日本郵便で配達などを担当する契約社員3人が、正社員と同じ仕事なのに手当や休暇の制度に格差があるのは労働契約法に違反するとして、同社に手当の未払い分計約1500万円の支払いなどを求めた訴訟の判決が14日、東京地裁であった。
春名茂裁判長は一部の手当や休暇について「不合理な差異に当たる」と述べ、同社に計約90万円の支払いを命じた。
一方、3人が正社員と同じ地位であることを確認するよう求めた点については、「法律に規定が無く、労使間の交渉を踏まえて決めるべきだ」として請求を棄却した。原告側は、格差が不当と認められなかった手当と、地位の確認について控訴する方針。
 原告の3人は東京、千葉、愛知の郵便局で配達業務や窓口業務を担当する時給制の契約社員。同社には、手当や休暇について正社員と契約社員に違いがあり、3人は八つの手当と二つの休暇制度で解消を求めた。
 判決はまず不合理な待遇格差を禁じた労働契約法20条について、契約社員と正社員の賃金制度に一定の違いがあることまでは否定していない」と指摘。待遇の格差が不合理かどうかは、仕事内容や責任の程度、転勤の有無などを総合的に考慮すべきだと述べた。
 その上で、3人が格差の解消を求めた手当や休暇制度をそれぞれ検討。年賀状配達の業務に対して正社員のみに支払われる「年末年始勤務手当」について、「繁忙期の労働対価を契約社員に全く支払わないのは不合理だ」と認め、正社員の8割を支払うべきだと判断した。賃貸住宅に住む社員向けの住居手当も「格差に合理的な理由がない」として正社員の6割を支払うべきだとした。
 さらに、「病気休暇」は「労働者の健康維持のための制度」、「夏期冬期休暇」は「国民的意識や慣習が背景にある」と述べ、それぞれを契約社員に認めないのは違法だと結論づけた。
 判決を受け、同社は「内容の詳細を確認して今後の対応を決める」とコメントした。