2017年4月30日日曜日

「仕事と介護の両立支援」制度が御社を救う②!

~介護休業制度編

御社独自の、御社の従業員に合った「仕事と介護の両立支援」制度を作ることが出来るかどうかは、御社の死活問題です。
制度しだいで、従業員の定着やパフォーマンスの発揮に大きな影響を与えます。

まず最初にやるべきこと

まずその前に手を付けなければならないことがあります。
それは、法定通りの介護休業や介護休暇制度を、しっかりと就業規則に定めること。
これらは、就業規則に定められていて当然。だって、会社の義務ですから。

法定の介護休業や介護休暇制度は、会社の都合で定めたりするものではありません。
すべての会社が必ず定め、就業規則に記載しなければなりません。
にも関わらず、未だに介護休業制度等を定めていない会社が多くあります。

まずは、法定の制度を整備し、御社の就業規則に定めることから始めましょう。

とくに、平成29年1月から、育児・介護休業法が大きく改正されています。
改正内容にあった就業規則になっていますか?

介護休業制度について

今回は、法律に定められた「介護休業」制度についてお話していきます。
これは、事業規模に関係なく、すべての会社で導入しなければなりません。
法律で定められたものは最低基準ですので、この法律よりも、従業員にとって有利なものは問題ありません。ですが、法律を下回るものは許されません。
そして、この「介護休業」制度については、平成29年1月に大きく改正されています。
古いままの制度では、法律の要件を満たしていないことになります。

では、一体どのような改正があったのでしょうか?
それは、介護休業が通算93日までを、3回に分けて取ることができるようになったこと。今までは、1回限り、最大93日まででした。
それが、法改正によって「通算93日まで、3回を上限として介護休業の分割取得が可能」となりました。

ところで、介護休業って、そもそも何? というところからお話していきます。
介護休業とは、従業員が要介護状態の対象家族を介護するための休業です。

「従業員」とは、

正社員はもちろん、パートやアルバイト、嘱託社員など、ほぼ全ての従業員が当てはまります。
ただし、期間の定めのある労働契約で働いているパートやアルバイトさんなどは、申し込み時点で、1年以上継続して働いている必要があります。
また、契約の更新がないことがハッキリしている方は、介護休業を取れない場合があります。
さらに、「入社1年未満の従業員」や「週の所定労働日数が2日以下の従業員」なども、労使協定を結べば、介護休業を取得させなくてもOKです。

「要介護状態の対象家族」について。

「対象家族」とは、配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫となります。
※同居や扶養などの要件は必要ありません(法改正事項)

「要介護状態」とは

それは、「2週間以上、常時介護を必要とする状態」をいいます。
実際には、介護認定で「要介護2」以上の人が該当します。
ただ、まだ介護認定を受けていない人でも、一人で歩くことができない、一人でトイレができない等の判断基準が示されており、その判断基準に従って判断することができます。
また、過去に介護休業を取ったことがある人はどうなるのか? という問題もありますが、この辺のことは結構ややこしいので、個別で問い合わせたほうが良いと思います。

問い合わせ先は、各都道府県労働局の雇用環境・均等部へどうぞ。

介護休業の意味

それにしても、93日って短くない?
実は、介護休業の目的は、家族を介護することではないのです。
(介護は、平均で約5年続くといわれています。93日介護したからといって、どうにかなるものではありません!)
介護休業を使って、その間に、家族の介護をする体制を整えるのが目的です。
介護サービスの申込みや介護施設への入所のための手続きや準備期間として利用するための休業です。
仕事と介護の両立」のための体制を作るための期間です。
会社は、従業員に対して、この「介護休業」の意味をしっかりと伝えていく必要があります。
また、3回に分割して取れるようになったのは、介護の始まりの時期見取りの際、そして、その間にも1回取れるようにとの配慮です。

この介護休業を上手に使って、「仕事と介護の両立」を実現していきましょう。

会社は、「仕事と介護の両立」を支援していくことで、大切な従業員が辞めていくという最悪の事態を防ぐことに努めていきましょう。

2017年4月29日土曜日

知って役立つ労働法Q&A

 厚生労働省のホームページに「知って役立つ労働法Q&A]が載っておりましたので紹介します。

第1章 働き始める前に知っておきたいこと <解説編>

2章 働くときのルール <解説編>

3章 仕事をやめさせられるとき、やめるとき <解説編>

2017年4月21日金曜日

残業手当の要らない管理監督者と単なる役職者の区別基準


<ショッキングな事実>

現在企業で勤務している管理職の大半は、管理監督者ではありません。したがって、時間管理をきちんとして、残業手当や休日出勤手当も支給しなければなりません。
ところが、このことについては世間一般に大きな誤解があります。
最近も、弁当チェーンの店長だった30代の女性が、管理職であることを理由に残業代が支払われなかったのは不当だとして、会社に未払い残業代などを求める訴えを起こしたのに対して、裁判所はこの女性が管理監督者には当たらないとして、会社に約160万円の支払いを命じました。〔平成29年2月17日静岡地裁〕
いわゆる「名ばかり店長」というのは、責任だけが店長クラスで、権限と収入は平社員クラスなのだと思います。

<管理監督者といえるための最低限必要な条件>
管理監督者といえるかどうかは、その人の肩書ではなく、職務内容、責任、権限、勤務態様、待遇などの実態により判断されます。
少なくとも、次の3つの条件はすべて満たしていることが必要です。
・経営者と一体的な立場で仕事をしていること
・出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていないこと
・その地位にふさわしい待遇がなされていること

<経営者と一体的な立場で仕事をしていること>
労働者でありながら、経営者の業務を代行する立場にあり、経営者から管理監督、指揮命令について大きな権限を与えられています。他の社員の指示に従ったり、他の社員に決裁を仰ぐ必要があるというのでは、とうてい管理監督者とはいえません。
次のようなケースでは、この基準を満たしません。
・工場長の肩書だけで監督管理権がない
・人事や機密に関与せず経営を左右するような仕事ではない
・人事に関与することがあっても独自の決定権はない
・自部門の社員を統括し、採用にも関与するが、労働条件は経営者が決定する
・社員に対する懲戒処分の権限がない
・顧客とのトラブルについて示談の最終的な権限がない
・意見は言えるものの経営者とともに経営方針を決定する権限がない

<出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていないこと>
管理監督者は、24時間、経営上の判断と対応を求められます。ですから、いつ会社に現れて、いつ去って行くかは、本人の判断に任されています。遅刻や早退によって、給与や賞与が減額されるというのでは、とうてい管理監督者とはいえません。
次のようなケースでは、この基準を満たしません。
・出退勤の時刻が会社に決められている
・タイムカードにより勤怠管理を受けている
(タイムカードを打刻しているだけでチェックを受けないのは良い)
・いつどの仕事をするかの時間配分を任されている

<その地位にふさわしい待遇がなされていること>
給与、賞与その他の待遇で、一般社員がどんなに頑張っても、つまりどんなに残業しても、どんなに高い評価を得ても、追いつけないレベルにあることが必要です。給与についていえば、新卒社員の初任給の4~5倍以上だと思われます。
スタッフ職であっても、他の部門の管理監督者と同等の地位にあり、給与、賞与が支給されるのでなければ、とうてい管理監督者とはいえません。
次のようなケースでは、この基準を満たしません。
・残業手当の多い部下よりも給与が少ない
・評価の高い部下よりも賞与が少ない
・他部署の一般社員よりも給与や賞与が少ないことがある

<名ばかり管理監督者の存在理由>
会社が管理監督者ではない社員を管理監督者扱いする理由は2つ考えられます。
まず、残業手当などをカットして人件費を削ることです。これは違法です。
もう一つは、何か大きな問題が発生したときに、名ばかり管理監督者に責任を押し付けてクビにすることで、その社員の上司が責任を回避できるようにすることです。こんなことをしても、マスコミやネットを通じて顧客や取引先には実態が伝わってしまい、会社の評判が落ちるだけです。

<人件費を削るなら>
次のようなことを推進すべきでしょう。特に、教育がいい加減な会社が目立ちます。たとえば、パソコンの表計算ソフトの使い方が、本人任せになっていて全くレベルアップしない人が多いようです。
・ダラダラとした時間や、なんとなくの休憩時間を解消する
・残業や休日出勤は自己判断ではなく会社からの命令によって行う
・具体的な教育訓練によって生産性を上げる
・能力や貢献度を適正に評価し給与や賞与に反映させる
(同期入社なら同額というのではダメ。できる社員ほどヤル気がなくなる。)
・状況によっては定額残業代を導入し正しく運用する
具体的に何をどうしたら良いのか、迷うところがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

社会保険の標準報酬改定通知書が届いたら何をすればよい?

<標準報酬改定通知書とは?>

社会保険(健康保険と厚生年金)では、被保険者が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を、一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を保険料の計算に用います。
毎年9月に、4月から6月の報酬月額を基に、標準報酬月額の改定が行われます(定時決定)。
また、報酬月額に大幅な変動(標準報酬月額の2等級以上)があった場合で、一定の条件を満たした場合には、標準報酬月額の改定が行われます(随時改定)。
会社がこの随時改定の届出(月額変更届)を行うと、協会けんぽや健康保険組合から「標準報酬改定通知書」が交付されます。
これには被保険者ごとの新しい標準報酬月額が記載されています。会社では新しい標準報酬月額を基に社会保険料を計算し、給与から控除することになります。
また、対象者には改定前と改定後の保険料負担について、会社から通知を出しているでしょう。

<標準報酬月額についての法改正>

「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」が平成27年5月29日に公布されたことにより、平成28年4月から健康保険の標準報酬月額の上限と累計標準賞与額の上限が変更になりました。
  • 健康保険法で現在の標準報酬月額の最高等級(47級・121万円)の上に3等級が追加され、上限が引き上げられました。
月額等級
標準報酬月額
報酬月額
第47級
1,210,000円
1,175,000円以上
1,235,000円未満
第48級
1,270,000円
1,235,000円以上
1,295,000円未満
第49級
1,330,000円
1,295,000円以上
1,355,000円未満
第50級
1,390,000円
1,355,000円以上

  • 健康保険法で年度の累計標準賞与額の上限が540万円から573万円に引き上げられました。

<法改正により会社に標準報酬改定通知書が届くケース>

今までは、月給や役員報酬が1,175,000円以上であれば、標準報酬月額は一律1,210,000円でした。
ところが、今回の法改正により、たとえば月給や役員報酬が1,300,000円であれば、標準報酬月額は1,210,000円から第49級の1,330,000円に変更となります。
このため、協会けんぽ管掌の健康保険が適用されている会社で、改定後の新等級に該当する被保険者がいる会社の事業主に対しては、平成28年4月中に管轄の年金事務所から「標準報酬改定通知書」が送られます。この通知書には、標準報酬月額の改定に際して、「事業主からの届出は不要」と書かれています。

<会社にこの標準報酬改定通知書が届いたら>

しかし、届出が不要とはいえ、会社が何もしなくてよいわけではありません。
通知書の対象者の標準報酬月額が変わったということは、これに連動して保険料が変わります。会社負担分と被保険者負担分の両方です。ですから、給与から控除する保険料も、4月分から変更となるのです。
給与計算にあたっては、控除額が変更となりますので注意しましょう。また、年度の累計標準賞与額の上限の変更も忘れないようにしましょう。
そしてもう一つ、対象者には改定前と改定後の保険料負担について、通知を出しておくことが必要でしょう。
念のため、財務・経理部門に予算組みに反映されているかの確認もしておけば万全です。

<自宅に届く標準報酬改定通知書とは?>

実は、厚生年金には別の「標準報酬改定通知書」があります。
ご夫婦が離婚に際して、年金分割を行った場合に届く書類です。手続を完了すると、最終的な年金分割の結果が「標準報酬改定通知書(離婚時の年金分割のお知らせ)」により通知されるのです。

従業員を雇ったら 法定三帳簿の作成義務


従業員を雇ったら、作成を義務付けられている書類があります。
労働者名簿と、賃金台帳、そして出勤簿です。

これらは、労務管理の法定三帳簿ともいわれます。
労働基準監督署の調査等のときには必ず確認される書類になりますので、最初からきちんと帳簿を作成しておいてください。

労働者名簿

労働者名簿は、各従業員について次の事項の記入が必要です。
  1. 氏名
  2. 生年月日
  3. 履歴
  4. 性別
  5. 住所
  6. 従事する業務の内容(常時30人未満の従業員の場合は、記入が不要)
  7. 雇入れの年月日
  8. 退職の年月日及びその事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由も含む)
  9. 死亡の年月日及びその原因

賃金台帳

賃金台帳は、次の事項を賃金支払いのつど遅滞なく記入します。
  1. 氏名
  2. 性別
  3. 賃金計算期間
  4. 労働日数
  5. 労働時間数
  6. 時間外労働時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
  7. 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその額
  8. 賃金の一部を控除した場合には、その額

出勤簿


出勤簿については、法律上の規定はありません。
しかし「労働時間、休憩、休日」について定める労働基準法第4章の趣旨に照らし、使用者は従業員の労働時間を適切に管理する責務があることから、従業員の勤務について適正に把握できる帳簿の整備が必要であると考えられています。
出勤簿やタイムカードやICカード等の記録がこれに当たります。

一般的な出勤簿等の記載事項

  1. 氏名
  2. 出勤日
  3. 出勤時刻、退勤時刻等
労働者名簿と賃金台帳、出勤簿やタイムカード等の記録はいずれも3年間の保存義務があります。

2017年4月14日金曜日

経団連 平成31年春入社の採用選考に関する指針を公表


 経団連は、今月10日、採用選考に関する指針を公表しました。これは、平成31年春入社の学生の就職活動の指針となるものです。
 これによると、就職活動の日程は、「3月に会社説明会解禁」、「6月に面接などの採用選考解禁」とされ、3年連続で同じ日程を維持することとされました。
 他方、これまで「5日間以上」と最低日数要件が定められてきたインターンシップ(就業体験)については、企業が柔軟かつ多様なプログラムを実施できるよう、その最低日数要件が削除されました。しかし、積極的に1日だけのインターンシップを認めるものではなく、「インターンシップ本来の趣旨を踏まえ、教育的効果が乏しく、企業の広報活動やその後の選考活動につながるような1日限りのプログラムは実施しないこと」という記述が追加されています。
 
 経団連は、「指針で規定している開始時期等の内容は、経団連会員企業だけに適用されるものとの理解が一般に蔓延しているが、政府は、経団連を含む約450の経済団体・業界団体に対し、指針に基づく活動開始時期の遵守や学事日程への配慮を要請している点に留意する必要がある。すべての企業が一定のルールに沿った秩序ある採用選考活動を行うことが、学生の学業や就職活動にとって望ましいという認識を共有し、行動することが求められる」としています。
 学生の新卒採用を考えている企業では、経団連会員企業に限らず、この指針に目を通しておいた方がよさそうですね。
 
詳しくは、こちらをご覧ください。
「公平・公正な採用の徹底」、「正常な学校教育と学習環境の確保」といった基本的な考え方も確認しておきましょう。
<採用選考に関する指針>
〔参考〕「採用選考に関する指針」の手引きの改定について

年度更新関係新様式公開(厚生労働省)

厚生労働省は、平成29年4月13日、平成29年4月以降に使用する労働保険関係の各種新様式を公開しました。

その中で労働保険料の年度更新関係の資料をまとめましたので参考にしてください。
(年度更新申告書計算支援ツール)
  • 年度更新申告書計算支援ツール(継続事業用) Excel2007 [423KB]  
  • 年度更新申告書計算支援ツール(継続事業用:雇用) Excel2007 [331KB]  
  • 年度更新申告書計算支援ツール(建設事業用) Excel2007 [1,480KB]  
年度更新申告書計算支援ツールのご利用にあたって
注1 本ツールの使用にあたっては、必ず事前に「利用方法・注意事項(必ずお読みください)」をご一読いただき、これらの内容について同意されない場合には使用をご遠慮ください。
注2 ご利用いただけない事業も一部ありますので、ご了承ください。また、計算結果については、必ず検算を行ってください。
注3 本ツールに関する個別のご相談・個々の動作環境に関するお問い合せには応じかねます。