなります。
予防効果が期待できるのです。

もし、ハラスメント問題が深刻化した場合、解決のために相当な経費と時間がかかります。
解決にあたる社員への人件費や解決のための解決金や慰謝料、裁判になった場合の裁判費用等々。
また、被害者がもし被害に遭っていなければ、会社への貢献によって会社にもたらしたであろう売上や利益等も、会社の損失です。
さらに、企業イメージの悪化や他の従業員の士気の低下なども起こります。

このような事態を未然に防ぐ重要な役割を果たすのが、相談窓口なのです。
ですから、御社でも、危機管理の一環として真剣に相談窓口設置について考えるべきです。

相談担当者の人選
そこで、最も重要となるのが、相談担当者の人選と教育ということになります。
担当者は一人ではなく複数、できれば男女含めた数人の担当者を置くべきです。
相談担当者には、信頼ができて、むやみに他言しない上、話しやすい雰囲気を持った人物を選ぶべきです。

逆に、以下のような人物を担当者に選ぶべきではありません。
  • 人の話をじっくり聞くのが苦手な人
  • すぐに答えを出したがる人
  • 何にでも、「白か黒か?」「善か悪か?」の二極化する人
  • 相手をコントロールしたがる人
  • 上司等に媚びへつらう人
  • 自分より立場が弱い人に対して態度が横柄な人
  • 身だしなみがだらしない人
  • 心にゆとりがない人
  • 「自分は人の相談を聴くのが得意」と思い込んでいる人

また、相談窓口担当者が絶対にしてはいけないNG対応があります。
  • 相談者の話を否定したり、相談者に説教してしまう。
  • 相談者の話を最後まで聴かず、途中で話の腰を折る。
  • 他者に相談内容を漏らしてしまう。
  • 相談者を食事や飲酒に誘う。
  • 相談に対して、まったく対応しない。
横浜市役所事件:相談窓口が適切に対応しなかったこと(不作為)を、職務上の義務違反に当たると認定し、損害賠償請求を認めた判決。

また、相談担当者向けのマニュアルの整備継続した教育・学習が必要です。
座学だけでなく、ロールプレイなどで、相談現場を体験しておくことも重要です。
また、傾聴の技術は必須となりますので、身につけておく必要があります。

事業主・労務担当者必見!「マタハラ防止措置」対策②「事業主の方針の明確化及びその周知・啓発」

今年の1月から、すべての会社でマタハラ防止措置を実施しなければならなくなりました。
では、一体何を行えばよいのか?
今回は、その内容についてお話していきます。
まず知っておいていただきたいのが、この「マタハラ防止措置」は、すべての事業主が実施しなければならないということ。
すべての事業主ということは、従業員数万人の大企業はもちろんのこと、従業員数名の中小零細企業から個人事業主まで、すべての会社・事業主に実施義務があります。 
では、何を実施するのか?
「マタハラ防止措置」は、大きく5つのことを行う必要があります。
(細かくいうと、11の項目に細分されます) 
1.事業主の方針の明確化およびその周知・啓発2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備3.職場におけるハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応

4.職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するための措置

5.併せて講ずべき措置
4.を除く、4つの項目については、「セクハラ防止措置」として実施すべき項目と同一です。
ですから、「セクハラ防止措置」をちゃんと行っている会社では、今までの「セクハラ防止措置」と同様の内容の措置を、マタハラについても実施すればよいだけです。
「セクハラ防止措置」の実施は義務なので、本当はすべての会社で実施されているはずですが、もし御社で「セクハラ防止措置」を実施していないということであれば、「マタハラ防止措置」と併せて、実施を検討してください。
では、まずはじめに、「マタハラ」とは何か? というお話から。
この防止措置で言う「マタハラ」の定義はこうです。
「職場において行われる上司・同僚からの言動により、妊娠・出産した女性労働者や育休等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害されること」
具体的には、上司や同僚が、
「育休を取るなら辞めてくれ」
「男のくせに育休取るなどありえない」
「妊婦はいつ休むかわからないから、重要な仕事は任せられない」
などの発言や、
妊婦や短時間勤務者に、仕事や仕事上必要な情報を与えないなどの嫌がらせ行為を行うのが、ここで言う「マタハラ」になります。
来年1月からは、上記のようなマタハラ行為を防止することが義務化されます。
※もともと、妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いを、事業主が行うことは違法行為として禁止されています。
今回は、それだけではなく、上司や同僚が行うマタハラを防止することも義務付けられました。
それが、事業主に義務付けられるマタハラ防止措置。
その5つの項目をこれから順番にお話していきます。

1.事業主の方針の明確化とその周知・啓発

TOPのメッセージ

まず、TOP自ら、従業員に向けてメッセージを発信しなければなりません。
マタハラ・セクハラは絶対にあってはならない、絶対に許さないというTOPの決意を、従業員に周知・啓発していかなければなりません。
(TOP自らマタハラや不利益取扱いを行うなど、問題外!
そのようなコンプライアンスや時代感覚が欠如した人間がTOPに居座っているような会社に、未来なんてないっしょ!)
さらには、妊娠・出産・育児に関する様々な制度の利用ができることも、従業員に周知していかなければなりません。
TOPが直接に発信する機会があれば、もちろん、それがベストです。
しかし、1回きりでは、なかなか従業員に浸透していかないんですよ。
そこで、いろいろな手段を使って、従業員に会社としての方針を伝えていく必要が出てきます。
とにかく、ハラスメントが起こらない職場風土を作り上げるために、繰り返し訴えていくことが必要です。
TOP自ら率先垂範し、従業員からの「信頼貯金」を貯めていきましょう。
地道で根気がいることかもしれませんが、ハラスメントが起こらない職場風土を作り上げることで、御社で働く人誰もが活き活きと安心とやりがいを持って働くことができます。
それが、女性活躍ダイバーシティにも繋がっていくのです。
就業規則や社内報への記載
具体的には、事業主の方針等を就業規則の服務規律等に定めておくべきです。
(ハラスメントに関する規定を別途作ってもO.K.)
特に、ハラスメントを行った従業員に対しては、厳正に対処することを就業規則に明記しておいてください。
また、ハラスメントを行った場合の罰則も、懲戒規定に明記することを忘れずに!
※就業規則に定めがなければ、懲戒処分を科すことはできません。
懲戒処分の該当項目は、新しい状況・新しい時代に応じて、常に見直しをしていく必要があります。
該当項目の記載がないと、懲戒処分できませんからネ。
さらに、社内報自社ホームページ等にも、会社の方針を記載するとよいでしょう。 

研修や講習

従業員に対して、マタハラ・セクハラ防止のための研修や講習を行うことも効果的です。
その場合、1度限りではなく、定期的に行うことが有効です。
また、管理職向け講習や一般従業員向け講習など、職階別に分けて行うのがより効果的です。 
以上のようなことを行っていくのが、
1.事業主の方針の明確化とその周知・啓発」に関する実施内容です。

次回は、「2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」についてお話していきます。

2017年2月22日水曜日


事業主・労務担当者必見!「マタハラ防止措置」対策①

男女雇用機会均等法と育児介護休業法が改正されました。
その改正の中で、来年1月から事業主がマタハラ防止措置を講ずることが義務付けられました。では、「マタハラ防止措置」とは何を行えばよいのでしょう?

厚生労働省から、マタハラ防止措置に関する指針が出ています。
この指針をみながら、御社がこれから何を行っていくべきか考えていきます。
 まず最初にお話しておきたいことがあります。
「マタハラ」とは、何か? 「マタハラ」の定義について。
まずは、マタハラについて日本で最も有名で、マタハラ問題の先駆的団体として世界的に認知されている「マタハラnet」による定義をみてください。

マタハラnetによる定義
「マタハラ」とは、働く女性が妊娠・出産・育児をきっかけに職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり、妊娠・出産・育児などを理由とした解雇や雇い止め、自主退職の強要で不利益を被ったりするなどの不当な扱いをうけること。
  • マタハラ
  • パタハラ(男性が育児参加する権利を上司・同僚に侵害される)」
  • ケアハラ(介護と仕事の両立を侵害される)」
以上の3つのハラスメントを合わせて「ファミリーハラスメント」といいます。

マタハラは、「個人型」と「組織型」に分類できます。
「個人型」はさらに、「昭和の価値観押し付け型」と「いじめ型」に分類できます。

昭和の価値観押し付け型

「昭和の価値観押し付け型」とは、
「女性は妊娠・出産を機に家庭に入るべき」
「家庭を優先すべき」
という間違った価値観から起こるケース。

いじめ型

「いじめ型」とは、フォローさせられる同僚の怒りの矛先が、妊娠や育休中の女性に向かってしまうケース。
(本当であれば、フォロー体制のできていない会社に問題があるのだが・・・)

「組織型」は、「パワハラ型」と「追い出し型」に分類できます。

パワハラ型

「パワハラ型」とは、長時間働くことができない社員に対して、長時間労働を強制するケース。
産休・育休・時短勤務制度等の利用を認めない職場風土から起こります。

追い出し型

そして、「追い出し型」とは、長時間働けなくなった社員を労働環境から排除するケース。
要は、妊娠・出産したら会社を辞めるように仕向けるケースです。
この「追い出し型」のマタハラは、ほとんどの場合「違法行為」です。
法違反ですから、退職そのものが無効であり、損害賠償請求の対象にもなります。

「マタハラ」が起こる根本原因は、「性別役割分業の意識」と「長時間労働」、「法律に対する知識の欠如」といわれています。

女性は仕事に対する考え方が多様であることも、この問題を複雑にしています。
大きく3つにグループ分けできます。
1.結婚や妊娠を機に、専業主婦を選択する女性。
2.キャリアを最優先に働く女性。「バリキャリ(バリバリ働くキャリアウーマン)」
3.結婚や妊娠、子育てしながら働き続けたいと希望する女性「ワーママ(ワーキングママ)」

マミートラック

また、「マタハラ」を受けずに無事、妊娠・出産・育休を終え職場復帰できたとしても、そこには「マミートラック」が待ち構えていることもあります。
マミートラック」とは、仕事と育児の両立をしている社員が、出世コースから外れた、昇進・昇格とは無縁のキャリアコースを選択せざるを得ない状況に追い込まれることです。

ここにも、「性別役割分業の意識」と「長時間労働」が根強くはびこっています。

以上が、「マタハラnet」によるマタハラの定義ですが、次に、厚生労働省が定めるマタハラの定義についてみてみましょう。


厚生労働省がマタハラと定めるものには、大きく2つのものがあります。

①従業員が妊娠・出産・育休の申し出・取得等をしたことを理由として、事業主が解雇その他の不利益な取扱いをすること。

②職場におけて行われる上司・同僚からの言動により、妊娠・出産した「女性労働者」や育休等を申し出・取得した「男女労働者」等の就業環境が害されること。

この②のマタハラには、2つのタイプがあります。
  1. 「制度利用への嫌がらせ型」
  2. 「状態への嫌がらせ型」
ですから、
不利益な取扱い
制度利用への嫌がらせ
状態への嫌がらせ
の3つのタイプに分類することができます。

※「事業主が講ずべきマタハラ防止措置」は、②のマタハラを防止することを定めています。

1.「制度利用への嫌がらせ型」とは?

妊娠や出産をすると、様々な制度を利用できるようになります。
たとえば、「産前産後休業」や「軽易な業務への転換」、「育児休業」や「残業や深夜業の免除」等々。
女性だけでなく、男性も利用できる制度もたくさんあります。

これらは、法律で定められ、認められている制度です。
該当者が利用するのは、当たり前の権利です。
それを邪魔する権限など誰にもありません。
それなのに、制度を利用しようとしたり、実際に利用した時に、様々な嫌がらせ言動があれば、それは「マタハラ」となります。

上司が行う場合だけでなく、同僚が行う嫌がらせも「マタハラ」となります。
ただし、その内容によって、1回の嫌がらせ言動でoutの場合と、繰り返し行われた場合にoutとなる場合があります。
上司に当たる人間が行う嫌がらせ言動は、一発outになる場合が多いので、特に注意が必要です。

2.「状態への嫌がらせ型」
これは、妊娠・出産した女性労働者に対して行われるハラスメントです。
妊娠・出産すれば、だれでも労働能率が落ちます。
体調が悪く仕事ができない日もあります。
このような、妊娠・出産したということやそれによって仕事を十分にこなせなかったことに対して嫌がらせを行うのが、「状態への嫌がらせ型」マタハラです。

ここで注意していただきたいのが、「マタハラ」なる言葉が誕生したことで、その言葉に過剰に反応してしまう人が出てきます。
それは、上司の側にも、妊娠した女性労働者の側にも出てきます。

業務の調整の必要から、労働者の意向を確認することや、休業期間の変更を相談することは「マタハラ」には当たりません。
また、女性への配慮として、短時間勤務や配転を提案することも、「マタハラ」には当たりません。

何でもかんでも「マタハラ」になると恐るのではなく、当たり前のコミュニケーションをとりながら、部署の業務のスムーズな遂行と、妊娠・出産した女性労働者や育休等を申し出・取得した男女労働者への心遣いを両立させていきましょう。



現実は未だに、妊娠・出産・育児を行う女性を取り巻く環境が非常に厳しい
法律によってマタハラ禁止が謳われても、現場には、まだまだマタハラが蔓延っています。
それが御社の貴重な人材の流出や、御社の成長・発展への足枷となっていることも考えられます。

だからこそ、もし御社が真摯にマタハラ防止に取り組んでいると評価されれば、優秀な人材の定着が望めます。
女性従業員だけでなく、男性従業員の定着にも効果が望めます。
御社で働くことを希望する人材が殺到することだって有り得ます。
人材が定着するということは、募集・採用・教育のコストを大きく削減できるメリットがあります。
当然、業務もスムーズに運ぶことが多くなりますし、従業員一人ひとりの能力UPやキャリアアップも期待できます。
それが結局、御社の業績upにつながります。


2017年2月19日日曜日

年金の資格期間が25年から10年に短縮

老齢年金を受け取るための資格期間が25年から10年に短縮

当ブログは日本年金機構のホームページを元に当事務所が加筆・訂正したものです。
資格期間平成29年8月1日からは、10年以上でOK.
資格期間:保険料納付済期間国民年金の保険料免除期間などを合算した期間
保険料納付済期間国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合等の加入期間を含む

1.平成29年8月1日時点で、資格期間が10年以上25年未満の方

(1)年金請求書の送付 

資格期間が10年以上25年未満であって、下記の表に該当する方
ダウンロードのリンク 新規ウインドウで開きます。年金請求書(短縮用)(PDF 1,248KB)」及び年金の請求手続きのご案内を日本年金機構からご本人あてに送付します。
請求手続きは平成29年8月1日以前でも可能です。
「年金請求書(短縮用)」が届きましたら、年金事務所等でお手続きをしてください。
すべての加入期間が国民年金第1号被保険者期間の方は、市区町村でお手続きをしてください。
 生年月日送付の時期
1大正15年4月2日~昭和17年4月1日平成29年2月下旬~3月下旬
2昭和17年4月2日~昭和23年4月1日平成29年3月下旬~4月下旬
3昭和23年4月2日~昭和26年7月1日平成29年4月下旬~5月下旬
4
昭和26年7月2日~昭和30年10月1日【女性】
昭和26年7月2日~昭和30年8月1日【男性】
平成29年5月下旬~6月下旬
5
昭和30年10月2日~昭和32年8月1日【女性】
大正15年4月1日以前生まれの方
共済組合等の期間を有する方
平成29年6月下旬~7月上旬

(2)送付物

(3)年金の請求手続きに必要なもの

(4)年金の受け取り

年金の決定後は、平成29年8月以降に「年金証書・年金決定通知書」をお送りします。
お支払いは平成29年10月以降になります。

(5)ご相談・お手続きの際のお願い

年金事務所の窓口で年金請求の手続きや、年金についての相談を希望する方は、ぜひ、予約相談をご利用ください。予約相談の受付は、「ねんきんダイヤル」で。

(6)ご注意ください

不審な電話や訪問にご注意ください。怪しいなと感じたら、お近くの年金事務所または警察に連絡してください。
これまでに寄せられた「不審な電話や訪問のケース」をご紹介しますので、こちらをご確認ください。

2.平成29年8月1日時点で、資格期間が10年未満の60歳以上の方

10年の資格期間がない方でも、下記の制度を活用することで、年金を受け取れる可能性があります。

(1)任意加入制度

ご本人の申出により「60歳以上70歳未満」の期間に国民年金保険料を納めることで、年金を受給するために必要な資格期間を満たすことがあります。
加入は申出のあった日からになりますので、ご注意ください。
【ご利用いただける方】
○ 60歳以上65歳未満の方
・老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
・現在、厚生年金保険に加入していない方
○ 65歳以上70歳未満の方
・老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない方
・現在、厚生年金保険に加入していない方
任意加入制度の詳細については、こちら(パンフレット「あなたも国民年金を増やしませんか?」)をご確認ください。

(2)後納制度

過去5年以内に国民年金保険料の納め忘れがある方は、申し込みにより平成27年10月から平成30年9月までの3年間に限り、国民年金保険料を納めることができます。
【ご利用いただける方】
○ 5年以内に保険料を納め忘れた期間がある方(任意加入中の保険料も該当します)
○ 5年以内に未加入の期間がある方(任意加入の対象となる期間は該当しません)
※60歳以上で老齢基礎年金を受け取っている方は申し込みできません。
後納制度の詳細については、こちらをご確認ください。

(3) 特定期間該当届・特例追納制度のご案内

会社員の夫が退職したときや妻の年収が増えて夫の健康保険の被扶養者から外れたときなどには国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者への切替が必要でした。過去に2年以上切替が遅れたことがある方は、切替が遅れた期間の年金記録が保険料未納期間になっています。
「特定期間該当届」の手続きをすることで、年金を受け取れない事態を防止できる場合があるほか、最大で10年分の保険料を納めることができます。納付できる期間は平成30年3月までです。お手続きをお願いします。
詳細については、第3号被保険者からの手続きが遅れた方へをご確認ください。

(4)年金記録の再確認のお願い

持ち主のわからない年金記録(いわゆる「未統合記録」)につきましては、これまでも「ねんきん特別便」や「ねんきん定期便」などにより、年金記録のご確認をお願いしてまいりました。しかし、いまだ約2000万件の持ち主を確認できていない記録が残っています。この中に、ご自身の記録があった場合は、資格期間になる可能性があります。特に、旧姓やよく読み間違えられるお名前の読み方、本来とは異なる生年月日・お名前で届出された可能性がある方は、その生年月日やお名前を、年金事務所の職員にご相談ください。年金記録をもう一度確認します。
また、年金記録は「ねんきんネット」でも確認することができますのでご活用ください。
「ねんきんネット」に関するご案内はねんきんネットからご確認いただけます。
「ねんきんネット」のご利用登録は新規ウインドウで開きます。(「ねんきんネット」申請用トップページ)(外部リンク)からお願いします。

3.資格期間を確認したい方

4.平成29年8月1日以降に支給開始年齢に到達する方

ダウンロードのリンク 新規ウインドウで開きます。
男性:昭和30年8月2日以降生まれの方、女性:昭和35年8月2日以降生まれの方
支給開始年齢(PDF 1,363KB)に到達する3ヵ月前に、基礎年金番号、氏名、生年月日、性別、住所及び年金加入記録をあらかじめ印字した「年金請求書(事前送付用)及び年金の請求手続きのご案内を日本年金機構からご本人あてに送付します。「年金請求書(事前送付用)」が届くまでお待ちください。
年金請求書の受付は、支給開始年齢になってからです。平成29年8月1日以降に支給開始年齢に到達したら、年金請求書を提出してください。

2017年2月14日火曜日

厚生労働大臣 「過労死等ゼロ」実現に向けて緊急要請


 塩崎厚生労働大臣は、全国社会保険労務士会連合会の会長に宛てて、「『過労死等ゼロ』実現に向けた緊急要請書」を送りました(今月7日付け)。
 これによりますと、「貴団体におかれましては、長時間労働の削減等について、一層の努力をしていただくよう、改めて下記の事項について要請します」とし、
①36協定による時間外労働・休日労働を適正な水準とすること
②「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
(平成29年1月20日策定)」の遵守を徹底すること
③メンタルヘルス対策の取組を推進すること
④パワーハラスメントの予防や解決に向けた取組を継続的に行うこと
⑤他の企業との取引を行うに当たっては納期の適正化を図る等の配慮をすること
を要請しています。
 そして、「今回の要請の趣旨を十二分にご理解いただき、貴団体ならびに傘下団体、傘下団体の会員である社会保険労務士を通じて、顧問先の事業場等への周知、啓発に向けたご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます」と締められています。

詳しくは、こちらをご覧ください。
・「過労死等ゼロ」実現に向けた緊急要請書
http://www.shakaihokenroumushi.jp/LinkClick.aspx?fileticket=M9Ke6CxXgeU%3d&tabid=343&mid=722

2017年2月12日日曜日

国民年金保険料の未納期間のお知らせ

 日本年金機構は国民年金保険料を納めていない期間がある方にお知らせをお送りいたします
 機構は、国民年金保険料を納付していない期間がある方に、「ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)」を送付するとのことです。
これは、ハガキ形式で、保険料を納めていない期間や金額などが記載されるようです。
お知らせが届いた時点でまだ国民年金保険料を納付していない場合は、早めに納付するか、経済的に厳しい場合は、国民年金保険料の免除申請を行うことが推奨されています。納付又は免除申請を行うことにより、老齢年金の資格期間を満たすというケースもあるかもしれませんね。

詳しくは、こちらをご覧ください。

国民年金保険料の未納期間のお知らせ
http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2017/20170207.html

「老齢年金資格期間10年以上に変更」への対応

 平成29年8月から、老齢年金を受け取るために必要な資格期間が25年から10年以上に変更されます
 これまでは、老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)を受け取るためには、保険料納付済期間(国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合等の加入期間を含む)と国民年金の保険料免除期間などを合算した資格期間が原則として25年以上必要でした。平成29年8月1日からは、資格期間が10年以上あれば老齢年金を受け取ることができるようになります。
これを受けて、機構は、資格期間が10年以上25年未満であって、新たに老齢年金の支給対象となる方に、生年月日に応じて段階的に、基礎年金番号、氏名、生年月日、性別、住所及び年金加入記録をあらかじめ印字した「ダウンロードのリンク 新規ウインドウで開きます。年金請求書(短縮用)」及び年金の請求手続きのご案内を本人あてに送付するとのことです。
請求手続きは、平成29年8月1日以前でも可能ということで、「年金請求書(短縮用)」が届いたら、すぐに手続きした方がよさそうですね。

詳しくは、こちらをご覧ください。
必要な資格期間が25年から10年に短縮されます
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/tansyuku/20170201.html

当事務所では年金のご相談には無料で対応します。

「年金資格期間10年以上へ変更」無料相談室はこちら