2017年5月30日火曜日

改正介護保険法が成立 所得によっては3割負担も


 国会で審議されていた「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が、今月26日、成立しました。
 注目は、利用者負担の引き上げ。この改正により、現在2割負担の方のうち、特に所得の高い層の負担割合が「3割」に引き上げられることになります(平成30年8月~)。
 3割負担の対象となる方の所得の基準は、今後政令で定められることになりますが、単身であれば年金などの所得が年340万円以上ある利用者など、約12万人を対象とする方向で検討されています。
また、介護納付金への総報酬割の導入も決定。40~64歳の現役世代の介護保険料は、今年8月から平成32年4月にかけて、収入が多い人が増える仕組みに変更されます。
 介護保険制度の利用者や現役世代の負担の増加が続きますね。塩崎厚生労働大臣は、成立後の記者会見で、「負担の問題などもあり、改めて丁寧に理解をいただけるよう説明していきたい」とコメントしたとのことです。
 今回の改正の概要については、こちらをご覧ください(案の段階の資料ですが、成立した内容に大幅な修正はありません)。
<地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案の概要(厚労省)>
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/193-06.pdf

今日から「改正個人情報保護法」が施行されます

 改正個人情報保護法の施行後は、これまで同法の適用がなかった事業者様においても、同法に基づき、個人情報を適切に取り扱う必要が生じることから、中小企業向けのサポートページが開設されました。

  サポートページには、新たに個人情報保護法の適用を受ける事業者に向けたわかりやすい説明資料が掲載されています。チェックリストやQ&Aも用意されていますので、参考にしてください。

<中小企業サポートページ(個人情報保護法)>
http://www.ppc.go.jp/personal/chusho_support/

5つの基本チェックリスト
●改正のポイント● 
1.個人情報保護委員会の新設
 個人情報取扱事業者に対する監督権限を各分野の主務大臣から委員会に一元化

2.個人情報の定義の明確化
①利活用に資するグレーゾーン解消のため、個人情報の定義に身体的特徴等が対象となることを明確化。
要配慮個人情報(本人の人種、信条、病歴など本人に対する不当な差別又は偏見が生じる可能性のある個人情報)の 取得については、原則として本人同意を得ることを義務化。

3.利活用規程の新設
個人情報の有用性を確保(利活用)するための整備、 匿名加工情報(特定の個人を識別することができないように個人情報を加工した情報)の利活用の規定を新設。

4.いわゆる名簿屋対策
①個人データの第三者提供に係る確認記録作成等を義務化。(第三者から個人データの提供を受ける際、提供者の氏名、 個人データの取得経緯を確認した上、その内容の記録を作成し、一定期間保存することを義務付け、第三者に個人データ を提供した際も、提供年月日や提供先の氏名等の記録を作成・保存することを義務付ける。)
②個人情報データベース等を不正な利益を図る目的で第三者に提供し、又は盗用する行為を「個人情報データベース等不正 提供罪」として処罰の対象とする。

5.その他
 ①取り扱う個人情報の数が5000以下である事業者を規制の対象外とする制度を廃止。
 ②オプトアウト(※)規定を利用する個人情報取扱事業者は所要事項を委員会に届け出ることを義務化し、委員会はその 内容を公表。(※本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止する場合、本人の同意を得ることなく第三者に個人データを 提供することができる。)
③外国にある第三者への個人データの提供

2017年5月29日月曜日

事務所通信2017年6月号をアップしました。

事務所通信2017年6月号の内容は下記の通りです。

 1.中小企業白書・小規模事業者白書を公表
 2.パワハラの調査結果を公表
 3.自殺者減の目標10年間で3割減
 4.お仕事カレンダー6月

事務所通信2017年6月号はこちら

2017年5月27日土曜日

改正民法が成立

民法の債権や契約に関する分野について、情報化など
の変化にあわせるとともに経済活動でのトラブルを
防ぐためルールを明文化する改正民法が、
参議院本会議で賛成多数で可決され、成立しました。
改正民法は、明治29年の民法制定以来、大きな改正が行われていない債権や
契約に関する分野について、120年の間に進んだ情報化や高齢化によって
現状にあわなくなっているところを見直すものです。

改正民法は公布から
3年以内に施行されます。

改正民法の内容は
▽約款
「約款」に基づいて契約することをあらかじめ表示したり、契約者と合意したりしていれば、内容を理解していなくても有効だと明記する一方、契約者を保護するため、利益を一方的に侵害する内容は無効とする規定を新たに設けています。

▽敷金
賃貸住宅の敷金返還についても新たにルールが明記されました。時計をかけるためにくぎを打った穴など、通常の暮らしをしていて生じる傷や、壁紙の日焼けといった経年変化については、借り主に回復の義務は無いとしています。

▽修理や減額
購入した商品の種類や数が違っていたり、傷があるなど品質に問題があったりした場合に、品質を回復するための修理の実施や、代金の減額も求めることができるようになります。

▽保証人
いわゆる「連帯保証」をした人が自己破産などに追い込まれる事態を防ごうと、融資を受けた企業の経営者や、議決権の過半数を持つ大株主などである場合を除いて、公証人が直接、「連帯保証」をする意思を確認するよう求めています。

▽職業別時効撤廃
現在の民法では、旅館の宿泊料や飲食店の料金のほか、演芸や肉体労働を行う人の報酬についての時効は1年です。一方、弁護士や公証人の報酬、塾や習い事の授業料だと2年、医師や助産師、薬剤師の報酬などは3年となっています。こうしたルールは複雑なうえ、不公平だとして、職業別の規定はすべて廃止され、原則として5年に統一されます。

▽法定利率現在は、年5%ですが、改正民法では、年3%に引き下げたうえで、市場の利率と比べて一定の差が出た場合には、3年に1回見直すとしています。

住民税 特別徴収義務者への個人番号記載についての大臣会見


平成29年5月23日、高市総務大臣は、閣議後の記者会見で、個人住民税の特別税収に関して、自治体が企業に送付する特別徴収税額通知には法令上マイナンバーを記載しなければならないにも関わらず、実際にはマイナンバーを記載しない市区町村があることや具体的に自治体を把握しているか、自治体への強制力や罰則等についての見解を求められ、次のような主旨の発言をしました。
大臣発言主旨
「法令に基づき「特別徴収税額通知」にマイナンバーを記載する必要があることについて、これまでも通知を発出して周知を図ってきたが、マイナンバーを記載しない市区町村が見受けられるため、5月18日に、自治税務局長名で改めて通知を発出し、各地方団体に対して適切に対応するように促した。
現段階で、不記載の団体数については把握していない。
法令は守ってもらわなければならない。
不記載への自治体への罰則はない。」
詳細は、以下からご覧いただけます。
総務省HP:高市総務大臣閣議後記者会見の概要(平成29年5月23日)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/kaiken/01koho01_02000589.html

厚労省 高額介護サービス費の基準の変更についてお知らせ


 厚生労働省より、「高額介護サービス費の基準が変わります」というリーフレットが公表されました。
 高額介護サービス費は、1ヵ月に支払った介護サービスの利用者負担の合計が、負担の上限を超えたときに、その超えた分が払い戻される制度です。
 この制度について、本年8月から、世帯のどなたかが市区町村民税を課税されている方の負担の上限が37,200 円(月額)から44,400 円(月額)に引き上げられることになっています(一定の経過措置あり)。
 このリーフレットは、この改正を周知するためのものです。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<高額介護サービス費の基準が変わります(周知用リーフレット)>
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000165766.pdf
 なお、介護保険に関しては、利用者の負担の増加が続きます。
 上記とは別に、「現役世代並みの所得がある人の利用者負担割合を3割に上げる介護保険法などの改正案が今月25日、参院厚生労働委員会で可決。今月26日の参院本会議で成立」といった動きもあります。この3割負担については、来年8月からの実施となります。

厚労省 本年10月施行の改正育児介護休業法のリーフレットを公表


 厚生労働省より、「平成29年10月1日から改正育児・介護休業法がスタートします」というリーフレットが公表されました。
 同日から、育児休業の期間が、最長で子が2歳に達するまでとされます(保育所に入れない場合等に限り延長を可能)。
 その他、企業に対して、
・労働者もしくはその配偶者が妊娠・出産したこと又は労働者が対象家族を介護していることを知ったときに、当該労働者に対し、育児休業、介護休業に関する制度(休業中・休業後の待遇や労働条件など)を知らせる努力義務を課す。
・小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用することができる休暇(年次有給休暇などを除きます。)を与えるための措置を講ずる努力義務を課す。
といった改正も行われます。これらの改正点が分かりやすくまとめられています。
こちらをご覧ください。
<平成29年10月1日から改正育児・介護休業法がスタートします>
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h29_05.pdf

2017年5月26日金曜日

生産性向上の取り組み事例 政府が公開

 首相官邸において平成29年5月24日に開催された「第1回生産性向上国民運動推進協議会」の資料などが公表されました。

 この協議会は、「働き方改革」に続く、安倍政権の重要政策とされている「労働生産性の向上」を推進していくために設けられたものです。
 初の開催となった今回は、2年前に発足した前身の協議会で生産性の向上に取り組んだ飲食店や小売店の先進事例を報告。業界全体で生産性の向上に取り組むことを申し合わせました。
 来月開催予定の次回の会議では、運送、宿泊、介護といった業界を取り上げ、さらに人材不足が指摘される他業界にも議論の対象を拡大し、業態別に具体的な生産性向上策をまとめた冊子づくりなどを検討するとのことです。
 安倍首相は、会議の冒頭で、働き方改革とともに生産性向上のための改革と人づくりのための改革に一体的に着手していく意欲を示しました。
詳しくは、こちらをご覧ください。取り組み事例もご覧になれます。
官邸HP:「第1回生産性向上国民運動推進協議会/資料」
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/pdf/20170524siryou.pdf

2017年5月22日月曜日

「仕事と介護の両立支援」制度が御社を救う④!~制度導入手順編

介護は他人事ではない!

介護は、ある日突然やってきます。
少し前まで元気だった両親が、脳や心臓の急病や転倒や骨折で、突然介護が必要になったりします。
75歳以上の高齢者の23%超は、「要介護」に認定されています。
また、65歳以上の高齢者では、一人暮らしや夫婦のみの世帯が増加しています。
一昔前のような、お嫁さんが主たる介護の担い手で、「家族による居宅での介護」というのは、今では当たり前ではなくなってきています。
こういった家族のあり方や価値観の変化の中で、実際に介護離職をする人が年間10万人を超えています。
この10万人のうち2割は男性です。

介護離職の理由

介護離職の理由として最も多く挙げられるのは、「仕事と介護の両立が難しい職場だった」というもの。
実際に家族の介護を行いながら働いている人のうちで、介護休業や介護休暇を取った人はごくわずかです。
介護が必要な家族が居るにも関わらず、会社にその事実を伝えていない「隠れ介護」は、多くの企業に潜んでいます。
これは、従業員の意識に、プライベートなこと(特に、暗い話題)は職場に隠す傾向が強いことも原因です。
会社が仕事と介護の両立支援制度を設けても、なかなか利用してもらえないのが現実です。
だからといって、会社として何も手を打たなければ、大切な人材が離職していく事態を招きます。

両立支援制度を利用しない理由

従業員が制度を利用しない理由をいくつか挙げてみます。
①介護休業制度を利用すると収入が減るから。
②制度を利用すると、人事評価が下がるから。
③自分の今の仕事を代われる人がいないから。
④時間制約のある働き方によって、周囲への負担がかかるから。
⑤「介護をするなら仕事を辞めるべき」という職場の雰囲気があるから。

会社が取り組むべきこと

①気軽に話し合えたり、相談しやすい雰囲気を作るべきです。
②業務分担を見直しましょう。
③休業者のために負担の増えた従業員への評価が上がる制度が必要です。
④従業員の多能工化や複数担当制などが効果的です。
⑤働き方そのものの見直しも重要です。
⑥長時間労働の是正と柔軟な働き方の推進が大切です。
⑦無駄な業務の洗い出し・削減や業務の見える化、情報共有が重要となります。

両立支援制度導入の手順

最後に、仕事と介護の両立支援制度を導入するための手順について、厚労省のモデルを紹介します。
(手順1)従業員の仕事と介護の両立に関する実態の調査・把握
(手順2)従業員の意識やニーズに基づいた制度の設計・見直し
(手順3)介護に直面する前の従業員に対して、両立の意識の醸成や両立支援制度の周知、両立しやすい職場風土づくり等の支援
(手順4)介護に直面している従業員に対する支援
(手順5)全社的な働き方改革への取り組み推進

より柔軟な対応が必要

①IT技術の進歩でテレワークやサテライトオフィスの導入も容易になってきました。
②フレックスタイム制や裁量労働制による柔軟な働き方も可能です。
③評価制度を改革し、生産性を指標とする評価制度へと変更することも働き方改革につながります。

介護は育児と違い、先が見えなかったり、個別性が大きかったりします。
より柔軟な対応が必要とされます。
御社に合ったやり方を地道に模索していくより他はありません。
しかし、その地道な努力が、御社の従業員の幸せと、御社の継続・発展へとつながっていきます。
ぜひ、この努力を続けてください。

厚労省 無期転換のためのハンドブックを更新


 厚生労働省は、労働契約法の無期転換ルールに基づく無期転換申込みが平成30年4月から本格的に行われることを踏まえ、「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」を開設し、その中で、さまざまな支援メニューを紹介しています。
 その一環として、無期転換制度の導入手順やポイントなどをわかりやすく紹介したハンドブックを作成・公表していますが、そのハンドブックを更新したとのお知らせがありました。
 
 無期転換ルールが施行された平成25年4月から叫ばれていたいわゆる平成30年問題。もう直ぐ現実の問題になります。今一度確認しておく意味でも、一読されてはどうでしょう?
更新後のハンドブックについては、こちらをご覧ください。
<有期契約労働者の円滑な無期転換のためのハンドブック>
http://muki.mhlw.go.jp/policy/handbook_2017.pdf

日本年金機構 平成29年度の定時決定に向けてガイドブックを公表


 日本年金機構は、適用拡大に伴い被保険者となった短時間労働者の取り扱いを追加する必要があることから、標準報酬月額の定時決定に関する情報の更新を行っています。「算定基礎届の記入・提出ガイドブック」についても、改正内容を踏まえた平成29年度版に更新されました。
 これによりますと、算定基礎届の所定の欄に、短時間労働者(4分の3未満)については「短時間又は短」、短時間就労者(4分の3以上だが、正規の社員より短時間の労働条件で勤務する人)については「パート」と記入することとされています。
〔確認〕通常、算定期間である4月~6月の各月のうちに、報酬支払基礎日数が17日未満の月があるときは、その月を除いて算定することになりますが、適用拡大に伴い被保険者となった短時間労働者については、17日ではなく「11日」で判断することとされています。また、短時間就労者について、17日ではなく「15日など」で判断する取り扱いも継続されます。
 このように、報酬支払基礎日数の要件には3つのパターンがあるので、それを区別するために、上記のような記入が必要となりました。
 
 ガイドブックには、短時間労働者・短時間就労者の取り扱いのほか、賞与が4回以上支給された場合の取り扱いなど、算定基礎届に関するポイントが記載されています。
 定時決定の時期が近づいてきました(例年7月1日~同月10日)ので、是非ご確認ください。
<算定基礎届の記入・提出ガイドブック(平成29年度)>
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/kenpo-todoke/hoshu/20141225.files/santeiguideH29.pdf

「仮眠も労働時間」 警備会社に残業代支払い命令(地裁判決)


 「大手流通グループの関連会社(警備業)の男性社員が宿直の仮眠は労働時間にあたるなどとして、未払い残業代などの支払いを求めた訴訟の判決が今月17日、地方裁判所あり、裁判長が未払い残業代と付加金の計約180万円を支払うよう同社に命じた」という報道がありました。
 男性は「仮眠時間でも制服を脱がず、異常があった際はすぐに対応できる状態を保ったままの仮眠で、業務から解放されなかった」と主張。裁判長は「仮眠時間や休憩時間も労働から解放されているとは言えない」と指摘し、労働時間と認められる時間分の未払い残業代などの支払いを会社に命じたようです。
 なお、男性は、残業代支払いを求めた後に出された別の部署への異動命令についても、不当な配置転換だなどとして慰謝料の支払いを求めていていましたが、裁判長は、「異動は業務上必要があったと認められる」として、この請求については棄却したとのことです。
 
 仮眠時間が労働時間に当たるかどうかについては、有名な最高裁の判例があります。それにより、「労働者が実作業に従事していない仮眠時間であっても、労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているものであって、労働基準法32条の労働時間に当たる。」と判示されています。
 会社側が過去の判例を参考にしていれば、労働時間の管理・残業代の支払いもきちっと行われていたかもしれませんね。
〔参考〕類似の最高裁判例/大星ビル管理事件(平成14年2月28日)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52614

労働保険料の年度更新に関するリーフレットを公表(厚労省)

 平成29年度の年度更新の時期が近づいています(6月1日から7月10日までの間に、申告・納付)。

 厚生労働省は、「事業主の皆様へ」などとして、平成29年度の労働保険年度更新申告書の書き方のリールレットを公表しました。
 事業の種類などに応じて、4種類のリーフレットが用意されています。
 詳しくは、こちらをご覧ください。
厚労省HP「労働保険の年度更新/平成29年度事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方など」

2017年5月19日金曜日

公契約だけでなく会社の健康増進にも役立つ労働条件審査

労働条件審査とは

その企業における労務管理の実態を、労働基準法などの労働法令や通達・判例に照らして総合的・網羅的に精査し、コンプライアンス(法令順守・社会的責任)を確認する手続きのことです。
これによって判明した違法な部分を早急に是正し、不安のある部分を改善することによって、良い企業、強い企業を目指します。

会社の健康診断

私たちは定期的に健康診断を受けています。この健康診断によって、病気が治るわけではありません。
しかし、病気を発見し早期治療を可能にしますし、不安な部分について生活習慣を改善し病気の予防に努めることができます。
労働条件審査は、まさに会社の健康診断です。


今だからこそ必要な理由

人手不足が深刻な今、優秀な人材の確保は企業にとって最大の課題です。
好ましい人材の採用にも、失いたくない人材の定着にも、職場の適法性・社会性・環境が大きく影響します。
セクハラ、パワハラ、メンタルヘルス障害などの危険が大きな企業では人材が確保できません。
労使トラブルも急増しています。個々の労働者が手軽に情報を得て、権利を主張するようになりました。
不当解雇、未払い残業代、雇用契約の不更新に対する損害賠償の請求も手軽にできるようになっています。これらには多額の慰謝料も含まれます。
世間一般から、企業のコンプライアンス(法令順守・社会的責任)が問われる時代になりました。
マスコミは、企業の労使トラブルを大々的に取り上げますし、厚生労働省も平成29年5月10日から労働法違反のあった企業名を公表するようになりました。
こうした形で企業名が世間にさらされると、取引先や顧客が離れていき、企業の死活問題ともなりかねないのです。
今まさに、企業が足元をすくわれないようにするため、労働条件審査が必要となっています。

労働条件審査の内容

労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、高年齢者雇用安定法、育児・介護休業法、パート労働法、健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法、労災保険法など関連法令との整合性について、社内規定類の書類調査、職場調査、聞き取り調査などを行い、経営者の方や総務・人事部門の方々と打合せを行って、労働条件審査報告書を作成いたします。
これに、具体的な是正案・改善案が加わりますので、会社の健康増進にもすぐ活用できる内容となっています。

お問い合わせ先

公契約のための労働条件審査であれば、各都道府県の社会保険労務士会へのお問合せをお勧めします。
これ以外の労働条件審査は、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください

2017年5月14日日曜日

遺言と相続そして成年後見セミナー開催の件

 2017年5月13日 団塊社労士Mが「遺言と相続そして成年後見セミナー」の講師を勤めました。当日は雨にもかかわらず、35名の方に参加いただき、セミナー終了後には個別相談も行いました。

セミナーの模様はこちら

自民党 一億総活躍推進本部が提言をとりまとめ


 自民党は、一億総活躍推進本部がとりまとめた「一億総活躍社会の構築に向けた提言」を公表しました。これは、同本部に置かれた6つのプロジェクトチームの提言を取りまとめたものとなっています。
●65歳以上のシニアの働き方・選択の自由度改革に関する提言
 「定年の引上げ(まず、公務員の定年を65歳に)」、「年金の支給開始年齢の後ろ倒しを可能にする(71歳以降からの受給開始を選択できるようにする)」などを提言
●誰もが活躍する社会に関する提言
 「留学生の就労時間延長(マイナンバーを活用して就労(資格外活動)実態の管理を徹底した上で、上限時間(現行は週28時間)を緩和)」を提言
 65歳以上のシニアの働き方・選択の自由度改革に関する提言においては、「65歳までは完全現役」、「70歳まではほぼ現役」とし、75歳までは可能な限り支え手に回ってもらえるようにする、といった考え方も示されています。
 そのこともあって、今回の年金の支給開始年齢に関する提言は、結局のところ、年金の原則的な支給開始年齢(現行65歳)の引き上げの布石ではないか、といった声も上がっています。
 
詳しくは、こちらをご覧ください。
<一億総活躍社会の構築に向けた提言>
https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/134900_1.pdf

厚労省 違法残業等で書類送検の企業名の公表を開始


 『過労死等ゼロ』緊急対策」による取組みの一つとして、労働基準関係法令違反で書類送検を行った企業の名称などを厚生労働省のホームページ上で公表することが決定され、その基準を示す通達が発出されていました。
 今月10日、その公表が開始されました。
 公表される項目は、
①企業・事業場名称、②所在地、③公表日、➃違反法条項、⑤事案概要、⑥その他参考事項(送検日)で、各都道府県労働局ごとに、公表基準に該当した企業が列挙されています。
 今回掲載されたのは、昨年10月から今年3月までに公表基準に該当した334件となっています。
 労働基準法違反に限らず、最低賃金法違反、労働者派遣法違反、さらには労働安全衛生法違反なども公表の対象とされており、違法な長時間労働・残業代未払いなどの事案は約120件公表されています(ちなみに、建設業や製造業などにおける労働災害防止の義務を怠っていた事案は200件を超えています)。
 公表の基準によると、掲載期間は、公表日から概ね1年間(期間中に違法状態を改善した企業は期間前に削除されることもある)で、今後は、毎月定期に更新されることになっています。
 公表が開始されたことは、報道機関も取り上げており、世間の注目度も高いです。
 「企業の法令違反に対する意識の改善につなげたい」というのが厚生労働省の狙いですが、確かに、公表されるダメージを考えると、法令遵守を意識した方が得策といえそうですね。

 詳しくは、こちらをご覧ください。
<労働基準関係法令違反に係る公表事案>
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/170510-01.pdf
<【参考】公表事案のホームページ掲載の基準>
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/170510-02.pdf

2017年5月5日金曜日

「仕事と介護の両立支援」制度が御社を救う③!

~所定労働時間の短縮措置等制度他編

前回は、改正された介護休業制度についてお話しました。
これは、法律に定められた従業員の権利であり、従業員から申し出があった時には、介護休業を取らせなければなりません。
しかし、法律で定められている制度はこれだけではありません。

所定労働時間の短縮措置等

今回の育児・介護休業法の改正で、介護休業とは別に、所定労働時間の短縮等の利用ができるようになりました。
ただし、これは事業主の選択的措置義務といわれるもので、会社は次の4つのうちの1つの制度を導入すればOKです。

1.所定労働時間の短縮
2.フレックスタイム制
3.始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ
4.労働者が利用する介護サービス費用の助成等

会社は上記4つの制度のうち、どれか1つ以上を選んで制度導入しなければなりません。
しかも、制度の利用開始から3年間のうちで2回以上利用できるようにしなければいけません。
どの制度を導入するかは会社に決定権があります。
しかし、その決定した制度の利用を従業員が申し出たなら、会社は断ることができません。
ですから、例えば、会社が「短時間勤務」を導入した場合、「短時間勤務」を1年間申し出て、その後「介護休業」を2ヶ月とって、さらにまた、「短時間勤務」を1年10ヶ月続けるなんてこともできます。
また、3年間ずっと「短時間勤務」なんてことも可能です。
会社にとっては、かなりの負担になるかもしれません。

しかし、従業員の「仕事と介護の両立支援」という面では有効な制度です。
大切な人材が会社を辞めていく介護離職を防ぐのに、効果があると思います。

法改正に伴った就業規則の変更をできるだけ速やかに進め、さらにその内容を従業員に周知することで、潜在的な介護離職者の離職を未然に防ぎましょう。
この制度導入を機に、全社的な「労働時間の短縮」「長時間労働の解消」に乗り出しては如何でしょうか?

長時間労働の解消は、「仕事と介護の両立」だけでなく、

「仕事と育児の両立」
「ワーク・ライフ・バランス」
「女性活躍」
「パワハラ防止」
「マタハラ防止」等々、

最近流行りのキーワードに有効な処方です。

残業免除制度

次に、残業免除制度についてお話します。
この制度は、今回の法改正で新たにできた制度です。
育児については同様の制度があったのですが、今回、介護についても残業免除制度ができました。
この「介護のための残業免除制度」は、介護が終了するまでの間、従業員が申し出れば、会社は残業をさせることができません。
「事業の正常な運営を妨げる場合には請求を拒否できる」ことになっているので、この文言を理由に、この制度を利用させない事業主も出てきそうです。
しかし、これは、通常考えられる相当な努力を行っても、事業運営に重大な支障が出ることが、客観的に証明できる場合です。
その従業員の担当する作業の内容、作業の繁閑、代替要員の配置の難易などの事情を考慮して客観的に判断することとなります。
通常の「忙しい」とか「今は繁忙期だから」というような理由で制度利用を制限するのは難しいと考えておいたほうがよいでしょう。
従業員の希望通りに制度利用させるのが基本だと思ってください。

介護休暇制度

さらに、「介護休暇」が1年に5日取れるのですが、この「介護休暇」を「半日単位」で取れるようになります。

時間外労働・深夜業制限制度

ついでにお話しておくと、今回の改正事項ではありませんが、介護を行っている従業員が申し出た場合には、
1.残業を「1ヶ月24時間以内」に抑えなければなりません。
2.深夜(PM10:00~AM5:00)に働かせることもできません。

就業規則への明記は必須

以上のような介護に関する法改正によって、「仕事と介護の両立」が少しはやり易くなるのではないでしょうか?
介護離職者は年間10万人弱、そのうち2割は男性です。
40代・50代の重要ポストに就いている従業員の介護離職が御社に与えるインパクトを考えてみてください。
何としてでも介護離職を食い止め人材の流出を防ぐことは、これからの御社の経営課題の1つではないでしょうか?
早め早めの手立てを打って、御社の労務リスクの軽減を図っていきましょう。

なお、今回お話した制度については、制度利用が除外される従業員もいます。

その辺りのことも含めて、就業規則にしっかりと明記しておくことで、従業員との無用なトラブルを防ぐことができます。

介護に関する制度は多岐にわたり、また、適用除外者等もあるのでかなり複雑です。
詳しいことは、専門家である我々社会保険労務士にお尋ねいただくのが良いと思います。

2017年5月3日水曜日

厚労省 年度更新申告書計算支援ツールを公表


本年度も、労働保険の年度更新の時期が近づいてきました(6月1日から7月10日までの間)。
厚生労働省は、今月2日、平成29年度の年度更新に向けて、「年度更新申告書計算支援ツール」を公表しました。
このツールは、各事業において、「労働保険 概算・確定保険料 石綿健康被害救済法一般拠出金申告書」の計算を行う際の参考となるよう、作成されたものです。
詳しくは、こちらをご覧ください(Excelのデータとなります)。
<年度更新申告書計算支援ツール>
・年度更新申告書計算支援ツール(継続事業用) Excel2010
・年度更新申告書計算支援ツール(継続事業用:雇用) Excel2010
・年度更新申告書計算支援ツール(建設事業用) Excel2010
※厚生労働省からの注意事項→本ツールの使用にあたっては、必ず事前に「利用方法・注意事項(必ずお読みください)」をご一読いただき、これらの内容について同意されない場合には使用をご遠慮ください。

2017年5月1日月曜日

平成29年度厚生労働省職業能力開発助成金施策について



  本年度の職業能力開発助成金については、特に人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)に関し、企業内における人材育成を引き続き効果的に推進し、労働生産性の向上に資する訓練に重点化する観点から、訓練効果が高く、労働生産性の向上に資する訓練については高率助成とし、また、活用いただく事業主の皆様にとって、より分かりやすく使いやすい利便性の高い制度とするため、助成メニューを整理再編いたしました。

主な変更内容について以下ご紹介させていただきます。

従来の各訓練コースについて、一定の要件を満たす雇用型訓練、若年労働者への訓練、熟練技能者による技能承継のための訓練に加え、労働生産性の向上に直結する訓練を特定訓練コースとして整理いたしました。また、特定訓練コース以外のその他一般的な訓練を一般訓練コースとし、2つのコースに大括り化いたしました。さらに、訓練コースと同様に従来の制度導入コースについても見直しを行いました。具体的には教育訓練・職業能力評価制度の導入に対する助成を廃止し、キャリア形成支援制度導入コース(セルフ・キャリアドック制度、教育訓練休暇等制度)と、職業能力検定制度導入コース(技能検定合格報奨金制度、社内検定制度または業界検定制度)と大括り化し、計4コースに再編いたしました。
労働生産性の向上に資する訓練の実施を促進するため、特定訓練コースについては、助成対象訓練時間の下限を20時間以上から10時間以上に緩和しました。
企業が労働生産性を高めていくことに対するインセンティブを付与するため、労働生産性に係る一定の要件を満たした場合に助成率・助成額を引き上げることとしました。
新たに特定訓練コースに労働生産性向上訓練を位置づけたことなどから、特定訓練コースを含む訓練を実施する事業主については、1年度に受給できる限度額を引き上げました。(500万円→1000万円)
この他、従来の重点訓練コースにおける「成長分野等・グローバル人材育成訓練」の「成長分野等」の訓練及び一般型訓練コースにおける「一般団体型訓練」については、各コースで対応することとし、さらに中長期的キャリア形成訓練、育休中・復職後等人材育成訓練、従来の制度導入コースにおける、事業主団体助成のうち教育訓練・職業能力評価制度の作成、教育訓練プログラムの開発については、平成28年度限りで廃止いたしました。

なお、キャリアアップ助成金(人材育成コース)についても、生産性要件の導入、支給限度額の引き上げ等について制度の見直しを行っております。(500万円→1000万円)





制度・仕組みの具体的な要件や手続きについては、上記の各URLを参照いただくとともに、各都道府県労働局、都道府県職業能力開発サービスセンター等の窓口にご相談いただければと思います。
本件助成金の積極的な活用をよろしくお願いします。