2015年12月26日土曜日

保険料10%で据え置き 協会けんぽ方針

  中小企業の社員や家族らが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)は25日の運営委員会で、労使折半で負担する2016年度の保険料率を現在の10.0%のまま据え置く方針を決めた。財政の好転を受けて引き下げを求める意見もあったが、高齢化による将来の医療費の増加を見据えると下げるのは難しいと判断した。介護保険料も据え置く。
 労使が払う実際の保険料は加入者の収入に保険料率をかけて算出する。協会けんぽの財政が改善しているのは、賃上げや働く人の増加で保険料が伸びているためだ。15年度の決算は2719億円の黒字を見込む。黒字は6年連続で、積み立てた準備金は1兆3366億円となり、22年ぶりの高い水準に達する。

マタハラ防止の義務化、介護休業の分割取得などを提言 厚労省労政審

 厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会が12月21日開かれ、マタニティーハラスメント(マタハラ)の防止策の企業への義務化、介護休業の分割取得を可能にすることなどを柱とした仕事と育児・介護の両立を支援する制度の見直しに関する報告書をまとめました。

 非正規労働者が育休を取るための要件緩和や介護をしている労働者が残業の免除を会社に請求できる制度の導入も盛り込まれました。
 厚労省は報告書を踏まえ、育児・介護休業法と男女雇用機会均等法の改正案をまとめ、来年の通常国会に提出し、2017年度からの施行を目指します。

2015年12月24日木曜日

事務所通信 2016年 1月号をアップロードしました。


1.ストレスチェック制度のスタートに備えて③
 ストレスチェック制度の実施体制・役割分担
2.平成28年 税制・社会保険制度 改正の動向
3.新情報!● 一億総活躍社会の実現に向けた緊急対策(企業への影響は?)
4.お仕事カレンダー1

2015年12月21日月曜日

14年度の労災認定最多

    厚生労働省によると、過労やパワハラでうつ病などの精神疾患を発症したとして、2014年度に労災認定された人は497人(前年度比61人増)。このうち自殺者(未遂を含む)は99人(同36人増)で、いずれも過去最多を更新した。

  昨年11月に過労死等防止対策推進法が施行されたのを受け、国は過労死を防ぐため取るべき対策をまとめた大綱を7月に閣議決定。過労死の発生要因を探るために長期的な追跡調査を進めることや相談体制の整備などを打ち出している。

2015年12月15日火曜日

マイナンバーの次はストレスチェック

 企業に従業員のメンタルヘルス対策の強化を促すストレスチェック制度が12月1日からスタートした。
 ストレスチェック制度に関する企業の認知度は高い。東京労働局が従業員100~149人の事業所を対象に実施した調査では、94.4%がストレスチェック制度を「知っている」と答えた。
 しかし、メンタルヘルスの推進担当者を専任している事業所は53%、休業者の職場復帰支援プログラムを作成しているのは47%にとどまるなど、メンタルヘルスの対策は十分とはいえないのが現状だ。マイナンバー対策が一段落したら次はストレスチェック対策が待っている。企業の人事担当者の負担は増える一方であるが、早急の対策が求められている。第1回のストレスチェックは来年の11月末までに実施する必要がある。

2015年12月13日日曜日

退職勧奨でうつ 日本IBM社員を労災認定

 退職勧奨を繰り返し受けてうつ病になった日本IBMの50代の男性社員が、中央労働基準監督署から労災認定を受けたことが12月9日分かりました。退職勧奨で労災が認定されるのは非常に珍しいということです。
 男性は社内システムの管理に従事していましたが、昨年12月、「業務成績が悪い」として直属の上司から月末までの退職を求められました。募集枠が埋まったため退職勧奨は中止されましたが、今年2月に4回にわたって上司と面談し、早期退職するよう求められ「(早期退職を)受けない場合は、解雇になる」と言われました。
 男性は体調悪化で出社できなくなり、現在も休職中です。6月に中央労基署に労災申請し、今月1日に認定通知があったということです。

2015年12月9日水曜日

「高額療養費制度」を見直し、70歳以上の患者負担上限引き上げ案


政府内で浮上、診察料増額の財源に   


 2016年度の診療報酬改定を巡り、月ごとの医療費の自己負担に上限を設けた「高額療養費制度」を見直し、患者負担を増やす案が政府内で浮上している。財務省は診療報酬の本体部分を増やす条件として、高額療養費の縮小を持ち出した。財源なしに診察料などを増やすことはできないとの判断が背景にある。
 70歳以上の負担を引き上げる内容で、財務省と厚生労働省が検討している。制度改正で浮いた財源は、医療関係者が求めている医師の診察料や検査料引き上げの財源に充てる。ただ高齢者の批判を恐れる与党内の反発は強く、実現するかは不透明だ。
 
高額療養費制度とは
 

パート賃上げ企業に補助金 「130万円の壁」対策案

     
 塩崎恭久厚生労働相は7日の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で、パートで働く主婦などの労働を後押しする方針を表明した。賃金引き上げや労働時間の延長を行った企業に補助金を配ることで、社会保険料の負担増を懸念して就労を抑制する「130万円の壁」の解消を狙う。
 
 新制度は16年4月から19年度までの4年間続ける。「大企業で2%、中小企業で3%以上の賃上げ」「パート労働者が働く時間を週5時間以上延長する」などの条件を満たした企業に補助金を出す。パート労働者は賃上げを通じて、手取り額の目減り分を抑制でき、企業側も社会保険料の負担を軽減できる。

 130万円の壁はこちらを参照

2015年12月7日月曜日

日本には手厚い4つの社会保険制度がある


▽…病気やけがで高額の医療費がかかったり、高齢で生計費を稼げなくなったりするなど生活に変化が起こった場合に、お金やサービスなどの給付で生活を支える公的な保険制度。全国民が強制的に加入しており、給付は個人や企業が負担する社会保険料を原資に賄う。給付にかかる費用の一部を、国や自治体が負担するものもある。
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▽…社会保険は年金、医療、介護、労働の4つの分野に分かれており、職業によって加入する保険の種類が異なる。
1.正社員の3/4以上働く会社員の場合
 年金は厚生年金、医療では健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入。(配偶者も被扶養者として加入)
2.自営業者の場合
 年金は国民年金、医療は国民健康保険に加入する。
3.週20時間以上働いている人
 職を失った際に失業給付などを支払う雇用保険に加入
4.すべての働いている人
 業務上のけがや病気の際に必要な給付をする労働者災害補償(労災)保険がある。
 労使から集めた保険料は労働保険の特別会計で管理し、失業や労災が起きたときに該当する労働者に支払われる。同特会からは育児休業中の給付金や、労働者のキャリアアップへの支援のためのお金も支払われている

103万円、130万円の壁

2015年12月7日の日経新聞に下記のような記事が載りました。
誤解されている人も多いようなので ここで金額の壁についてまとめてみました。

日経新聞の記事
▼130万円の壁 パート労働などの収入が130万円を超えると、正社員と同じ給与所得者として位置づけられ、厚生年金や健康保険など社会保険料がかかる。主婦層が手取り額を減らさないように労働を抑える要因とされ「130万円の壁」と呼ばれる。収入が103万円を超えると、専業主婦がいる世帯の所得税を軽くする配偶者控除が受けられなくなる「103万円の壁」もある。
*現在、年収130万円以上で社会保険料がかかるのは、正社員の3/4以上の時間働いた場合だけ。

1.誤解の多い103万円の壁と130万円の壁

実は4つの壁があるのです。将来的には5つの壁。

①103万円:所得税がかかる基準
②130万円:60歳未満の人が社会保険の被扶養者になれる基準
③141万円:特別配偶者控除が受けられなくなる基準
④180万円:60歳以上の人が社会保険の被扶養者になれる基準
⑤106万円:2016年10月以降、新たに発生する社会保険の壁

103万円の意味
年収103万円とは、所得税がかかる基準です。
給与収入の場合、給与所得控除というものがあります。これは、最低65万円を年間の給与収入から控除することができるというものです。

所得=収入―経費(給与所得控除65万円含む)

さらに、税金は、だれでも基礎控除38万円というものがあります。

所得―所得控除(基礎控除38万円)=課税所得

つまり、65万円と38万円の合計額103万円までは、自分自身に税金がかからないと言うことになるのです。 妻本人がパートやアルバイトをしている場合、103万円までのアルバイトなら、妻本人には税金がかからないということです。

次に、主たる納税者側(夫)側をみてみることにします。
よく妻の「年収が103万円以下」であれば「配偶者控除が受けられる」といわれます。しかし配偶者控除の基準が「年収103万円以下」とは税法のどこを見ても書いてありません。

正しくは「合計所得金額38万円以下」というのが控除適用配偶者になるための要件です。

ではなぜ税法の正式な解釈である「合計所得金額38万円以下」より「年収103万円以下」の方がよく使われるようになってしまったのでしょう?
これは「配偶者の稼ぎを得る手段は何といってもパートだろう」という前提条件に立っているからです。所得税の基本は、収入(一般的には年収)から必要経費を差し引くことによって所得を求めるところからスタートします。パートの場合、税務上、給与所得という所得区分となりますが、給与所得であれば前述の給与所得控除額として最低65万円差し引くことができるので、パートで年収が103万円ちょうどの場合の所得は以下のような算式となります。 103万円(給与の収入金額)-65万円(給与の必要経費)=38万円(給与の所得金額) この人が他に何も収入がないのなら、この38万円が合計所得金額となり、配偶者控除の要件を満たすことになります。

つまり、「年収103万円以下」という基準は「配偶者の稼ぎを得る手段は何といってもパートだろう」ということを前提条件に逆算して求められたものなのです。
申告する夫がその奥さんを扶養に入れ、配偶者控除を受けるためには合計所得金額を38万円以内に抑えなければなりません。
奥さんの年収から最低給与所得控除65万円を差し引いた金額が、38万円を超えないようにするためには、奥さんの合計所得金額を「103万円」以内に抑えなければならないという訳なのです。
配偶者である妻がこの範囲の所得におさまれば、主たる納税者側(夫)側が、「配偶者控除の38万円」を受けることができるのです。
但し、この103万円の壁についても誤解があります。それについては、2で詳しくお話します。


130万円の意味(被扶養者が60歳以上の場合180万円)
130万円の金額とは、国民年金の第3号被保険者や健康保険の被扶養者など社会保険の年収基準額のことです。
この130万円の基準が適用されるのは、「将来に向かって130万円の収入の見込みがあるかどうか」で判断されますので、過去、去年1年間で130万円の収入があったかどうかで判断されないのです。

あくまでも「将来に向かって」なのです。


●年収が130万円未満の場合
年収が130万円未満の場合、被扶養者となり、自分で保険料を支払う必要がありません。 もちろん 被保険者の被扶養者になるには、130万円未満という要件だけでなく、被保険者の収入の2部分の1以下であることが必要です。

●年収が130万円以上の場合
年収が130万円以上の場合、配偶者の被扶養者からはずれ、自分で社会保険料を支払う義務が発生します。

2、「103万円の壁」に対する誤解

女性の就業を阻害する一因として配偶者控除の廃止が議論されていますが、103万円の壁については、次のような誤解も多いように思います。
103万円を超えると配偶者控除がなくなる!
 103万円を超えると38万円の配偶者控除がゼロになると思う人もいますが、それは誤解です。103万円以上~141万円未満の間は「配偶者特別控除」があり、控除額が段階的に引き下げられる仕組みになっています。ただし、控除を受ける人の合計所得が1000万円を超えると、配偶者特別控除は受けられません。
103万円を超えると税金が増えるから損!
 確かに、控除される金額が下がれば夫の所得税や住民税は増加します。また妻自身も新たに所得税や住民税を負担なくてはなりません。しかし「収入の増加>税金の増加」ならば、世帯の手取り額としてはプラスになります。

(1)103万円が“壁にならない人”

夫の年収500万円、現在100万円のパート収入を得ているA子さんを例に、妻の収入の変化と世帯の手取りの変化を確認してみましょう。(※妻の所得控除は基礎控除のみと仮定)

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 妻の収入が103万円を超えて、104、110、120万円と増加するごとに夫と妻の税金も増えます。しかし、それ以上に収入増となっていますので、世帯としての手取額は増えています。
 仮に、夫の所得税率が33%になると妻の収入増加の半分程が手取りの増加額となります。つまり夫の税率が高くなるほど、手取額の増加は小さくなります。
 但し、会社によって103万円を超えると家族手当が支給されなく場合がありますので注意してください。


(2)103万円が“壁になる人”


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 夫の合計所得が1000万円(年収約1231万円)を超えると、配偶者特別控除が受けられません。妻の収入が103万円を超えた段階で、夫の課税所得が38万円増加することになります。また税率も高いので、所得税の増加額が大きくなります。
 夫の年収が2000万円程度(所得税率40%)になると、妻の収入が120万円でも世帯手取りは、100万円の時に比べてマイナスとなります。103万円が壁になる人は表(2)のように夫の合計所得が1000万円を超える人です。表(1)のように配偶者特別控除が受けられる人は、103万円は壁にはなりません。
 しかし、表(1)の場合でも103万円を超えると勤務先の家族手当がなくなる場合や、妻の収入の増加により保育料負担が増加する家庭では、103万円が壁になる可能性もあります。

3.かしこい働き方を選択する

消費税8%となり、月20万円を消費する家庭では、年間で7万2000円の増税となりました。A子さんの場合、103万円の壁にこだわらず110万円働けば、消費税分をA子さんの働きでカバーすることができるようになります。
 「手取りが増えても稼いだ半分しかプラスにならないのは嫌だ」
 「その程度のプラスなら子どもとの時間を大切にしたい」
 そういう考え方も一理あると思います。また自身のキャリアプランを考慮して「手取りが減っても働きたい」という人もいると思います。大切なことは、断片的な情報をうのみにせず、社会保険料も含め、正しい情報を得て自分らしい働き方や暮らし方を考え、選択することだと思います。

4.新たに出現する106万円の壁 パートの社会保険料が変わる!?


 2016年10月、パートタイマーなどの働き方に影響を及ぼす法律の改正があることをご存知でしょうか。2014年8月、「短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大」が決定し、2016年10月から施行されることになりました。
実はこの改正のため、パートタイマーとして扶養内でいくら稼ぐかを検討する際に目安とされる「年収103万円の壁」や、「年収130万円の壁」に続き、新たに「106万円の壁」というものが出現することになります。

 106万円の壁とは

2016年10月から、短時間労働者のうち社会保険(厚生年金・健康保険)の加入対象者が拡がる見通しで、年収130万円に満たないパートタイマーでも、拡大対象となった場合は、社会保険の保険料納付の義務が生じます。
どのように厚生年金の加入対象が拡大されるのか、以下にまとめてみましょう。

厚生年金・健康保険の加入対象となる条件

 ①現在

 労働時間が週30時間以上(※)
※正社員の所定労働時間が週40時間の場合
 
 ②2016年10月~

  1. 週20時間以上
  2. 月額賃金8.8万円以上
    (年収106万円以上)
  3. 勤務期間1年以上
  4. 従業員(※)501人以上の企業
  5. 学生は適用除外
    1.~5.のすべてを満たす
(※従業員は被保険者数)
現在は「正社員の4分の3以上の時間」勤務すると社会保険に加入することになります。改正後は、「月額賃金8.8万円(年間106万円)以上、週20時間以上勤務」で加入することになり、これが新たに出現する「106万円の壁」となるわけです。
当面は、従業員数501名以上といった大企業のみが対象ですが、将来的にはそれ以外の企業へも広がる可能性が高いため、加入対象となるパートタイマーの方は増えていくと思われます。


有期労働契約、5年過ぎれば無期に 雇用転換へ対応二分

有期労働契約の通算期間が5年を超えた労働者に、無期転換の選択肢を与える労働契約法18条が2013年4月に施行されて3年弱。契約期間によっては転換申し込みが来春に迫り、大手企業が対策を急ぎ始めた。サービス業が「限定正社員」の新設などで早期転換を促す一方、製造業の多くは転換を防ぐ対策を取り、対照的な動きを見せている。

労働契約法改正のあらまし

2015年12月5日土曜日

ストレスチェック制度の労働基準監督署への報告書の様式を平成28 年3 月下旬に公表する予定。

  平成27 年12 月1 日より施行された労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度において、提出が義務付けられている労働安全衛生規則様式第6号の2「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」(以下、「報告書」という。)は、OCR で読み取り可能な様式を平成28 年3 月下旬に公表する予定ですので、事業者の皆様には、提出にあたりまして、以下の点にご留意していただきますよう、お願いいたします。
 労働基準監督署への報告書の提出に関する留意点
(1)報告書は、平成28 年4 月1 日以降に提出するようお願いします。
(2)その際には、下記URL に掲載される平成28 年3 月下旬に公表予定の報告書の様式を用いて提出していただくよう、お願いいたします。
 厚生労働省ホームページ 「安全衛生関係主要様式」
 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/anzeneisei36/index.html

2015年12月1日火曜日

従業員のストレスチェック義務化

 改正労働安全衛生法が1日施行され、うつ病など精神的な不調を防ぐため、従業員の心の健康状態を年1回調べる「ストレスチェック」が従業員50人以上の事業者に義務付けられた。質問票を使って従業員のストレスの状態を調べ、希望者には医師が面接する。働く人の心の病が目立つ中、環境の改善などにつながるかどうか注目される。
 結果は従業員のプライバシーに関わる。このため医師らが本人に直接通知し、同意なく事業者に伝えることは禁じられている。ストレスが高いという結果が出て本人から申し出があった場合、事業者は従業員に医師の面接を受けさせなければならない。
 事業者側は面接結果を知ることはできないが、本人の同意を得た医師の助言を受け、労働負荷の軽減など業務の見直しを求められることになる。一方、ストレスチェックや面接を受けないことを理由とした従業員への不利益な取り扱いのほか、面接結果を理由とする解雇や不当な異動も禁止されている。

改正労働安全衛生法(ストレスチェック制度関連)のポイントはこちら