2017年7月31日月曜日

事務所通信2017年8月号をアップしました。

事務所通信2017年8月号の内容は下記の通りです。

 1.配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し①
 2.雇用保険の雇用継続給付に係る支給限度額などの変更
 3.平成 28 年度「個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表
 4.お仕事カレンダー8月

事務所通信2017年8月号はこちら

過去の事務所通信はこちら

本年8月分(10月支払い分)からの労災年金額 スライド率等を改定


 労災年金に係るスライド率給付基礎日額の最低保障額及び年金給付基礎日額の年齢階層別の最低・最高限度額は、賃金に関する諸統計を考慮して、毎年8月から改定されることになっています。
 本年の改定による変更後の給付基礎日額は、本年8月1日以降の年金額の算定に適用されますので、本年10月の支払期から変更後の年金額が支払われることになります。
 なお、今回の改定により年金額等が変更となる方に対しては、8月下旬に「変更決定通知書」が送付されることになっています。
 
 詳しくは、こちらをご覧ください。
 スライド率、給付基礎日額の最低保障額及び年金給付基礎日額の年齢階層別の最低・最高限度額の改定の仕組みのほか、計算例も紹介されています。
<スライド率等の改定に伴う労災保険年金額の変更について>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/rousainenkin-slideinfo/

2017年7月30日日曜日

平均寿命 女性87.14歳・男性80.98歳 いずれも過去最高を更新


 厚生労働省は、今月27日、「平成28年簡易生命表」を公表しました。
 これによると、平成28年の日本人の平均寿命は女性が87.14歳(前年比+0.15歳)、男性が80.98歳(前年比+0.23歳)となり、いずれも過去最高を更新しています。女性は2年連続で世界2位で、男性は前年の4位から2位に上がりました。
平均寿命が延びた要因は下記の通りです。(単位:歳)
女性 肺炎:0.04、心疾患:0.04、脳血管疾患:0.04、悪性新生物:0.02
男性 悪性新生物:0.08、自殺:0.05、脳血管疾患:0.03、肺炎:0.03
男性は悪性新生物(がん)と自殺の減少が大きく寄与しています。
 
 詳しくは、こちらをご覧ください。
<平成28年簡易生命表の概要>
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life16/index.html

2017年7月28日金曜日

個人情報保護法のシンプルレッスンを更新(個人情報保護委員会)


 今年5月30日施行の改正個人情報保護法の概要をまとめたものとして、個人情報保護委員会は、「中小企業向け「これだけは!」10のチェックリスト付 はじめての個人情報保護法~シンプルレッスン~」を作成し、公表しています(今年6月作成)。
 今月26日、個人情報保護委員会から、その資料を更新したとのお知らせがありました。
詳しくは、こちらをご覧ください。

個人情報保護法全般について


中小規模の事業者の皆様向け


自治会・同窓会の皆様向け

違法残業1万事業場超え 厚労省が是正勧告

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に適合するよう指導した」

 厚生労働省は、今月26日、平成28年4月から平成29年3月までに、長時間労働が疑われる事業場に対して実施した「労働基準監督署による監督指導の実施結果」を取りまとめ、公表しました。
 前回の平成27年度の監督指導は、月100時間超の時間外・休日労働が疑われる事業場等を対象として実施されましたが、今回の監督指導は、月80時間超の時間外・休日労働が疑われる事業場等を対象として実施されました。そのこともあって、監督指導の数は大幅に増えた形になっています。
 
 今回の監督指導の結果のポイントは、次のとおりです。
(1)監督指導の実施事業場:23,915事業場
   このうち、15,790事業場(全体の66.0%)で労働基準関係法令違反あり。
(2)主な違反内容 [(1)のうち、法令違反があり、是正勧告書を交付した事業場]
①違法な時間外労働があったもの:10,272事業場(43.0 %)
 このうち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が月80時間を超えるもの:7,890事業場(76.8%)
②賃金不払残業があったもの:1,478事業場(6.2 %)
③過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:2,355事業場(9.8 %)
(3)主な健康障害防止に係る指導の状況 [(1)のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]
①過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:20,515事業場(85.8 %)  
②労働時間の把握が不適正なため指導したもの:2,963事業場(12.4 %)
 
 また、今回の監督指導では、「2,963事業場に対して、労働時間の把握が不適正であるため、厚生労働省で定める「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に適合するよう指導した」ということで、このガイドラインが重要視されていることが分かります。 
 厚生労働省では、今後も監督指導の徹底をはじめ、長時間労働の是正に向けた取組みを積極的に行っていくとのことです。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します>
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000172536.html
※参考資料として、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」も紹介されています。今一度、ご確認ください。
ガイドラインは下記を参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000152692.pdf

東京の最低賃金は958円に

平成29年度の最低賃金 全国加重平均で25円の引上げを提示
目安額通り引き上げられると東京都は958円に


 今月27日に開催された第49回中央最低賃金審議会で、平成29年度の地域別最低賃金額改定の目安について、答申の取りまとめが行われました。
 その内容が厚生労働省から公表されました。
 今年度の目安で示された引上げ額は、最高26円(Aランク)~最低22円(Dランク)、全国加重平均では25円となっています。目安額どおりに最低賃金が決定されれば、最低賃金が時給で決まるようになった 平成14年度以降で最高の引上げとなります。
 また、全都道府県で20円を超える目安額となっており、引上げ率に換算すると3.0%となります。
 
 この答申は、「中央最低賃金審議会目安に関する小委員会」において4回にわたる審議を重ねて取りまとめられた「目安に関する公益委員見解」等を、地方最低賃金審議会に示すものです。
 今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、 各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。

詳しくは、こちらをご覧ください。
<平成29年度地域別最低賃金額改定の目安について>
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000172722.html

2017年7月22日土曜日

マイナポータルの子育てワンストップサービス 今秋から本格スタート

 マイナポータルとは、マイナンバーカードを用いて自分のアカウントを作成し、オンライン上で行政機関が持つ自分の情報を確認する、行政機関などからのお知らせを受け取る、全国の行政サービスを検索し電子申請することが可能となる内閣府が運営するウェブサービスです。

 まずは、「子育てワンストップサービス」から動き始めており、今月18日から試行運用が開始されています。

このサービスは
①自分にぴったりなサービスを検索して、
②自治体にオンラインで申請することを可能にします。
 これによって保育所探しの負担を軽減しようという狙いがあるようです。
内閣府HP:「マイナポータルの運用スケジュール」
http://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/myna_portal.pdf
 
 利用方法なども含め、詳しくは、こちらをご覧ください。
内閣府HP:
「マイナポータルの子育てワンストップサービスが2017年秋頃から本格スタート!!」
http://www.cao.go.jp/bangouseido/ad/card_start_contents.html#oss

テレワークの最新事例の研究を報告

(日本テレワーク協会)

 日本テレワーク協会が会員企業・団体等とともに実施する事業活動の一つであるテレワーク最新事例研究部会は、シェアオフィスやコワーキングスペース等を、オフィス・自宅に続く第三のワークスペースと位置付け、特に設備要件に注目してそれらの利用価値を考察しています。また、サードワークプレースをよりよく選択するための整理用ワークシートの試作なども行っています。この度、そのような研究結果が発表されました。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<報告書「ワークスタイル変革に資する第三の場 (サードワークプレース)活用の可能性」を発表しました>
http://www.japan-telework.or.jp/oshirase/141.html

無期転換ルール 有期契約労働者の8割以上は内容を知らない

(連合調査)

 連合(日本労働組合総連合会)は、今月20日、「有期契約労働者に関する調査報告」を掲載しました。
 平成25年に改正労働契約法が施行され、同法第18条では、同じ事業主の元で契約更新が繰り返されて通算5年を超えた有期契約労働者は、本人の申し出によって無期雇用として働けることとされており、平成30年の4月1日から本格的に、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる権利を有する労働者が生じることとなります。
 今回の調査によると、「無期労働契約への転換(第18条)」については、「ルールの内容まで知っていた」は15.9%にとどまり、「ルールができたことは知っているが、内容までは知らなかった」が32.9%、「ルールができたことを知らなかった」が51.2%で、これら2つを合計した『内容を知らなかった(計)』は84.1%となっています。
 その他、「労働契約法第20条(不合理な労働条件の禁止)の施行状況」、「労働契約法第20条(不合理な労働条件の禁止)の施行状況」などの調査も行われており、その結果も興味深いところです。詳しくは、こちらをご覧ください。
<有期契約労働者に関する調査報告>
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20170720.pdf

70歳以上の方の高額療養費の上限を変更

 協会けんぽからお知らせ

 高額療養費制度は、医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月(暦月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を、保険給付として支給する制度です。
 上限額は、年齢と所得に応じて定められています。また、いくつかの条件を満たすことにより、負担をさらに軽減する仕組みも設けられています。
 高額療養費制度とは、このような制度です
 上限額は、年齢や所得によって異なります ①70歳以上の方 ②69歳以下の方
 ご負担をさらに軽減するしくみもあります ①世帯合算  ②多数回該当
平成29年8月から、70歳以上の方に適用される上限額を見直すこととされました(69歳以下の方の上限額は変わりません)
 
詳しくは、こちらをご覧ください。
<70歳以上の方の高額療養費の上限額が変わります(平成29年8月診療分から)>
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/home/g3/cat320/sb3190/sbb3193/290719
なお、国民健康保険にも高額療養費制度が設けられており、同様の改正が行われます。
<高額療養費制度の見直しについて(見直し概要)>
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000158082.pdf

<高額療養費制度を利用される皆さまへ
(平成29年8月から平成30年7月診療分まで)(厚労省)>http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000167493.pdf

2017年7月19日水曜日

協会けんぽ マイナンバー制度による情報連携(試行運用)を開始

 

 今月18日から、協会けんぽにおける一定の申請において、マイナンバー制度による情報連携(試行運用)を開始しました。
 具体的には、高額療養費などの申請において、非課税証明書等の添付書類が必要となる場合に、申請書等にマイナンバーの記入を求め、情報連携を行うとのことです。
 ただし、7月から3か月程度は、「試行運用期間」とし、引き続き従来と同様に添付書類の提出も求めるとのことです。
 なお、本年秋頃には本格運用が開始され、一部の添付書類が不要とされる予定です。
 
 詳しくは、こちらをご覧ください。
<平成29年7月18日よりマイナンバー制度による情報連携が開始されます>
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/home/g5/cat550/sb5010/290526001

 その他、情報連携が予定されている手続きは下記をご覧ください。
http://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/jyouhourennkei.pdf

2017年7月15日土曜日

起業して従業員を雇った際にやるべきこと

  社員を雇用した場合、さまざまな手続きや届け出が必要となります。

1.最初に労働契約書を交わします

社員を採用した場合に最初にすることは、労働条件を明示して労働契約を結ぶことです。念のため書面で労働契約書を交わしておきましょう。労働条件は最低限、以下の項目について書面で明示しなければなりません。これを労働条件通知書といいます。
  • 労働契約の期間
  • 就業場所
  • 従事する業務
  • 始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、交代勤務の場合の就業時転換
  • 所定労働時間を超える労働の有無
  • 賃金の決定、計算・支払方法、締切・支払時期
  • 退職に関する規程
「労働条件通知書」は、下記をご参照下さい。

2.採用者からの必要書類の提出

入社後に下記の書類を提出してもらいましょう。
  • 健康保険被扶養者(異動)届(扶養に入れる親族がいる場合み)
  • 源泉徴収票(その年に前の会社の給与所得がある場合)
  • 年金手帳(以前に加入していた場合、被扶養配偶者がいるときは配偶者の分も)
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 個人番号届(被扶養者がいる場合は被扶養者の分も)
  • 雇用保険被保険者証(以前に加入していた場合)
  • 口座振込依頼書(給与等の振込先)
  • 通勤手当支給申請書
3.社会保険の加入

雇用した社員が以下のそれぞれに該当する場合、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者となります。
・労働日数:1か月の所定労働日数が一般社員の概ね4分の3以上である場合
・労働時間:1日又は1週の所定労働時間が一般社員の概ね4分の3以上である場合

○個人事業主の場合労働者が5人以上は適応対象で、5人未満の場合は任意です。但し一部のサービス業(旅館、飲食、理美容業、税理士事務所、弁護士事務所など)は、5人以上でも任意です。

○法人の場合すべての事業者が適応対象です。
社会保険の被保険者となる社員を雇った場合、雇用の日から5日以内に、所轄の年金事務所へ健康保険・厚生年金保険の被保険者の届出が必要です

4.雇用保険の加入

・事業所規模にかかわらず、「1週間の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込がある人を雇い入れた場合」に適用対象となります。
・最初に雇用保険の適用対象の社員を雇用する時は、保険関係成立に関する手続を済ます必要があります。
・そのあと事業所を管轄するハローワークに「事業所設置届」、「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。
・その後新たに社員を雇い入れた場合は、その都度、翌月10日までに、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しなければなりません。そしてハローワークから交付された「雇用保険被保険者証」を事業主から本人に渡します。
なお、平成29年1月より65歳以上の従業員も雇用保険の対象となりましたので、注意が必要です。平成31年度までは、事業主、従業員とも保険料は免除されます。

5.労災保険の加入

労災保険は、労働者を使用するすべての事業に適用されます。
ただし、従業員の採用時に特に手続は必要ありません。労働保険料は、保険年度(4月から翌年3月まで)の初めに概算額で申告・納付し、年度終了後に確定額で申告し精算する仕組みをとっています。
最初に社員を雇った時は、労働基準監督署かハローワークへ「保険関係成立届」を提出し、「概算保険料申告書」及び「納付書」を作成の上、申告・納付します。「保険関係成立届」は雇用保険の加入の時と同じです。

6.法定帳簿の保存

法定帳簿とは、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード等)をいいます。
社員を雇用した日からタイムカード、休暇・早退・遅刻届などで「出勤簿」を作成し、「労働者名簿」、「賃金台帳」も作成して社員が退職してから3年間は保存しなければなりません。これらは役所より提出を求められる場合があります。労働基準監督署の調査等のときには必ず確認される書類になりますので、最初からきちんと帳簿を作成しておいてください。
「労働者名簿」、「賃金台帳」については、下記をご参照下さい。

①労働者名簿
労働者名簿は、各従業員について次の事項の記入が必要です。
  1. 氏名
  2. 生年月日
  3. 履歴
  4. 性別
  5. 住所
  6. 従事する業務の内容(常時30人未満の従業員の場合は、記入が不要)
  7. 雇入れの年月日
  8. 退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由も含む)
  9. 死亡の年月日及びその原因
② 賃金台帳
賃金台帳は、次の事項を賃金支払いの都度、遅滞なく記入します。
  1. 氏名
  2. 性別
  3. 賃金計算期間
  4. 労働日数
  5. 労働時間数
  6. 時間外労働時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
  7. 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額
  8. 賃金の一部を控除した場合には、その額
  勤簿
出勤簿については、法律上の規定はありません。
しかし「労働時間、休憩、休日」について定める労働基準法第4章の趣旨に照らし、使用者は従業員の労働時間を適切に管理する責務があることから、従業員の勤務について適正に把握できる帳簿の整備が必要であると考えられています。
出勤簿やタイムカードやICカード等の記録がこれに当たります。
○一般的な出勤簿等の記載事項
  1. 氏名
  2. 出勤日
  3. 出勤時刻、退勤時刻等
     労働者名簿と賃金台帳、出勤簿やタイムカード等の記録はいずれも
    3年間の保存義務があります。

「残業代ゼロ」法案 連合が首相に修正を要請 容認の方向

 連合(日本労働組合総連合会)の神津会長は、今月13日、安倍総理に対して、労働基準法等改正法案に関する要請を行いました。
 ここで話題に上っているのは、平成27年に国会に提出されて以来、継続審議となっている改正法案のうち、一番問題となているのは特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設 」(いわゆる残業代ゼロ法案)です。この法案には、中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率を引き上ること等、連合が評価している内容も盛り込まれています。
 しかし、この法案に盛り込まれている企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大や高度プロフェッショナル制度の創設については、長時間労働・過重労働を助長しかねないため、労働政策審議会の議論の段階から、連合は反対意見を表明していました。
 連合としては、現在でも、これらの制度を導入すべきではないという考えには変わりはないとしつつ、このままの内容で法案が成立することへの危惧が非常に強いため、要請を行ったとのことです。
 要請の内容は、次のようなものです。
・企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大について、一般的な営業職を明確に対象外とすること など
・高度プロフェッショナル制度の創設について、年間104日以上かつ4週間を通じ4日以上の休日確保を義務化すること など 
詳しくは、こちらをご覧ください。
<労働基準法等改正法案に関する要請について(連合HP)>
https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/news_detail.php?id=1299
 なお、今後について、「政府は、連合の修正要求を受け入れる方針で、今月19日までに経団連も交えた三者で「政労使合意」を結び、今秋の臨時国会に修正を加えた労働基準法等改正法案を提出する見通し」といった報道もありました。今後の動向に注目です。

なお、労働基準法を一部改正する法案の概要は下記の通りです。
Ⅰ 長時間労働抑制策・年次有給休暇取得促進策等 
(1) 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し
(2) 著しい長時間労働に対する助言指導を強化するための規定の新設
(3) 一定日数の年次有給休暇の確実な取得 
(4)企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組促進
Ⅱ 多様で柔軟な働き方の実現
(1) フレックスタイム制の見直し  
(2) 企画業務型裁量労働制の見直し 
(3) 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設 

2017年7月14日金曜日

最低賃金引き上げのための支援策

 最低賃金については、年率3%程度を目途として、名目GDPの成長率にも配慮しつつ引き上げていくことで、全国平均が1000円以上になることを目指しています。
 厚生労働省は、今月12日に開催された「平成29年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第2回)」の資料を公表しました。
 まだ、具体的に目安を決める段階ではなく、下準備といった感じです。
 なお、「最低賃金・賃金引上げに向けた生産性向上等のための支援」についての資料も配布されており、地域別最低賃金の全国加重平均1,000円という目標達成のため、中小企業・小規模事業者への支援措置も、さらに推進・拡充されるものと思われます。

現在ある具体的な助成金としては、①キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)と②人事評価改善制度等助成金③業務改善助成金があります。

最低賃金引き上げのための支援策

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)

人事評価改善等助成金

業務改善助成金

2017年7月13日木曜日

「働き方改革」まったなし!(1)平成31年4月の施行に向けて

 平成28年9月に発足した「働き方改革実現会議」の議論を踏まえ、働き方改革の概要が固まってきましたので、今後の予定を含め、お伝えします。
 今回は概要をお伝えし、今後順次、詳細についてお話ししたいと思いますのでご期待ください。

 働き方改革の目玉は次の3つです。

1.同一労働同一賃金の実現など非正規雇用の待遇改善
2.長時間労働の是正
3.高齢者の就労促進

 今までの進捗状況と今後のスケジュール

平成28年6月  ニッポン一億総活躍プラン閣議決定
平成28年9月  働き方実現会議発足
平成28年12月  同一労働同一賃金ガイドライン案公表
平成29年3月  働き方改革実行計画公表
平成29年6月  時間外労働の上限規制等について(建議)公表
平成29年6月  同一労働同一賃金に関する法整備について(報告)公表
平成29年秋    関連法案の提出
平成31年4月  施行

 安倍総理の強いリーダーシップのもと、この働き方改革は始まりました。
特に、同一労働同一賃金に関しては、最初にガイドライン案が示され、それに沿って法整備が行なわれようとしています。これは異例のことです。働き方実現会議では労使双方のトップと有識者が入って議論していますので、この方向が大きく変わることはないと思います。「平成31年4月施行はまったなし!」それまで何も対応しないでは許されない状況になっています。

下記に参考資料を紹介しておりますのでご一読ください。

  ニッポン一億総活躍プラン(閣議決定)(平成28年6月)
  一億総活躍社会の実現に向けて(28年7月厚生労働白書)
  働き方改革に関する安倍総理発言(平成28年9月)
  同一労働同一賃金ガイドライン案(平成28年12月)
  時間外労働の上限規制等に関する労使合意(平成29年3月)
  働き方改革実行計画(本文)(平成29年3月)
  働き方改革実行計画(概要)(平成29年3月)
  働き方改革参考資料(平成29年5月)
  時間外労働の上限規制等について(建議)(平成29年6月)
  同一労働同一賃金に関する法整備について(報告)(平成29年6月)

高額な定額年俸でも「残業代が含まれているとは言えない」 最高裁


 「医師(勤務医)の残業代込みの定額年俸が有効か否かが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷は今月7日、「年俸に残業代が含まれているとはいえない」として、医師の請求を退けた2審の高裁判決を破棄し、未払い分の残業代を算定するため審理を高裁に差し戻した」という報道がありました。
 訴えていた医師は、平成24年に病院側と年俸1,700万円とする雇用契約を締結。午後9時以降や休日は「必要不可欠な緊急業務」などに限って時間外賃金が支払われることになっていましたが、医師が午後9時までの残業代なども支払うよう求めていました。
 一審、二審では、原告の医師の年俸が1,700万円と高額な点などから「基本給と区別できないが、残業代も含まれる」としていました。
 しかし、最高裁では、過去の最高裁判例を引用し、「通常賃金と時間外賃金(残業代)が区別できる必要がある」とした上で、今回の年俸契約ではこの区別ができておらず、残業代が支払われていたとはいえないと結論づけたようです。
 今年3月、タクシー運転手の歩合給に残業代が含まれているか否かが争われた訴訟も、最高裁までもつれました。このときの最高裁の考え方は、「賃金規則で定めた独自の計算方法を使っても、同法が定めている水準の残業代が実質的に支払われていれば適法」といったもので、残業代が実質的に支払われていたかどうかを検討するため、審理を同高裁に差し戻したというものでした。
これらの最高裁の判例をみると、残業代込みの賃金(基本給に残業代を含める制度や固定残業代など)については、
・一律にそのような制度が無効ということではない。
しかし
・通常賃金と残業代とを区別できる必要があり、実質で判断すべき。
という考え方が貫かれているように見受けられます。
 実質で判断されるので、労働者側勝訴のケースもあれば、経営者側が訴えを退けるケースもあるといったように、結論はさまざまになっていくかもしれませんが、重視されるのは、通常賃金と残業代とを区別できるかどうかです。
 その区別ができないのなら、残業代込みの賃金を導入すべきではないということになりますね。
 一時ブームを築いた固定残業代などの残業代込みの賃金。経営の見通しが立てやすいというメリットは残りますが、コスト削減はもちろん、事務の軽減というメリットも失われた感があります。今後さらに導入する企業が減るかもしれませんね。
 なお、今回の最高裁の判断について、「働き方改革を巡る今後の議論にも影響を与えるのでは?」と報じている報道機関もあります。
 専門職でどんなに高給取りでも残業代は必要ということですから、”いわゆる高度プロフェッショナル制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)の導入に釘をさした”という捉え方もできるかもしれませんね。

2017年7月9日日曜日

【平成29年度】使いやすい助成金

今日は厚生労働省の助成金についてご紹介したいと思います。

この助成金の特徴は下記の通りです。
○助成金は返済不要!
○財源は労働保険料の事業主負担分
○労働保険の適用事業所であることが要件
○労働保険料の滞納がないこと
○出勤簿、賃金台帳、雇用契約書、就業規則など、法律で作成が義務付けられている帳簿を備えていること
 要件にあてはまれば返済不要で原則として支給される助成金ですが、労働保険料の納付や作成義務のある帳簿を備えていることが要件です。

【平成29年度】使いやすい助成金一覧

(1) 「キャリアアップ・人材育成」 に役立つ助成金

(4) 「健康診断」に役立つ助成金

(5) 「採用・雇用」に役立つ助成金

パワハラ・セクハラで元社長を提訴へ

 「ある農業機器メーカーの社員が、元社長から日常的にパワハラやセクハラを受けていたとして、近く、損害賠償を求め元社長を提訴する」という旨の報道がありました。
 元社長は、今年2月に代表取締役を解任されましたが、これまでに30人以上が退職に追い込まれたということで、会見を開いた社員らは、今月中にも、元社長に損害賠償を求める訴訟を起こすとのことです。
 具体的な発言内容や行動は下記の通りです。
・「こんな親に育てられる息子はかわいそうだ、ろくな人間にならない」
・「彼氏はいるのか、性交渉したことあるのか」と聞かれた(女性社員)。
・体を触られるなどのセクハラを受けた(女性社員)。
・「お前は腐ったみかんだ」・「人間のくず」・「あほか、お前は、ぶっ飛ばすぞ」
 ここまで露骨なパワハラ・セクハラはないにしても、ちょっと声を荒げて注意してしまったことが、「パワハラ」と受け取られるようなケースもあります。
厚生労働省のホームページにパワハラに関するアンケート用紙が出ていますので、一度確認してみてはいかがでしょうか。

具体的な質問内容の一部を下記に掲載します。

 Q5 最近1年間において、社内で次のような言動・行為がありましたか。

1.身体的な攻撃
①身体を小突く、ものを投げつける  

2.精神的な攻撃
②人前での感情的な叱責
③人格否定や差別的な言葉による叱責
④性格や容貌などへのからかいや非難
⑤悪質な悪口や陰口

3.人間関係からの切り離し
⑥挨拶や話しかけを無視
⑦必要な情報を与えない、会議から外す

4.過大な要求
⑧休暇取得の拒否、残業・休日出勤の強制
⑨一方的で遂行不可能な業務指示・命令
⑩必要以上の仕事への監視・関与 

5.過小な要求
⑪能力や経験に見合わない仕事の常時強制

6.この侵害
⑫私生活についての過度な介入
⑬飲み会などへの参加強制

実際のアンケート用紙は下記にありますので活用してみてください。
パワハラに関するアンケート用紙

2017年7月8日土曜日

求人票の記載内容と実際の労働条件の相違 申出等のトップは「賃金」


 厚生労働省は、今月7日、平成28年度のハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数を取りまとめ、公表しました。
 相違に係る申出等の件数は、平成28年度は9,299件であり、前年度の10,937件に比べ、15.0%減少しています。
 申出等の内容の上位は、「賃金に関すること」が2,636件(28%)、「就業時間に関すること」が1,921件(21%)、「職種・仕事の内容に関すること」が1,311件(14%)などとなっています。
 申出等の要因の上位は、「求人票の内容が実際と異なる」が3,608件(39%)、「求人者の説明不足」が2,335件(25 %)などとなっています。
 こうした相違に係る相談を受けた場合は、ハローワークにおいて迅速な事実確認、必要な是正指導などの対応が行われます。
 「求人票の内容が実際と異なる」ものの対応状況については、是正指導の結果「求人票の内容を変更」が982件(27%)、「求人票に合わせ労働条件等を変更」が196件(5%)となっています。
 
 厚生労働省は、引き続き、こうした対応を徹底することにより、求人票の記載内容が適切なものとなるように努め、求職者の方の期待と信頼に応えられる職業紹介等を行っていくとのことです。
 
詳しくは、こちらをご覧ください。
<平成28年度のハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数を公表します>
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000170422.html
※固定残業代の表示については、特に注意が必要です。参考までに、次のリーフレットを紹介しておきます。
〔参考〕リーフレット(若者の募集・求人の申込みをお考えの事業主の皆さまへ 固定残業代 適切な表示をお願いします)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000146838_1.pdf

2017年7月7日金曜日

春闘 2年連続賃上げ縮小  中小組合、非正規労働者は改善(連合)


 連合(日本労働組合総連合会)は、2017春季生活闘争について、今月5日、
第7回(最終)回答集計結果を公表しました。
●全体(規模計)の賃上げ額・率は次のとおりで、2年連続縮小しています。
 <定昇相当込み賃上げ計>
 額……H27=6,354円→H28=5,779円→H29=5,712円
 率……H27=2.20%→H28=2.00%→H29=1.98%
 (集計組合数5,416組合、集計組合員数2,768,720人)
●ただし、300人未満規模では額・率ともに、前年を上回っています。
 <定昇相当込み賃上げ計>
 額……H28=4,340円→H29=4,490円
 率……H28=1.81%→H29=1.87%

●その他のポイントは次のとおりです。
①「底上げ・底支え」がはかられ、特に300人未満の中小組合は昨年同時期を上回る
 2016春季生活闘争から提起してきた「大手追従・大手準拠などの構造を転換」する運動が浸透してきたものであり、賃金水準の規模間格差是正に向けて確実に前進した。
②非正規労働者の賃上げ(時給)は、連合が集計を開始して初めて20円を超えた。
 昨年同時期を3円以上上回り、率換算(連合試算)で正規の賃上げを超えている。雇用形態間の処遇格差是正に向けて、真剣な取り組みが行われたことが窺える。正社員転換・無期転換など雇用確保の取り組みも大きく前進している。
③「所定労働時間短縮の取り組み」件数が1,000件を超える
 ワーク・ライフ・バランス実現に向けて、労使が職場実態を踏まえた真摯かつ前向きな交渉・協議を進めてきたことが読み取れる。
 
 連合は、企業規模間の格差是正に努め、底上げを確実に進めることができた点と、賃金以外に、所定労働時間の短縮に向けた取り組みが1,000件を超えるなど、働き方改革に向けた動きが拡大している点は評価しているようです。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<2017春季生活闘争 第7回(最終)回答集計結果について〔全体版〕>
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2017/yokyu_kaito/kaito_no7_zentai_20170705.pdf
※この資料の後半では、本年の春闘および通年(2016年9月~)における
非正規労働者の労働条件改善と労働時間短縮に向けた具体的な取り組み内容も紹介されています。

2017年7月5日水曜日

育児介護休業法の改正について通達を発表 (厚労省)


 平成29年10月1日から、育児・介護休業法の一部が改正されます。
 今回は、➀育児休業期間の延長、②育児休業等制度の個別周知、➂育児目的休暇の新設といった改正が施行されます。
 これらの改正の内容も盛り込むため、施行通達の一部が改正されました。
 就業規則(育児・介護休業規程)の改定が必要となる改正も含まれています。対応を忘れないようにしましょう。
厚労省:【通達】育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について>
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000169717.pdf
〔確認〕平成29年10月からの改正の概要につきましては、こちらをご参照ください。
「平成29年10月1日から改正育児・介護休業法がスタートします」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h29_05.pdf