2016年11月29日火曜日

事務所通信 2016年12月号

事務所通信 2016年12月号
1.マタハラの防止措置を事業主に義務付け
2.高年齢者の雇用状況を公表
3.長時間労働の削減
4.お仕事カレンダー12月

2016年12月号 事務所通信はこちら

2016年11月26日土曜日

年金改革法案2016について改めてまとめてみました。

年金改革法案について、自民党と公明党が今日の衆議院厚生労働委員会で採決することを決めた。自公は「将来年金確保法案」と言い、野党は「年金カット法案」と呼ぶ。下記の自民党の年金改革法案に対する考え方およびマスコミ報道を読み、今一度、一体どちらが正しいのか考えてみたく
ださい。今回問題となっているのは下記の2点です。

「マクロ経済スライド調整」
 ・マクロ経済スライドによる調整について、現在の受給者に配慮して、前年度より年金額を下げる調整は行わないが、物価・賃金が上昇したときには、過去の未調整分を繰り越して調整する仕組み(キャリーオーバー)とする(平成30年4月~)。

「賃金スライド」
 仮に将来、賃金が名目でも実質でも下がるような望ましくない経済状態が起きた場合でも、現役世代が将来受給する年金水準が低下しないよう、賃金(名目)の変動に合わせて年金額を改定する。 
 ただし、経済が正常な状態で、賃金と物価が上がっている状況では、年金額が下がることはない。 また、このルールは、低年金・低所得の方への配慮として、福祉的な給付(最大年6万円 平成31年10月~)が始まった後、施行される(平成33年4月~)。



「年金改革法案」及び「受給資格期間短縮法案」について(自民党)

年金改革法案Q&A(自民党)

年金改革法案に対するマスコミ報道(全日本年金者組合より)

2016年11月25日金曜日

源泉徴収事務・法定調書作成事務におけるマイナンバー制度 パンフレットを掲載 国税庁


国税庁のマイナンバー制度ページに、28日「源泉徴収事務・法定調書作成事務におけるマイナンバー制度」パンフレットが掲載されました。
これまでの情報を取りまとめたものになります。年末調整等の実務にお役立てください。

定年後の再雇用「賃金減額は不合理でない」原告が逆転敗訴


 定年後に再雇用されたトラックの運転手が「正社員と同じ仕事なのに賃金に差があるのは違法だ」と訴えた裁判で、東京高等裁判所は「2割前後の賃金の減額は不合理ではない」として、原告が勝訴した1審の判決を取り消し、訴えを退けました。
 横浜市に本社がある長澤運輸を定年退職したあと、嘱託社員として再雇用されたトラックの運転手の男性3人は「正社員と同じ仕事なのに賃金に差があるのは違法だ」として会社を訴えました。裁判では、正社員との格差が、法律で禁止された不合理なものと言えるかどうかが争われ、1審の東京地方裁判所は「財務状況などを見ても正社員と格差を設ける特段の事情はない」として同じ賃金の支払いを命じ、会社が控訴していました。
 2審の判決で、東京高等裁判所の杉原則彦裁判長は「同じ仕事でも一定程度の賃金の減額は社会的に容認されていて、企業が若年層を含む雇用を確保する必要性などを考慮すると、減額は一定の合理性がある」と指摘しました。そのうえで、「賃金の引き下げ幅は、年収ベースで2割前後と同規模の他社を下回っていて、直ちに不合理とは認められない」として、1審の判決を取り消し、原告の訴えを退けました。
 原告側は会見し、「格差や差別を正すために訴えたのに、現状を追認する判決に強い憤りを覚える」と述べ、上告する考えを示しました。

「年末調整がよくわかるページ」が国税庁HPに掲載


国税庁が、年末調整関係の資料をまとめたページをHPに掲載しました。
源泉徴収事務・法定調書作成事務におけるマイナンバーの扱いや、帳票類、従業員への案内用のリーフレット、年末調整や法定調書についての手引き、解説動画等が掲載されています。
詳細は、以下のURLからご覧いただけます。
国税庁HP「年末調整がよくわかるページ」
http://www.nta.go.jp/gensen/nencho/index.htm

マイナンバー記載の健康保険・厚生年金届出書新様式(案)


平成29年1月1日より、日本年金機構でマイナンバーの取扱いができることと閣議決定されたことに伴い、厚生年金保険法施行規則の一部を改正する省令案に関する意見募集が始まりました。
平成29年1月1日からの新様式として、下記の3つの届出書も公開されています。
 
 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
 健康保険・厚生年金保険 被保険者氏名変更届
 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届
この改正案について2016年11月11日より2016年12月10日まで、意見募集をしています。
e-Govパブリックコメント:意見募集中案件詳細
「厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令案(仮称)に関するご意見の募集について 」
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495160253&Mode=0
「厚生年金保険法施行規則の一部を改正する省令案に関する意見の募集について」
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495160254&Mode=0

年金受給資格、納付10年に短縮 改正法成立


 年金の受給資格を得るために必要な加入期間を現行の25年から10年に短縮する改正年金機能強化法が16日午前の参院本会議で、全会一致で可決、成立しました改正法は来年8月に施行され、10月から約64万人が新たに年金受けられるようになる見通しです。

平成28年10月からの厚生年金保険の標準報酬月額の下限の引き下げについて 日本年金機構


 日本年金機構は18日、平成28年10月からの厚生年金保険の標準報酬月額の下限の引き下げについて公表しました。

厚生年金保険法における従前の標準報酬月額の下限等級(1級・9万8千円)の下に1等級(8万8千円)が追加され、下限が引き下げられました。

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部及び公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置に関する政令が平成28年10月1日に施行されたことにより、平成28年10月から厚生年金保険の標準報酬月額の下限が変更になりました。
 
詳しくはこちら【日本年金機構】
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/sonota/1118.html

働く人にとっての倫理と法と就業規則

私たちが働く上で、私たちを縛るもの。
私たちが、守るべきもの、従うべきとされているものです。
その代表的なものが、次の3つではないでしょうか。

1.法令
2.職場のルール
3.倫理

では、これらの関係は一体どうなっているのでしょう?

1.法令
法令とは、法律と政令・省令・施行規則等
法令は、当然守らなければならないのでしょうか?

  (1)〇〇しなければならない(義務)
  (2)〇〇してはならない(禁止)
  (3)〇〇に配慮しなければならない(配慮義務)
  (4)〇〇するよう努めなければならない(努力義務)
  (5)単なる理念をうたったもの

守るべきものは、(1)、(2)です。
(3)~(5)までは、守ったほうが良いですが、絶対に守る必要まではありません。
守らなかったからといって、罰則などは科されません。

2.職場のルール
職場のルール = 就業規則
就業規則職場のルールブックであり、就業規則に載っているルールは守らなければならない。
逆に、就業規則に載っていないルールは、守るべきルールとは言えない。(守る必要はありません)※労基法89条の10
働く人の権利と義務を定めたものが、就業規則です。

就業規則に載っているルールは、働く人だけでなく、会社をも拘束します
会社も、就業規則に従わなければなりません。
ですから、もし就業規則の記載ミスで、就業時間を実際よりも短い時間で記載していた場合には、その就業規則に書かれた就業時間と実際の就業時間の差について、会社は賃金を支払う必要が出てきます。
記載ミスだからといって、支払いを免れることはできません。

また、就業規則に明記されていない事項でも、法令で定められている権利は、当然、認められます。
たとえば、男性の育児休業。
これは、育児・介護休業法で定められた労働者の権利です。
男女関係なく、取ることができます。
就業規則に不備があって、男性の育休の定めがなかったとしても、
就業規則に定めがないという理由でその申出を断ることはできません。
当然、男性であっても育休を取ることができますし、会社がそれを断れば、法違反となります。
この行為は、マタハラとなります。
都道府県労働局の雇用環境・均等部に申し出れば、指導等の対象となります。
※ 雇用環境・均等部では、セクハラ・パワハラ・マタハラ等の相談や企業指導、労働紛争のあっせんや調停を行っています。

職場のルールを破れば、当然罰せられます。
しかし、職場の罰則である懲戒処分を科すには、就業規則への定めが必要です。
就業規則に懲戒の定めがなければ、懲戒処分を科すことはできません。
また、就業規則に定めた理由でしか、懲戒処分を科すことはできません。
就業規則に定められていない理由では、従業員を処罰できません。

ただし、就業規則に定めがあれば、何でもO.K.というわけではありません。
懲戒処分には、「客観的で合理的な理由」と「社会的な相当性」が必要です。
たとえば、「社長と気が合わない従業員を、社長の独断でクビにする」という定めがあったとします。
このような定めには、客観性がありません。(社長の主観)
また、合理的であるとも言えません。
ですから、この定めは「無効」となります。

あるいは、1回だけ10分程度遅刻しただけで、懲戒解雇などというのも、いくらなんでも厳しすぎっしょ!
社会的な相当性がありませんから、これも「無効」となるでしょう。

ちなみに、裁判等で懲戒解雇が「無効」と判断された場合、解雇されてから無効が確定するまでの期間の給料を受け取ることができます。(働いていないにも関わらず・・・)

会社側は、その間の給料を支払わなければなりません。
おまけに、裁判費用もかかっています。
裁判のための証拠集めや書類作成、弁護士との打ち合わせ等に関わる従業員の人件費もかかりますし、その従業員の機会損失費用も出ます。
ですから、費用の面からいっても、会社は安易な解雇を行うべきではありません。
※ 機会損失費用とは、その従業員が裁判に関わることがなければ、当然に生み出していたであろう売上や利益

3.倫理とは?
職場での倫理はルールではありません。
ということは、従わなければならないものではありません。
従わなかったからといって罰せられるものではありません。
ルールであれば、就業規則に明記されなければならない。
※労基法89条の10

では、働く人にとっての倫理とはなんでしょう?
職場において倫理的に問題となる行為とは、「罰せられることはないが、バッシングや誹謗中傷、陰口などを叩かれて嫌われるような行為。また、周囲を不愉快にする行為。」
※ あまりに倫理的に問題のある行為については、公序良俗に反する行為として、罰則の対象になることがあります。

ですから、バッシング等が気にならなければ、倫理など気にする必要はないかもしれません。
しかし、倫理的な行動をとれば、人間関係が円滑になるというメリットがあります。

ただ、倫理とは、「仲間内だけに通用するローカルルール」であり、その場・その時の「なんとなくの共通認識」であったりもします。
ですから、他者(第三者)からみた場合に、とても非常識で滑稽なものであることもあります。
「ひとつの倫理」は「もうひとつの倫理」と対立する!という言葉があるくらいです。
あまり倫理に囚われ過ぎないことが大切です。
倫理観も、行き過ぎればハラスメントやいじめの原因となります。
自分の倫理観を「絶対的なものだ」という勘違いから起こる、悲しい結末です。


職場において守るべきは、第1に就業規則です。
あまり「倫理」に重きをおくと、それが逆に「倫理的でない」ということにもなりかねません。


では、実際にはどのようにこの問題を解決すれば良いのか?
まず、今まで「職場での倫理」として扱っていた事項について、会社が従業員に「やって欲しいこと」「やってもらいたくはないこと」として、就業規則に具体的に明文化します。
その時に、懲戒規定とヒモづけることが必要です。
さらに、人事評価制度の評価基準ともヒモづけましょう
「やって欲しいこと」を行うような従業員の評価は高く、「やってもらいたくないこと」を行う従業員は低く評価されるような評価基準を設けましょう。
「〇〇な人物」「〇〇な能力」「〇〇な行動」を、どのように評価するのか、その評価基準と倫理とをヒモづけるのです。
このことによって、曖昧だった「組織の目指すべき方向性」や「価値観」を、従業員皆ですり合わせることができます。
従業員それぞれの判断の拠り所とすることができます。

このとき注意することは、懲戒規定や評価基準を具体的でわかりやすいものにすること
曖昧だと、評価者によって評価に違いが出たり従業員が何を行えばよいのか分からず迷走することにもなります。