2017年6月17日土曜日

法改正5(健康保険法)

最近の法改正についてシリーズでお伝えします。
第5回として健康保険法に関する法改正についてお知らせします。
最右欄のアルファベットは重要度ですので参考にしてください。

健康保険法 法改正

適用基準の明確化と
短時間労働者に対する適用拡大
平成2810月1日
平成29年4月1日施行
1 ①これまで、内かんによって取り扱われてきた4分の3基準が、法律に明記された。
また、②4分の3基準を満たさない者でも、新たに設けられた要件を満たす場合には、健康保険を適用することとされた(②の部分が適用拡大)。
2 適用拡大については、当分の間、特定適用事業所(規模500人超え)に限り適用することとされた。
このことについて、適用拡大を促進するため、労使合意に基づく適用拡大の申出をした事業所(任意特定適用事業所)は、その適用を受けることができることとされた。
定時決定などの報酬支払基礎日数の要件の見直し
平成2810月1日施行
適用拡大により被保険者となる短時間労働者について、報酬支払基礎日数の要件となる「17日」を、「11日」とすることとされた。
被扶養者の範囲に関する改正
平成2810月1日施行
兄姉の取扱いを弟妹と同様にした。
国庫補助に関する改正
平成29年4月1日施行
後期高齢者支援金の全面総報酬割の実施などに伴い、協会けんぽにおける国庫補助の規定を見直すこととされた。
その他
平成2810月1日ほか
施行
~C
1 事業主が行う届出に関する改正①
適用拡大に伴い、被保険者の区別の変更の届出などが規定された。
2 事業主が行う届出に関する改正②
被保険者資格取得届に個人番号の記載欄が設けられた(経過措置あり)。
3 事業所の適用情報等の公表
事業所の適用情報等の公表の規定が設けられた。
4 協会管掌健康保険の一般保険料率・介護保険料率の改定
協会管掌健康保険の一般保険料率(都道府県単位保険料率)、介護保険料率の改定が行われた。

法改正4(国民年金法)

最近の法改正についてシリーズでお伝えします。
第4回として国民年金法に関する法改正についてお知らせします。
最右欄のアルファベットは重要度ですので参考にしてください。

国民年金法 法改正

改定率の改定・再評価率の改定
平成29年4月1日施行
改定率及び再評価率は、諸条件から、新規裁定者・既裁定者ともに、物価変動率(0.999を改定の基準とすることとされた。
受給権者が行う届出に関する改正
平成29年1月16日・
平成29年1月1日施行
いわゆる番号利用法の一部の施行等に伴い、受給権者が行う手続について新たに個人番号を利用することとするため、所要の改正が行われた。

法改正3(厚生年金法)

最近の法改正についてシリーズでお伝えします。
第3回として厚生年金保険法に関する法改正についてお知らせします。
最右欄のアルファベットは重要度ですので参考にしてください。

厚生年金保険法 法改正

適用基準の明確化と
短時間労働者に対する適用拡大
平成2810月1日
平成29年4月1日施行
1 ①これまで、内かんによって取り扱われてきた4分の3基準が、法律に明記された。
また、②4分の3基準を満たさない者でも、新たに設けらた要件を満たす場合には、厚生年金保険を適用することとされた(②の部分が適用拡大)。
2 適用拡大については、当分の間、特定適用事業所(規模500人超え)に限り適用することとされた。
このことについて、適用拡大を促進するため、労使合意に基づく適用拡大の申出をした事業所(任意特定適用事業所)は、その適用を受けることができることとされた。
標準報酬月額に関する改正
平成2810月1日施行
1 標準報酬月額等級の下限に、1等級追加された。
2 適用拡大により被保険者となる短時間労働者について、報酬支払基礎日数の要件となる「17日」を、「11日」とすることとされた。
支給停止調整額と支給停止調整変更額の改定
平成29年4月1日施行
47万円」が「46万円」に改定された
保険料率の引き上げ
平成28年9月適用
保険料水準固定方式により、平成28年9月から平成29年8月までの保険料率が引き上げられた。
その他
平成2810月1日ほか
施行
~C
1 育児・介護休業法の改正に伴い、3歳に満たない子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例の申出の際の添付書類の一部について、改正が行われた。
2 適用拡大に伴い、被保険者の区別の変更の届出などが規定された。
3 被保険者資格取得届に個人番号の記載欄が設けられた(経過措置あり)。
4 事業所の適用情報等の公表の規定が設けられた。
5 報告の方法が「光ディスク」による報告に統一された。その他、厚生年金保険法施行規則中の「磁気ディスク」という部分が「光ディスク」に改められた。
6 厚生労働大臣と日本年金機構の連携の確保、悪意の受益者に係る返還金・遅延利息の現金収納に関する改正が行われた。
7 障害者・長期加入者の特例に該当する60歳台前半の老齢厚生年金の受給権者が、短時間労働者として被保険者となったときの支給停止について、経過措置が設けられた。

法改正2(社会保険)

最近の法改正についてシリーズでお伝えします。
第2回として社会保険に関する法改正についてお知らせします。
最右欄のアルファベットは重要度ですので参考にしてください。

社会保険に関する法改正

国民健康保険法
平成29年3月31日施行
国民健康保険の70歳から74歳までの被保険者の高額療養費の支給申請について、市町村の判断により手続を簡素化することを可能とすることとされた
高齢者医療確保法
平成29年4月1日施行
前期高齢者納付金等の額の算定方法などの見直し、後期高齢者支援金等の額の算定方法の見直し(全面総報酬割の実施など)が行われた。
介護保険法
平成29年4月1日施行
・平成29年度における保険料率の算定に関する基準に関する特例が設けられた。
・参考:介護予防・日常生活支援総合事業への移行期間の終了
児童手当法(子ども・子育て支援法)
平成29年4月1日施行
1 児童福祉法等の一部改正に伴い、文言整理などが行われた。
2 児童手当の支給に要する費用などに充てるために、政府が一般事業主から徴収する拠出金(子ども・子育て拠出金)の拠出金率が改定された。
(子ども・子育て支援法〔その政令を含む。〕の改正を含む。)
確定給付企業年金法
平成29年1月1日施行
確定給付企業年金の弾力的な運営等を図るため、リスク対応掛金・リスク分担型企業年金の制度が導入された。
確定拠出年金法
平成29年1月1日施行
A、C
1 個人型の確定拠出年金の加入者の範囲が拡大された。これに伴い、用語の整理や拠出限度額の設定などが行われた。
2 いわゆる個人型の脱退一時金の支給要件が見直された。
3 その他、所要の改正が行われた。
その他
平成29年3月1日適用
平成2810月1日発効
1 船員保険法
29年3月分(4月納付分)から、介護保険料率が引き下げられた。
2 社会保障協定
日本とインドの間の社会保障協定が発効した。

2017年6月16日金曜日

法改正1(労務管理その他)

これから9回にわたり、最近の法改正についてシリーズでお伝えします。
第1回として労務管理その他労働に関する法改正についてお知らせします。
最右欄のアルファベットは重要度ですので参考にしてください。

労務管理その他の労働に関する法改正

職業安定法
平成28年8月20
平成29年4月1日施行
1 地方公共団体の行う無料職業紹介事業(旧33条の4:届出制)が廃止され、特定地方公共団体の規定が設けられた。これにより、地方公共団体は、無料の職業紹介事業を行うことができ、このことについて、厚生労働大臣への届出は不要とされた。
2 職業紹介事業の欠格事由が見直された。
労働者派遣法
平成29年1月1日施行
男女雇用機会均等法、育児・介護休業法において、新たなハラスメントの防止措置の規定が設けられたことなどに伴い、労働者派遣法における男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の適用に関する特例について、所要の改正が行われた。
男女雇用機会均等法
平成29年1月1日施行
平成29年4月1日適用
1 「職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置(妊娠・出産等に関するハラスメントの防止措置)」の規定が創設された。
2 男女雇用機会均等対策基本方針が全面的に改正された。
育児・介護休業法
平成29年1月1日施行
~C
妊娠・出産・育児期や家族の介護が必要な時期に、男女ともに離職することなく働き続けることができるよう、仕事と家庭が両立できる社会の実現を目指し、雇用環境を整備することとし、次のような改正が行われた。
1 育児休業等の対象となる子の範囲の拡大
2 介護休業等の対象となる対象家族の範囲の拡大
3 期間雇用者の育児休業・介護休業の取得要件の緩和
 介護休業の分割取得の見直し(同一の対象家族の同一の要介護状態についても、延べ93日の間に3回まで取得可能に)
5 子の看護休暇・介護休暇の取得単位の柔軟化(半日単位(1日未満単位)での取得が可能に)
6 介護のための所定外労働の制限の創設
7 介護のための所定労働時間の短縮等の措置の見直し(介護休業とは別に、利用開始から3年間以上の期間に2回以上利用できる措置とする)
8 職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置の創設

2017年6月14日水曜日

2017年の「骨太方針」などを閣議決定

 政府は、6月9日、臨時閣議を開き、2017年の「骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針)」などを決定しました。

 安倍首相は、
「4年半のアベノミクスの取組により、GDPは過去最高の水準となりました。国民生活に密接な関係を持つ雇用は大きく改善し、賃上げの流れも続いています。この勢いを更に加速させ、成長と分配の好循環を拡大していくため、働き方改革の実行に加えて人材への投資を通じた生産性の向上を図る。また、イノベーションをあらゆる産業や日常生活に取り入れ社会課題を解決するSociety 5.0の実現を図る。そのために必要な取組をどんどん具体化してまいります」と、

一億総活躍社会の実現に向けて、決意を述べました。

 これに合わせて、次の4件の閣議決定が行われました。

・経済財政運営と改革の基本方針2017 主なポイントはこちら
・未来投資戦略2017  主なポイントはこちら
・まち・ひと・しごと創生基本方針2017 主なポイントはこちら
・規制改革実施計画    主なポイントはこちら

関連リンクは下記参照

2017年6月9日金曜日

懲戒処分にするための事前準備

遅刻常習犯への減給処分

ある社員が月2回のペースで遅刻を繰り返し、その都度、上司に呼ばれ注意を受けていました。
半年余りが経過し、人事部門でも毎度毎度の遅刻が問題視され、やがて減給処分が行われます。
周囲の社員たちが「減給処分は当然だ」「処分するのが遅すぎる」「あの程度の減給では処分が軽すぎるのでは」と感想を述べています。 

遅刻社員からの慰謝料請求

ある日、労働局から代表取締役宛に「あっせん期日の通知」が届きます。
あの遅刻社員が、会社に対し減給処分の無効を主張し、さらには、精神的苦痛をこうむったとして慰謝料の支払いを求め、労働局にあっせんの申請をしたのです。
上司は「あいつ、何を考えてるんだろう」とあきれます。 

証拠書類があるか

会社は、ある特定社労士を代理人に選任します。
委任を受けた特定社労士は、まず、関係者から話を聞き、その事実を裏付ける証拠書類を確認していきます。
就業規則とタイムカードから、遅刻の事実は明らかです。
何月何日に何分遅刻したかを示す一覧表を作成することになりました。
ところが、遅刻について上司から繰り返し注意したことの証拠がありません。
遅刻の当日に毎回、上司から口頭での注意があったことは、みんなが知っている事実です。
しかし、社員は会社側の味方をして当然ですから、その証言は有効な証拠とはなり難いのです。 

必要な事前準備

適正な懲戒処分は、口頭注意をしても改善が見られないときに、文書による注意を行い、それでも改善されないなら懲戒処分を行うという流れになります。
そして、あっせん、労働審判、訴訟などでは、証拠に基づき事実が認定されます。
上司が口頭注意を行った場合には、後日の争いに備えて、その日時や内容を具体的に記した報告書を作成し、これに社長や取締役までの署名を得ておきます。
これを遅刻する社員に確認させ署名してもらいます。
この報告書のコピーをその社員に渡し、会社が原本を保管します。
今回は、こうした準備が無かったため、あっせんでは会社が大幅な譲歩を迫られるでしょう。
なにしろ、事実の認定は「何も指導をしないまま、いきなり懲戒処分を行った」ということになるわけですから。