2017年9月12日火曜日

高プロ・罰則付き時間外労働上限規制一本化法案 労政審レポート

 平成29年9月8日、労働政策審議会(労働条件分科会)において、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」が示され、内容について労使の代表から意見が述べられました。


改正案として示されたのは、以下8つの法律です。
・労働基準法
・じん肺法
・雇用対策法
・労働安全衛生法
・労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律
・労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部改正
・短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
・労働契約法
 このうち、労働基準法の罰則付きの時間外労働の上限規制等については、平成27年に国会に提出され審議されないままになっていた高度プロフェッショナル、企画業務型裁量労働の対象業務拡大等の改正案については、一部修正が加えられました。
 修正内容は、本年7月に連合の神津会長が、総理に申し入れをした長時間労働防止、健康確保措置を義務付けたり、企画業務型裁量労働制については、対象業務を拡大解釈することがないよう業務範囲を明確化したりするものとなっています。
  修正・新設事項のポイントは、以下のようなものです。
【企画業務型裁量労働制】 
 ・単なる営業職や現場の業務を行う職種は対象とならない。
 ・使用者の義務として、健康確保措置として勤務刊インターバルや一定の労働時間を超えないようにする措置、年次有給休暇以外の有給休暇の付与等。
【高度プロフェッショナル制度】
 ・「年間 104 日以上 かつ 4 週間を通じ 4 日以上の休日確保」の義務化
 ・勤務間インターバルの確保及び 深夜業の回数制限
 ・1 か月又は 3 か月についての健康管理時間の上限設定
 ・2週間連続の休暇の確保
 ・疲労の蓄積や心身の状況等をチェックする臨時の健康 診断の実施
 (年収の条件や対象業務については修正なし)

 一連の改正法案の施行日:平成31年4月1日。
 雇用対策法:公布の日。
 中小事業主の1月60時間を超える時間外労働の割増賃金率5割:平成34年4月1日。

 労働側委員:この修正があっても、高プロ・企画業務型裁量労働制の対象業務拡大には、揃って反対。
 使用者側委員:評価すべきもの。

なお、労働基準法を一部改正する法案の概要は下記の通りです。
Ⅰ 長時間労働抑制策・年次有給休暇取得促進策等 
(1) 中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し
(2) 著しい長時間労働に対する助言指導を強化するための規定の新設
(3) 一定日数の年次有給休暇の確実な取得 
(4)企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組促進
Ⅱ 多様で柔軟な働き方の実現
(1) フレックスタイム制の見直し  
(2) 企画業務型裁量労働制の見直し 
(3) 特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設

 次回の審議会では、秋の臨時国会への提出を見据え、改正要綱を労使双方が持ち帰り意見をまとめて臨むこととなります。
 法律案要綱について、詳しくは、こちらをご覧ください。
<「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」(諮問)>

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