「働き方改革実行計画(案)」決定 時間外労働の上限規制は?
先月28日、第10回目の働き方改革実現会議が開催され、「働き方改革実行計画(案)」が決定されました。
この実行計画において、改革の柱といえる「時間外労働の上限規制」については、結局、どのような方向性が示されたのでしょうか?
以下で、そのポイントを紹介させていただきます。
<時間外労働の上限規制/労働基準法の改正の方向性のポイント>
●規制の内容
週40時間を超えて労働可能となる時間外労働の限度を、原則として、月45時間、かつ、年360時間とし、違反には以下の特例の場合を除いて罰則を課す。
特例として、臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間を年720時間(=月平均60時間)とする。
かつ、年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限を設ける。
この上限について、
・2か月、3か月、4か月、5か月、6か月の平均で、いずれにおいても、休日労働を含んで、80時間以内を満たさなければならないとする。
・単月では、休日労働を含んで100 時間未満を満たさなければならないとする。
・加えて、時間外労働の限度の原則は、月45時間、かつ、年360時間であることに鑑み、これを上回る特例の適用は、年半分を上回らないよう、年6回を上限とする。
他方、労使が上限値までの協定締結を回避する努力が求められる点で合意したことに鑑み、さらに可能な限り労働時間の延長を短くするため、新たに労働基準法に指針を定める規定を設けることとし、行政官庁は、当該指針に関し、使用者及び労働組合等に対し、必要な助言・指導を行えるようにする。
●現行の適用除外等の取扱い
・「自動車の運転業務」については、現行制度では限度基準告示の適用除外とされている。これに対し、今回は、罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の5年後に、年960時間(=月平均80時間)以内の規制を適用することとし、かつ、将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設けることとする。
・「建設事業」については、限度基準告示の適用除外とされている。これに対し、今回は、罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の5年後に、罰則付き上限規制の一般則を適用する(ただし、復旧・復興の場合については、単月で100時間未満、2か月ないし6か月の平均で80時間以内の条件は適用しない)。併せて、将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設けることとする。
・「医師」については、時間外労働規制の対象とするが、医師法に基づく応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要である。具体的には、改正法の施行期日の5年後を目途に規制を適用することとし、医療界の参加の下で検討の場を設け、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指し、2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討し、結論を得る。
・「新技術、新商品等の研究開発の業務」については、現行制度では適用除外とされている。これについては、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新技術、新商品等の研究開発の業務の特殊性が存在する。このため、医師による面接指導、代替休暇の付与など実効性のある健康確保措置を課すことを前提に、現行制度で対象となっている範囲を超えた職種に拡大することのないよう、その対象を明確化した上で適用除外とする。
規制の内容については、これまでの議論でまとめてきたとおりですね。「100時間未満」の部分が注目の的です。
適用除外等の取扱いについては、何とか取りまとめたという感じで、5年の猶予が目立ちますね。「働く人の視点に立って働き方改革を進める方向性を共有した上で、実態を踏まえて対応の在り方を検討する必要がある」ということで、実質的には今後の課題といえそうです。
しかし、「新技術、新商品等の研究開発の業務」については、“その対象を明確化した上で適用除外とする”と明言しています。裁量労働制の改正との関連性があるのかもしれませんね。
ひとまず、当面は、労働基準法の改正法案の国会への提出がいつ頃になるのかに注目です。
ひとまず、当面は、労働基準法の改正法案の国会への提出がいつ頃になるのかに注目です。
詳しくは、こちらをご覧ください。
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