過労死の定義
過労死とは、業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡、もしくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡をいいます。
これが厚生労働省による定義です。
一般に労働災害が認定されるには、労働と災害との間に相当因果関係が必要です。相当因果関係というのは、労働と災害との間に「その労働が無ければその災害は発生しなかった」というだけでなく、客観的科学的に見て「災害の有力な原因が労働だと考えるのが自然である」「その労働からその災害が発生するのは、偶然でもなく、異常なことでもない」という関係があることをいいます。
上記の2つの通達による認定基準では、具体的な時間外労働時間が示されています。この基準は「過労死ライン」などと呼ばれることもあります。
この基準を超える場合には、遺族側が過労死・過労自殺について厳格な証明をしなくても労災認定が行われます。
反対に、基準を下回る場合には遺族側が相当因果関係について厳格な証明をしなければ、労災保険が適用されないことになります。
そして、この証明はかなり高いハードルです。
それは、次のような事情によるものです。
・会社に損害賠償の請求があった場合には不利となるので、労働と災害との間に相当因果関係があったことを、公の手続きで認定されたくない。
・会社に労働基準監督署の調査が入るきっかけとなる。
・メリット制が適用される場合には、後の年度の労災保険料が割高になる。
(ここでメリット制というのは、100人以上の労働者を使用した事業などに限って適用されるもので、適用されない事業では労災事故が多くても少なくても労災保険料の料率は変わりません。)
こうした事情から、会社は時間外労働時間が過労死ラインを超えないように努めることになります。
中には、過労死ラインを下回る時間外労働しか無いような外形を作っているだけの会社や、労災を隠してしまう会社もあります。
たしかに基準を守っていれば、会社の法的責任が問われることは、ある程度防げるでしょう。
ところが実際には、過労死ラインを下回る時間外労働だったとしても、私生活上の負担や遺伝的要素などによっては、死の結果が発生してしまうことがあります。
基準を守るだけでは、尊い命を守れないのです。
ですから、定期健康診断やストレスチェックの実施とフィードバックなど、労働安全衛生法に示されているような施策は、最低限のこととして必要です。
それだけでなく、労働そのものの身体的・精神的負担、出勤日・勤務時間帯の変則性、休憩・休日の取り方、人事異動の履歴、仕事と生活とのバランスなど、労務管理の視点からのチェックと改善、そして労働環境の維持・増進も行わなければなりません。
各企業の経営者の方々には、是非とも「会社が責任を負わないように」という考えから一歩踏み出して「尊い社員の命を守る」という考えに立っていただきたいと思います。
これが厚生労働省による定義です。
死の結果に労災保険が適用される基準
この定義に対応して、「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く)の認定基準について」(平成13年12月12日付基発第1063号厚生労働省労働基準局長通達)と、「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(平成23年12月26日付基発1226第1号厚生労働省労働基準局長通達)が出されています。一般に労働災害が認定されるには、労働と災害との間に相当因果関係が必要です。相当因果関係というのは、労働と災害との間に「その労働が無ければその災害は発生しなかった」というだけでなく、客観的科学的に見て「災害の有力な原因が労働だと考えるのが自然である」「その労働からその災害が発生するのは、偶然でもなく、異常なことでもない」という関係があることをいいます。
上記の2つの通達による認定基準では、具体的な時間外労働時間が示されています。この基準は「過労死ライン」などと呼ばれることもあります。
この基準を超える場合には、遺族側が過労死・過労自殺について厳格な証明をしなくても労災認定が行われます。
反対に、基準を下回る場合には遺族側が相当因果関係について厳格な証明をしなければ、労災保険が適用されないことになります。
そして、この証明はかなり高いハードルです。
労災保険適用の回避
会社は、重大な労災事故に労災保険が適用されることを嫌います。それは、次のような事情によるものです。
・会社に損害賠償の請求があった場合には不利となるので、労働と災害との間に相当因果関係があったことを、公の手続きで認定されたくない。
・会社に労働基準監督署の調査が入るきっかけとなる。
・メリット制が適用される場合には、後の年度の労災保険料が割高になる。
(ここでメリット制というのは、100人以上の労働者を使用した事業などに限って適用されるもので、適用されない事業では労災事故が多くても少なくても労災保険料の料率は変わりません。)
こうした事情から、会社は時間外労働時間が過労死ラインを超えないように努めることになります。
中には、過労死ラインを下回る時間外労働しか無いような外形を作っているだけの会社や、労災を隠してしまう会社もあります。
尊い命を守るために
2つの通達が示す基準は、遺族の証明責任の負担を軽くするためのものに過ぎません。たしかに基準を守っていれば、会社の法的責任が問われることは、ある程度防げるでしょう。
ところが実際には、過労死ラインを下回る時間外労働だったとしても、私生活上の負担や遺伝的要素などによっては、死の結果が発生してしまうことがあります。
基準を守るだけでは、尊い命を守れないのです。
ですから、定期健康診断やストレスチェックの実施とフィードバックなど、労働安全衛生法に示されているような施策は、最低限のこととして必要です。
それだけでなく、労働そのものの身体的・精神的負担、出勤日・勤務時間帯の変則性、休憩・休日の取り方、人事異動の履歴、仕事と生活とのバランスなど、労務管理の視点からのチェックと改善、そして労働環境の維持・増進も行わなければなりません。
各企業の経営者の方々には、是非とも「会社が責任を負わないように」という考えから一歩踏み出して「尊い社員の命を守る」という考えに立っていただきたいと思います。
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