2017年1月31日火曜日

事務所通信2017年2月号をアップロードしました。


事務所通信2017年2月号

改正個人情報保護法①/全面施行は平成29年5月30日
雇用保険等の改正を検討
政府が同一労働同一賃金のガイドライン案を提示
お仕事カレンダー2月

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2017年1月28日土曜日

平成29年度年金額の改定

平成29年1月27日に厚生労働省より平成29年度の年金額等の改定が発表されました。
法律の規定により平成28年度から▲0.1%の改定となります。

本来はマクロ経済スライド調整により更に▲0.5%改定しなくてはいけないのですが
見送られました。

概要は次の通りです。

1.年金額  月額 64.941円(▲67円)

2.国民年金保険料  平成29年度 月額16.490円(+230円)
               平成30年度 月額16.340円(▲150円)

3.在職老齢年金の支給停止調整開始額
               60歳~64歳 28万円(変更なし)

4.在職老齢年金の支給停止調整変更額
              60歳~64歳 46万円(▲1万円)
              65歳以降   46万円(▲1万円)


年金額改定の詳細はこちら

2017年1月27日金曜日

『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』(第6回)

中央職業能力開発協会のCSCスーパーバイザー泉田洋一氏が、中央職業能力開発協会のホームページ
「キャリア塾」に2016年7月より2016年12月まで6回にわたり連載された内容をご紹介します。

私(井上雅夫)も中央職業能力開発協会「CSCのためのワークショップ」の公認インストラクターです。
CSCとはキャリア・シフトチェンジのことで、現在40代半ばから50代の方が、シニア世代になっても
職場の戦力として活き活き働くためにはどうしたらよいかを自ら考え、今後の行動変容を促すための研修です。

CSCのためのワークショップについてはこちら


『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』(第6回)
1.「中年」とは
この連載では、『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』を、企業/人事部門の観点
から紹介していきます。
☆この連載では、「中年」を45歳~54歳ぐらいの方とします。
☆中年期は人生の折り返し地点でもあり、職業人生の折り返し地点でもあります。

前回は、「キャリアデザイン研修」の実施の仕方について説明をしました。
最終回の今回は、「中年」のキャリア形成に必要な行動について説明します。



2.現在のキャリア形成の考え方
従来、キャリア形成をするには、「自己理解」と「仕事理解」を行い、マッチングをするのが
よいと言われてきました。しかし、変化の早い現在では、「自己理解」と「仕事理解」だけで
なく、「環境理解」も必要になってきています。この「環境理解」には、現在の環境を理解する
だけではなく、これからの環境がどう変わっていくのかを予想する、ということも含みます。


3.変化に対応できるか
「中年」の方が職業人になった頃と、現在とでは、自分の仕事能力、仕事に関する考え方、
仕事の仕方、仕事上のポジションは、大きく変わっているでしょう。また、技術革新により、
仕事の環境も、以前とは大きく変わっていますし、これからも大きく変化していくでしょう。
職業人は、その環境の変化に対応していかないと、企業にとってお荷物になってしまい
ます。お荷物にならないためにも、変化に対応する行動を取ることが必要になってきます。
変化への対応がしづらくなってくる人は、新しいことに興味がなくなり、過去のことに話が
向いてしまいます。以下のような傾向があるように思えます。

・新しい技術への興味がない
・新しい人的ネットワークを作っていない
・飲み会/食事会は、決まったメンバーで行く
・自分の過去の自慢話をちょくちょくする
・面倒だという発言が多くなってきた
・「最近の若い者は」と発言するようになってきた



4.変化に対応する行動
「中年」になると、新しいことを実行する際、過去の成果や経験、経歴が邪魔をすることが
よくあります過去に成功したやり方や古くなった技術スキルに固執したり、立場を守るため
失敗を恐れて行動が出来なくなったりするからです。変化への行動をして、失敗してしまうと
今の立場はどうなるのだろうかという気持ちが出てくるのは当然でしょう。若い頃は、見た
こと、聞いたこと、経験したことをどんどん吸収していきましたが、「中年」になると、既知の
ことや経験したことが多くなり、行動する前から、どうなるかを予測してしまい実行しなくなる
こともあります。
このように、多くの中年の方は、変化に対応する行動をとるとき、色々な悩みや迷いが
生じます。しかし、何もしなければ、変化への対応ができるはずはありません。
「変化に対応する行動」をとるためには、まずは、色々なものを「手放す行動」が必要
になってきます。手放すものには、過去の成功体験、年下に教わることへの抵抗感、
しくじることの恥ずかしさなどがあります。これらを捨ててから、「新しい環境に対応して
いく行動」へと移れます。

手放すものには、次のようなものがあります。

○過去の成功体験への固執
成功体験は大事ですが、過去のものです。成功体験の気分をいつまでも持ち続ける
のではなく、手放してしまうことが大事です。成長の糧になるのは、過去の成功体験
ではなく、「成功するために行った努力や行動」です。
○知らないことを聞くのは恥だという意識
「中年」になると後輩や部下に、自分が知らないことを恥ずかしくて聞けないという
気持ちが出てくる人が多くなります。後輩たちに自分の弱みや格好悪い部分を見られ
たくないという気持ちが働くからです。「聞くことを恥だ」と思うより、「知らないままにして
いたり、知ろうとしなかったりすることを恥と考える」いう意識に変えていきましょう。
〇しくじりが恥ずかしいという意識
しくじればしくじるほど、行動したくないという気持ちが強化されます。しくじるぐらい
ならば、何もしない方がいいという論理を作ってしまい、行動しなくなります。「変化に
対応したためにしくじるのが駄目なのではなく、変化に対応しない気持ちが駄目なのだ」
と考え直してください。



5.人事部門や企業が「中年」に対してできること
「変化に対応する行動をする人を大切にする」という経営者のメッセージを発信すること
が大事です。人事部門や企業は、そういう行動をする人が損をしない制度をつくる必要が
あります。しくじりをしたらバツを付けるのではなく、「素晴らしい挑戦だ」と評価してあげる
仕組みをつくることが大事です。「中年」が挑戦する姿を見て、若い世代の人たちも挑戦し、
成長していくはずです。そのようなよい風土を作ること、変化に適応できる企業になる
仕組みを作ることが、人事部門の役割です。



6.連載を振り返って
第1回は「中年」についてのイメージを共有しました。第2回では外部環境変化の把握・
予測が大事であることを、第3回では変化に適応するための「40歳定年制」という考え方を
説明しました。変化に適応していくうえで、第4、5回は「キャリアデザイン研修」で「キャリアの
棚卸し」をし、自己理解や環境理解をすることが大事であることを、そして、第6回は、変化に
適応するためには、まず、手放す行動が大事だと説明しました。この連載のキーワードは、
「変化への適応」です。若い頃は自然に対応できていた「変化への適応」を、「中年」以降は、
意識して実施していく必要があります。その意味を込めて、次のフレーズで、この連載を
終えたいと思います。
「強い者が生き残るのではない。変化に適応できる者が生き残るのだ」
                                          以上

筆者プロフィール
泉田 洋一 氏(中央職業能力開発協会CSCスーパーバイザー)
学習院大学 理学部数学科卒
27年間、IT企業に勤務し、主に、人事、人材育成を担当。SEの新人/若手教育、選抜者研修/昇格者研修、キャリアデザイン研修(27歳、32歳、42歳、55歳)を担当。日本人材マネジメント協会会員。国家資格・1級・2級キャリアコンサルティング技能士。
メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種合格。産業カウンセラー。

『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』(第5回)

中央職業能力開発協会のCSCスーパーバイザー泉田洋一氏が、中央職業能力開発協会のホームページ
「キャリア塾」に2016年7月より2016年12月まで6回にわたり連載された内容をご紹介します。

私(井上雅夫)も中央職業能力開発協会「CSCのためのワークショップ」の公認インストラクターです。
CSCとはキャリア・シフトチェンジのことで、現在40代半ばから50代の方が、シニア世代になっても
職場の戦力として活き活き働くためにはどうしたらよいかを自ら考え、今後の行動変容を促すための研修です。

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『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』(第5回)


1.「中年」とは

この連載では、『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』を、企業/人事部門の観点から紹介していきます。
☆この連載では、「中年」を45歳~54歳ぐらいの方とします。
☆中年期は人生の折り返し地点でもあり、職業人生の折り返し地点でもあります。

前々回は、「中年」は仕事人生の中間地点であり、長い残りの仕事人生を充実するためには
一度立ち止まり、「キャリアの棚卸し」をすることが大切であることを説明しました。続いて、前回は、
「キャリアの棚卸し」の仕方について説明をしました。社員に「キャリアの棚卸し」をしていただくため
に、人事・人材開発部門が中心になって、「キャリアデザイン研修」を実施することがあります。
今回は、この「キャリアデザイン研修」の実施の仕方について、説明します。

2.「中年」向けキャリアデザイン研修でどんな項目を実施するのか?

(1)「中年」向けキャリアデザイン研修実施の目的の説明
キャリアデザイン研修を実施すると、「肩たたき研修」だと思われてしまうことがよくあります。
この研修実施の目的は、「「中年」という仕事人生の半分を迎えた受講者の方々に、残りの
仕事人生を充実したものにして頂く」ことであることを、受講者に理解してもらいます。
できれば、人事担当役員や人事部長から、受講者に直接伝えてもらうのがよいでしょう。
また、受講者の上司にも、書面にて、実施の目的を伝えておき、上司からも受講を勧めて
もらうようにすることが大事です。なお、人事・人材開発部門は、「中年」だけでなく、定年を
迎える方向けのキャリアデザイン研修もセットにした、キャリアデザイン研修体系を作るのが
よいでしょう。
(2)現在・未来-外部環境認識の説明
「中年」の受講者は、社会人になって20年ぐらいでしょう。その間に、世の中がどう変化してきた
のか、そしてこれからどう変化していきそうなのか、それに合わせて会社はどう変わっていこうと
しているのか。受講者も変化に対応してもらう必要があることを説明します。しかし、世の中/
企業が、これからどうなるのかは、予想がつきにくいものです。技術革新を考えると、企業人生
の前半の20年間より、後半の残りの20年間はもっと大きな変化が起こると覚悟してもらう必要
があるでしょう。
(3)現在・未来-自分にこれから起こりそうなことを考えていただく
残りの人生にどのようなイベントが起こるのかを考えて、マネープランを作成します。イベントと
しては、マイホームの購入、子供の進学・結婚等があり、このようなときに、どうしてもお金が
必要になります。また、忘れてはならないのが、親の介護の問題です。子の立場としては、
親の介護は想像したくないことですが、介護離職が多くなっている現在、「中年」の受講者には、
キャリアデザイン研修受講の機会に、しっかり考えておいてもらいましょう。また、親が介護状態
になったときに、親は、家で子に面倒をみてもらいたいと思っているのか、施設に入りたいのか
は、子としては親に聞きづらいものです。しかし、「会社の研修で、宿題として聞いてこいと
言われた」というと、聞きやすくなります。
(4)会社の制度の説明
親の介護や雇用延長に関して、会社の制度を理解してもらいます。制度を知らずに苦しんで
いる社員もいます。人事・人材開発部門としては、このような研修の機会を活用し、制度を周知
させることも大事です。
(5)キャリアの棚卸しとキャリア計画の立案
マネープランを考えたときに、多くの方は働き続けないと生活が出来ないと思うでしょう。働き
続けることは、成果を出し続けることです。成果を出し続けるための強みを、「キャリアの棚卸し」
で見つけます。「中年」になるまでに働いてきたことを振り返り、何が自分の強みなのかを理解
します。前回説明したように、その強みの中に、陳腐化して使えなくなった強みがあるでしょう。
「キャリアの棚卸し」で得た強みを、いつまでに、ブラッシュアップする必要があるのか、何を
新しく身につける必要があるのかのキャリア計画を立てます。
3.「中年」キャリアデザイン研修実施上の問題とその対応

(1)何歳を受講対象者にすればいいのか?
対応:仮に、45歳を受講対象者にしたいと思っても、「まだ、早い」というような意見が多く
出るでしょう。ならば、もう少し上の47~48歳ぐらいから始めましょう。キャリアデザイン研修を
受講すると、自分を振り返ることにより、自己効力感が増していきます。すると、「あの研修は、
いい研修だ」とか、「あの研修は受講しておいた方がいい」という声があがり、「もっと早く
受けたかった」という声が聞こえてきます。そうなった時、少しずつ、受講対象者の年齢を
下げていくのがいいでしょう。
(2)「受講後、会社を辞める人が増えるのではないか?」、「寝た子を起こすな」と言われる。
対応:もし、会社を辞める人が増えると思うのならば、その会社が社員にとって魅力がない
のかもしれません。キャリアデザイン研修の問題ではなく、会社の制度等の問題ではない
でしょうか? まずは、会社の制度、たとえば、人事制度を見直し、魅力的な会社にする方
が先決だと思います。
今回は、「キャリアデザイン研修」の実施の仕方について説明をしました。

次回、最終回は、「中年」のキャリア形成に必要な行動について説明します。
                                                    以上
筆者プロフィール
泉田 洋一 氏(中央職業能力開発協会CSCスーパーバイザー)
学習院大学 理学部数学科卒
27年間、IT企業に勤務し、主に、人事、人材育成を担当。SEの新人/若手教育、選抜者研修/昇格者研修、キャリアデザイン研修(27歳、32歳、42歳、55歳)を担当。日本人材マネジメント協会会員。国家資格・1級・2級キャリアコンサルティング技能士。
メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種合格。産業カウンセラー。

『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』(第4回)

中央職業能力開発協会のCSCスーパーバイザー泉田洋一氏が、中央職業能力開発協会のホームページ
「キャリア塾」に2016年7月より2016年12月まで6回にわたり連載された内容をご紹介します。

私(井上雅夫)も中央職業能力開発協会「CSCのためのワークショップ」の公認インストラクターです。
CSCとはキャリア・シフトチェンジのことで、現在40代半ばから50代の方が、シニア世代になっても
職場の戦力として活き活き働くためにはどうしたらよいかを自ら考え、今後の行動変容を促すための研修です。

CSCのためのワークショップについてはこちら


『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』(第4回)


1.「中年」とは
この連載では、『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』を、企業/人事部門の観点から
紹介していきます。
☆この連載では、「中年」を45歳~54歳ぐらいの方とします。
☆中年期は人生の折り返し地点でもあり、仕事人生の折り返し地点でもあります。

前回は、「中年」は仕事人生の中間地点であり、長い後半の仕事人生を充実させるためには、
一度立ち止まり、「キャリアの棚卸し」をする大切さを説明しました。今回は、「キャリアの棚卸し」
の意味とそのやり方、注意点について説明します。

2.「キャリアの棚卸し」とは

一般に、棚卸しとは、商品・製品などの在庫の数を、実際に数えることです。数える際に、品質の
確認も行います。棚卸しをすることで、陳腐化した商品・製品や入手した時より価値が下がっている
もの、また使えなくなったもの、必要価値がなくなっているものを知ることができます。

「キャリアの棚卸し」では、一般的な棚卸しと似たような考え方をします。「キャリアの棚卸し」は、
これまで自分が携わってきた仕事や学習について振り返り、何ができるのか、どんな経験をして
きたのかを、整理する作業です。

皆さん自身が、一つの企業だと考えると、自分という企業が生き残るためには、どんな「売れるもの
=強味(知識、スキル、経験 等)」を持っているか、「売れるもの=強味」の現在の商品価値を
把握することが必要です。働く人は、「キャリアの棚卸し」を実施し、いつでも、自分の売れるものを
用意しておく必要があります。

3.「キャリアの棚卸し」の仕方

商品・製品は、物体として目に見えますが、知識やスキルは目に見えません。さらに、商品・製品
などの在庫と違い、台帳がありません。これが、一般の棚卸しより、「キャリアの棚卸し」の難しい点
です。
台帳がないのですから、台帳を作ることから、「キャリアの棚卸し」を始めます。台帳を作るために、
これまで自分が携わってきた仕事や学習歴について振り返り、何ができるのか、どんな経験をして
きたのかを、書き出します。
実際には、職務経歴書を用いて、記入していくのが良いでしょう。職務経歴書を書くことにより、
どんな時に、どんな仕事をしたか、どんなことを身に着けたかが思い出せます。人事部門に聞けば、
自分が入社後、どんな部署に在籍していたのかを教えてくれると思います。転職の場合は、過去の
職務経歴書や履歴書が役に立つでしょう。異動の年月を正確に把握する必要はありません。
重要なのは、どんな仕事をしたのかを思い出せることです。
過去、どんな部署にいたのかがわかった後は、どの部署でどんな仕事をしたか、その仕事のために
どんな知識やスキルを身に着けたかを、書き出します。ここで終わりにしてしまう方が多いのですが、
ここからが、重要な作業となります。
一般の棚卸しでは、陳腐化した商品・製品は、破棄するなり、安売りをしたりして、仕入れた時の値段
よりも安くなることがあります。「キャリアの棚卸し」でも、知識、スキルが陳腐化していないか、身に
着けた時点より必要価値が下がっていないか、今も必要とされているものなのかを評価することが
必要になります。世の中の技術革新が急激に進み、過去に身に着けた知識やスキルが不要になって
しまうことさえあるのです。陳腐化する迄の時間がどんどん短くなってきていることは否定できないで
しょう。ですから、自分の強味を、再評価をすることは必須となります。


自分の強味の現在価値を把握しよう


先ほど、どのような知識、スキルを身に着けたか、どんな経験をしたかを書き出しました。それらに
対して、次の3つに分類します。

(1)そのままこれからも使えそうなもの。
(2)ブラッシュアップが必要なもの。
(3)陳腐化して、今は使えないもの。


(1)に対しては、「本当に、このまま使えるのか?」と厳しい目で見てください。
(2)に対しては、いつまでに、どのような状態までブラッシュアップするのか、そのためには何を
したらいいのかを具体的に考えてください。
(3)と認めることはつらいことです。「中年」になるまでの長い時間を掛けて身に着けた知識、
スキルが陳腐化しているとか、不要になったと自分で認めることは、難しいことです。しかし、
この現実を直視しないと前へとは進めません。企業人事の立場から言えば、「過去に何が
できた」ではなく、「今、何ができる(成果を出せる)、成果を出せた」という点で、給与を決め
ます。ですから、「キャリアの棚卸し」をしながら、「この知識、スキルは、いつまで使えるのか?
と、必ず問いかけてください。この問いは、「中年」の方の後半の仕事人生を生き抜くために、
重要なものです。陳腐化した知識やスキルが多いのならば、新しい知識やスキルを身に着け
なければなりません。また、過去に身に着けた知識やスキルが今の仕事ではあまり価値はないが、
他の仕事で役立つのならば、仕事を変えるという選択肢もあるでしょう。これらは、前回、
説明した「40歳定年制」の考え方であるとも言えるでしょう。



今回は、「キャリアの棚卸し」の意味とそのやり方、注意点について説明をしました。社員に「キャリアの
棚卸し」をしていただくために、人事・人材開発部門が中心になって、「キャリアデザイン研修」を
実施することがあります。次回は、「キャリアデザイン研修」の実施の仕方について説明します。

以上



筆者プロフィール
泉田 洋一 氏(中央職業能力開発協会CSCスーパーバイザー)
学習院大学 理学部数学科卒
27年間、IT企業に勤務し、主に、人事、人材育成を担当。SEの新人/若手教育、選抜者研修/昇格者研修、キャリアデザイン研修(27歳、32歳、42歳、55歳)を担当。日本人材マネジメント協会会員。国家資格・1級・2級キャリアコンサルティング技能士。
メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種合格。産業カウンセラー。

『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』(第3回)

中央職業能力開発協会のCSCスーパーバイザー泉田洋一氏が、中央職業能力開発協会のホームページ
「キャリア塾」に2016年7月より2016年12月まで6回にわたり連載された内容をご紹介します。

私(井上雅夫)も中央職業能力開発協会「CSCのためのワークショップ」の公認インストラクターです。
CSCとはキャリア・シフトチェンジのことで、現在40代半ばから50代の方が、シニア世代になっても
職場の戦力として活き活き働くためにはどうしたらよいかを自ら考え、今後の行動変容を促すための
研修です。

CSCのためのワークショップについてはこちら

『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』(第3回)

1.「中年」とは

この連載では、『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』を、企業/人事部門の観点から
紹介していきます。前回までの要点は、次の通りです。
☆この連載では、「中年」を45歳~54歳ぐらいの方とします。
☆中年期は人生の折り返し地点でもあり、職業人生の折り返し地点でもあります。ですから、
中年の場合の中長期視点として、定年・雇用延長というイベントは外せません。
定年・雇用延長と言う大きな節目を、中年期のうちから、しっかり考えておくことが大事です。

今回は、「40歳定年制」という考え方を説明します。

2.「40歳定年制」とは

「40歳定年制」は、2012年7月に、政府の国家戦略会議「フロンティア分科会」で東京大学大学院
教授の柳川範之氏が提言した施策です。

「40歳定年制」という言葉を初めて目にしたとき、「年金支給年齢が65歳に引き上げられるのに、
いや、もっと遅くなる可能性もあるのに、『40歳定年制』って、何をおかしなことを言っているんだ?」
と感じられた方も、多いのではないでしょうか。

≪40歳定年制≫
必ずしも一生を一つの会社で過ごすのではなく、環境や能力の変化に応じて20~40歳、
40~60歳、60~75歳と三つの期間でそれぞれに合った活躍できる働き場所を見つけ、
元気なうちは全ての国民が活き活きと働く社会となる。

「40歳定年制」という言葉が刺激的なため、この言葉を聞いた人は、それだけで否定的になって
しまうかもしれません。しかし、「40歳は、これからのキャリアを再構築する時期」くらいの感じで
捉えれば、納得がし易いかもしれません。75歳まで働く(働かなければならない?)ために、
「40歳定年制」を提言しているのです。

筆者が参加している、日本人材マネジメント協会(JSHRM)のリサーチプロジェクトでは、
「2段階定年制」を提案しています。

≪2段階定年制≫
企業は、従来の60歳定年(第2定年)に加えて、40歳代で第1定年を設定し、60歳定年の60歳まで
十分な時間があるうちに、これまでのキャリアを棚卸し、高齢期のキャリアについて考える機会を
提供し、充実した高齢期に向けて準備させる必要がある。つまり、2段階定年制は、自分で生きる
力をつけ、自分でキャリアを開発する出発点としての「自己発見型」定年制なのである。

「2段階定年制」は、「フロンティア分科会」の「40 歳定年制」と、似たような考え方ですが、
「キャリアの棚卸し」や「キャリアについて考える」という具体策が提案されています。

以前は、定年が55歳でした。その後、定年が60歳なり、現在は65歳迄働き続ける必要がでて
きました。働く年数が増えますが、同じ知識・技能で同一の仕事をこなせる期間は短くなってきて
います。こういう状況を考えると、企業人生の途中で、キャリアをチェンジするという発想は自然
だと思います。

「中年」になる45歳は「仕事人生の正午(折り返し地点)」であると言えます。ですから、「中年」に
なる少し前の40歳代前半に、「キャリアの棚卸し」をし、「中年」以降の働きかたを考えるのは
いいタイミングでしょう。「キャリアの棚卸し」をする際には、その方が社会人になった時代と、
現在の働き方・仕事の仕方、知識・技術、人事制度等、色々な状況・環境が変わっていると言うこと
を認識することが大事です。



3.人事部門が行うこと
企業の人事部門は、中年期に入った従業員に対し、「キャリアの棚卸し」をしてもらう機会を設定
しましょう。人事考課が悪い人、職位の低い人だけを対象にする企業がたまにありますが、
これは避けたほうがよいです。「キャリアの棚卸し」が、罰則のように思われてはその効果が
期待できません。一度、悪い評判がたってしまうと、それを取り戻すのは大変時間とパワーの
かかることです。人事部門は、そうならないようにしなければなりません。
人事部門には、40歳になった全従業員に「キャリアの棚卸し」を実施するというような制度を設ける
ことを推奨します。時間は、平等に流れるのですから、40歳の従業員の方は、皆、20年後、60歳に
なるのです。これは、職位が高かろうが低かろうが変わらないのです。
時間とお金はかかりますが、「キャリアの棚卸し」制度を定着させるには、これが一番いい方法だと
思います。

「キャリアの棚卸し」制度を実施する際には、「何のために、キャリアの棚卸しを実施するのか」を
きちんと説明することが大事です。40歳以降の仕事人生を、より納得いくものにしていただくために
、「キャリアの棚卸し」をするのだということを丁寧に説明しましょう。これを実施しないと「キャリアの
棚卸し」が「ただやっただけ」になってしまいます。
今回は、「中年」は仕事人生の中間地点であり、長い残りの仕事人生を充実するためには、一度
立ち止まり、「キャリアの棚卸し」をする大切さを説明しました。次回は、「キャリアの棚卸し」の仕方
について、具体的に説明します。
                                                      以上

※JSHRM(Japan Society for Human Resource Management:日本人材マネジメント協会)は、
「日本におけるHRMプロフェッショナリズムの確立」を使命に、我が国の人材マネジメントを担う
方々のための会員(年会費制)組織として2000年に設立されました。以来、日本を代表する
人材マネジメントの専門団体として、人材マネジメントに係る方々のための能力向上と
会員ネットワークを活かした情報交換・相互交流、更にグローバルな視点からの各種調査研究・
提言・出版などの諸活動を展開しています。


筆者プロフィール
泉田 洋一 氏(中央職業能力開発協会CSCスーパーバイザー)
学習院大学 理学部数学科卒
27年間、IT企業に勤務し、主に、人事、人材育成を担当。SEの新人/若手教育、選抜者研修/昇格者研修、キャリアデザイン研修(27歳、32歳、42歳、55歳)を担当。日本人材マネジメント協会会員。国家資格・1級・2級キャリアコンサルティング技能士。
メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種合格。産業カウンセラー。

『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』(第2回)




中央職業能力開発協会のCSCスーパーバイザー泉田洋一氏が、中央職業能力開発協会のホームページ
「キャリア塾」に2016年7月より2016年12月まで6回にわたり連載された内容をご紹介します。

私(井上雅夫)も中央職業能力開発協会「CSCのためのワークショップ」の公認インストラクターです。
CSCとはキャリア・シフトチェンジのことで、現在40代半ばから50代の方が、シニア世代になっても
職場の戦力として活き活き働くためにはどうしたらよいかを自ら考え、今後の行動変容を促すための
研修です。

CSCのためのワークショップについてはこちら


『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』(第2回)


この連載では、『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』を、企業/人事部門の観点から紹介
して行きます。初回である前回は、キャリア理論上の「中年」の定義を説明しました。
前回の要点は、次の通りです。

この連載では、「中年」を45歳~54歳ぐらいの方とします。
心理学者ユングは、中年期は、人生の午前から、午後への移行期で、頂点を「人生の正午」と
呼びました。中年期は、人生の後半であり、(本人たちは認めたくはないでしょうが、)下降が
始まる時期ということになります。
キャリア研究者スーパーによると、中年期は、親、家庭人、配偶者、労働者、市民、余暇、学生、
子どもの役割が重複していることになります。つまり、中年は、それだけ多くの役割を担っている、
大変な時期ということになります。
中年期を迎えた多くの方々が、「これからの残りの人生(含む:職業人生)をどうしたらいいのか?
 このままでいいのだろうか? 変わるとすればどう変わっていったらいいのだろうか?」と
思い悩みます。
これを、中年期の危機といいます。

前回の内容から、中年期は、見た目以上にナイーブな時期であることがわかっていただけると
思います。
孔子は、「四十にして惑わず」と言ったそうですが、現在の中年は、迷うことばかりでしょう。
それが普通なのだと思います。今回からは、迷い事/悩みごとの多い中年の方へのキャリア支援
をするには、どのような視点が必要かを説明していきます。


1.キャリアの短期視点と中長期視点

キャリアを考えるには、短期視点だけでなく、中長期視点が必要です。人は、つい目の前の
ことばかりに捉われがちですが、中長期的なキャリアを考え、その後、短期的なキャリアを
考えていくことがよいと思われます。
中年期は人生の折り返し地点でもあり、職業人生の折り返し地点でもあります。ですから、
中年の場合の中長期視点として、定年というイベントは外せません。今は、定年延長後、
雇用延長として働く人が増えました。定年・雇用延長と言う大きな節目を、中年期のうちから、
しっかり考えておくことが大事です。
次に、定年・雇用延長に関する法律である「高年齢者雇用安定法」について簡単に説明します。



2.高年齢者雇用安定法

年金の支給年齢の引き上げに伴い、「高年齢者雇用安定法」が2006年に改訂されました。
要点は、次の通りです。
企業は、次のいずれか1つを選んで実施する義務があります。
  (1) 定年の引き上げ
  (2) 継続雇用制度の導入
  (3) 定年制の廃止

多くの企業は、「(2) 継続雇用制度の導入」を実施しています。
「高年齢者雇用安定法」は、2013年にさらに改訂されました。要点は、次の通りです。

(1) 対象者を限定できる仕組みの廃止
(2) 対象者を雇用する企業の範囲の拡大(グループ企業にまで拡大)


(1)の「対象者を限定できる仕組みの廃止」により、事業主は雇用延長を希望する方全員を、
雇用延長することになりました。勘違いされることが多いのですが、事業主には、雇用延長希望者
の希望通りの労働条件を用意する義務はありません。事業主には65歳までの安定した雇用を
確保する措置を義務付けているだけです。ですから、労働条件で折り合いがつかず、雇用継続に
至らないという場合もあることに注意する必要があります。
雇用延長を希望される方は、「雇用延長後も、今の仕事を続けたい」と希望される方が多いです。
これは、企業にとっても、再教育をせずに、雇用延長前の賃金より安く仕事をしてもらえるので
好都合です。
しかし、今、中年になったばかりの方々が雇用延長になるころには、現在従事している仕事がなく
なっている可能性があります。時代の要求や技術革新にともない、労働者に求められる仕事は
変化していきます。中年の方は、今、仕事ができているからと言って安心せず、時代に変化した
仕事に対応できるようになる必要があります。職業人生の折り返し地点を越しても、常に、
学び続ける姿勢は必要です。



3.これからの大きな変化

「同一労働同一賃金」という考え方が、最近話題になっています。これは、正規雇用/
非正規雇用かに関係なく、同一の労働をしたのならば、同一レベルの賃金を払うべきだとする
考えです。「同一労働同一賃金」を実現するには課題が多いですが、今の中年の方たちが
雇用延長になるころには、実現しているかもしれませんので考えておきましょう。
現在は、雇用延長になると、雇用延長前と同じ仕事をしていても、給料が半分ぐらいになることが
よくあります。しかし、「同一労働同一賃金」という考え方を実施すると、雇用延長前と同じレベル
の給料になります。では、企業はこの「同一労働同一賃金」に対応するのでしょうか? 
次のようなことが考えられます。

(1)雇用延長者の賃金を、雇用延長前の賃金と同じレベルにする。
(2)雇用延長者の業務内容を、雇用延長前の業務内容より、容易/責任の小さなものとして、
      賃金を下げる。
(3)雇用延長前の賃金を下げ、雇用延長後の賃金へのスムーズな移行をする。

現実的には、(1)よりも、(2)や(3)が多いと筆者は予想しています。(2)や(3)になった時の
ためにも、モチベーションをどう維持していくか、マネープランに影響はないかを、中年期から
検討しておくのがよいでしょう。
現在の中年の方が、雇用延長になるころは、今までSFの世界の話だった、ロボットやAI
(artificial intelligence:人工知能)により、仕事の仕方が変わっている可能性があります。
働き続けるのならば、常に、新しい技術を身につけたり、仕事の幅を広げていったりする必要が
あります。
このように、キャリアの中長期的視点を考える際には、外部環境の把握・予測が大事になって
きます。中年になった人は、雇用延長はまだまだ先だと考えているかもしれません。しかし、
避けられない大きな変化が、近くにあるということを認識していただきたいと思います。避けられ
ない大きな変化に対応していくには、自分の強みを伸ばして、エンプロイアビリティを確保していく、
自ら新しい仕事を求めていくしかないのです。
次回は、「40歳定年」という考え方を紹介します。
以上
筆者プロフィール
泉田 洋一 氏(中央職業能力開発協会CSCスーパーバイザー)
学習院大学 理学部数学科卒
27年間、IT企業に勤務し、主に、人事、人材育成を担当。SEの新人/若手教育、選抜者研修/昇格者研修、キャリアデザイン研修(27歳、32歳、42歳、55歳)を担当。日本人材マネジメント協会会員。国家資格・1級・2級キャリアコンサルティング技能士。
メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種合格。産業カウンセラー。

『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』(第1回)



中央職業能力開発協会のCSCスーパーバイザー泉田洋一氏が、中央職業能力開発協会のホームページ
「キャリア塾」に2016年7月より2016年12月まで6回にわたり連載された内容をご紹介します。

私(井上雅夫)も中央職業能力開発協会「CSCのためのワークショップ」の公認インストラクターです。
CSCとはキャリア・シフトチェンジのことで、現在40代半ばから50代の方が、シニア世代になっても
職場の戦力として活き活き働くためにはどうしたらよいかを自ら考え、今後の行動変容を促すための
研修です。

CSCのためのワークショップについてはこちら

『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』(第1回)


今回から、きゃりあ道のコラム「キャリア塾」を担当する泉田洋一です。よろしくお願いします。
私は、27年間、IT企業で人事・人材育成を主に担当し、3年ほど前に退職し、現在は、
キャリアコンサルタントをしています。企業に勤務していた時には、新人研修、昇格者研修、
人事制度の策定、年代別キャリア研修の立ち上げなどを行いました。
また、日本人材マネジメント協会(JSHRM)※のリサーチプロジェクトでは、ライフキャリアチェーン
「ミドル編」に参加、検討していました。

6回の連載では、『キャリア支援の視点から見る「中年の危機」』を、企業/人事部門の観点から
紹介して行きたいと思います。今回は、連載の初回であるので、「中年」について、
イメージを共有していきたいと思います。


1.「中年」の定義

(1)「中年」の年齢的定義
「中年」というイメージは、人それぞれです。しかし、イメージが異なったままですと、この連載の
内容がぼけてしまうと思われますので、ここでは、45歳~54歳ぐらいの方を「中年」とすることに
します。これは、厚生労働省の一部資料が、45歳~54歳となっていることに合わせました。
しかし、「中年」を年齢と言う視点だけで見ていたのでは、中年の方への適切なキャリア支援を
行うことはできません。適切なキャリア支援を行うには、悩み、立場・役割、一般的な傾向等を
理解する必要があります。そのため、ここでは色々な視点から、中年像についてイメージを
共有化しておきたいと思います。


(2)キャリア理論上の「中年」
スイスの心理学者ユングは、人の一生涯を太陽の動きにたとえ、午前は人が上昇してく時期で、
頂点に達すると下降し始める時期だとしました(図1)。中年期は、人生の午前から、午後への
移行期で、頂点を「人生の正午」と呼びました。人生の正午は、人生の折り返し地点となります。
折り返し地点は、ゴールに向かって行くといういい意味で捉えることもありますが、死というゴール
が見えてくる時期でもあります。



アメリカのキャリア研究者、スーパー(Donald E Super)は、一生涯における、役割の始まりと
終わり、相互の重なり合いを「キャリアの虹(ライフ・キャリアレインボー)」(図2)で表しています。

<役割の意味>
親   :子どもから見た自分の役割です。
家庭人:家庭内の仕事をする役割です。
配偶者:夫もしくは妻の役割です。
労働者:仕事/労働をする役割です。
市民  :社会を構成する一員として、社会に貢献する役割です。
余暇   :余暇を趣味やレジャーで、楽しむ役割です。
学生   :学ぶ人という役割です。
子ども:親から見た自分の役割です。

ライフ・キャリアレインボーの図では、中年(「45歳~54歳ぐらい」)は、親、家庭人、配偶者、
労働者、市民、余暇、学生、子どもの役割が重複しています。つまり、中年は、それだけ多くの
役割を担っている、大変な時期ということになります。


2.「中年期の危機」とは
中年期を迎えた多くの方々が、「これからの残りの人生(含む:会社人生)をどうしたらいいのか?
 

このままでいいのだろうか? 変わるとすればどう変わっていったらいいのだろうか?」と思い悩み
ます。これが、「中年期の危機」といわれる状態です。これは、中年期を迎えた人の約8割もが
直面すると言われています。ここをうまく乗り切れないと、うつ病になってしまうこともあるので、
軽視できません。
今回は、キャリア理論から見た「中年」についてお話しました。このようなキャリア理論を学ぶ
ことは、キャリア支援についてとても重要ですが、「一般論的すぎる」、「日本人の中年と諸外国の
中年とは異なるのではないか?」とお感じの方もいらっしゃると思います。
次回からは、日本の「中年」の実態や、企業で働いている「中年」の悩みやその方々のキャリア
支援についてお話をしたいと思います。
                                                                                                                  以上


日本人材マネジメント協会(Japan Society for Human Resource Management =JSHRM)は、
「日本におけるHRMプロフェッショナリズムの確立」を使命に、我が国の人材マネジメントを担う
方々のための会員(年会費制)組織として2000年に設立されました。以来、日本を代表する
人材マネジメントの専門団体として、人材マネジメントに係る方々のための能力向上と会員
ネットワークを活かした情報交換・相互交流、更にグローバルな視点からの各種調査研究・提言・
出版などの諸活動を展開しています。


筆者プロフィール
泉田 洋一 氏(中央職業能力開発協会CSCスーパーバイザー)
学習院大学 理学部数学科卒
27年間、IT企業に勤務し、主に、人事、人材育成を担当。SEの新人/若手教育、選抜者研修/昇格者研修、キャリアデザイン研修(27歳、32歳、42歳、55歳)を担当。日本人材マネジメント協会会員。国家資格・1級・2級キャリアコンサルティング技能士。
メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種合格。産業カウンセラー。

2017年1月14日土曜日

本当の健康寿命は男性82歳、女性85歳

 健康寿命は男性71歳、女性74歳であり、約10年は介護のお世話になるということがよく言われますが、これには健康寿命の考え方に誤解があるようです。
 
 我々が考える健康寿命は男性82歳、女性85歳が正しいようです。
 下記の資料を見つけましたので、興味のある方は一度ご覧ください。
 
 また、一般財団法人生命保険の文化センターの介護に関するデータも興味深いものがありますので参考までにつけておきます。

本当の健康寿命は男性82歳、女性85歳



一般財団法人生命保険文化センタの介護に関する資料

2017年1月13日金曜日

2017年1月における労働基準法関係、税法関係での法改正情報

2017年1月における労働基準法関係、税法関係での法改正情報をまとめました。
①所得税法が改正されました。
所得税法改正内容
給与所得に関する給与所得控除の上限額が230万円から220万円に減額されます。
年額1000万円以上(月額だと833,334円以上)の方に影響があります。1月給与より所得税額が変わりますので、ご注意ください。
②育児・介護休業法が改正されました。
育児介護休業法改正内容
主なポイントとしては
①介護休業に関して、分割取得が可能に
②介護休業の半日単位での取得が可能に
③介護のための短時間勤務の取得要件の緩和
④介護のための残業時間免除の制定
⑤有期契約社員の育休取得要件の緩和
⑥子の看護休暇の半日単位の取得が可能に
⑦育児休業対象となる子の範囲の拡大
⑧マタハラ、パタハラに関する防止措置の新設
になります。細かい改正部分が多いですが、育児介護に関する取扱いの中で、特に介護関係の要件が変わってきていますので要確認です。
③確定拠出年金法が改正されました。
確定拠出年金法改正内容
個人型確定拠出年金の加入範囲が拡大され、これまでの加入対象者に加えて、企業年金加入者・第3号被保険者(専業主婦等)についても、基本的に個人型DCへ加入することができるようになります。今後も確定拠出年金の加入範囲の拡大が考えられます。確定給付的な社会保障から運用実績に応じた確定拠出型への移行は今後も大きく進むと思われます。
毎年1月は法改正の内容が多くなりますので、しっかりと内容ご確認のうえ対応いただく必要があります。

平成29年度税制改正ポイントの概要

昨年12月に「平成29年度税制改正の大網」が発表されました。

今回の大網の大きなテーマとしては、安部内閣が掲げる「一億活躍社会の実現」ですが、その要は「働き方改革」と「イノベーション」の両輪です。

今回は、平成29年度税制改正のうち、個人の所得課税と、法人課税のうち中小企業にかかわる部分について、かいつまんでお伝えいたします。

<個人所得課税> 

・配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し 

「配偶者控除」については、廃止を含めさまざまに議論されてきましたが、所得控除額38万円の適用は、現在の給与収入金額103万円以下から150万円以下に引き上げられました。
平成30年1月に再度見直しが予定されています。
また、控除対象が増えて税収が減ることを避けるため、世帯主の「所得制限」が導入されました。
給与収入金額1,120万円超えから段階的に控除額が低減し、1,220万円を超えると対象から外されます。高額収入世帯にとっては増税となります。

・積立NISAの創設 

現行NISAよりも非課税で長く投資できる「積立NISA」が創設されました。開始は2018年1月からの予定です。年間非課税枠40万円、非課税で保有できる期間は購入時から最大20年間で、現行NISAの5年から大幅に延長されました。2018~2037年の20年間は新規で投資を行うことができます。

<法人課税> 

・中小企業者等の法人税率の特例の延長 

中小企業等に係る法人税の軽減税率(租税特別措置15%)については、年800万円以下の課税所得金額を有するすべての中小事業者等が対象となっています。適用期限が2年間延長し、平成31年3月31日以前に事業年度が開始する企業まで対象となりました。

・所得拡大促進税制の見直し 

今回の税制改正で、平均給与等支給額が前年度比2%以上増加した場合の、中小企業の税額控除の拡充が決まりました。今までは大企業、中小企業ともに雇用者給与等支給増加額の10%でしたが、中小企業については22%に増加します。賃上げを検討している中小企業には朗報です。

・中小企業経営強化税制の創設 

中小企業の稼ぐ力を向上させる取り組みで、*「経営力向上計画の認定」を受けた青色申告書を提出する中小企業者等は、「即時償却」と、取得価額の7%の「税額控除」(特定中小企業者等は取得価額の10%の税額控除)のいずれかを選択できるという優遇措置です。税額控除限度額は法人税額の20%で、控除限度超過額は1年間繰越が可能です。

*「経営力向上計画の認定」についての詳細は、中小企業庁のHPをご確認ください。
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/


<まとめ> 

今回の税制改正が実施されれば、国・地方を合わせて421億円の減税になると言われています。これまで別々だった優遇措置税制が統合されたイメージですが、まだ決まっていない部分もあります。ご不明な点については、専門家におたずねください

2017年1月4日水曜日

2017年1月号 事務所通信をアップしました。

事務所通信 2017年1月号
1.平成29年1月からの制度変更
  ①雇用保険法の改正、②育児・介護休業法の改正、
  ③社会保険におけるマイナンバーの取扱い
2.与党、税制改正大綱を決定
3.年金の受給資格期間の短縮
4.お仕事カレンダー1月

2017年1月号 事務所通信はこちら 

同一労働同一賃金のガイドライン案が公表


 今月20日、総理大臣官邸で第5回「働き方改革実現会議」が開催され、かねてから話題の「同一労働同一賃金の政府のガイドライン案」について議論が行われました。その案が固まったとのこので、ホームページ上で公開されました。
 会議の冒頭、安倍首相は、今回の同一労働同一賃金のガイドライン案の趣旨を次のように述べたというです。
・基本給が、職務に応じて支払うもの、職業能力に応じて支払うもの、勤続に応じて支払うものなど、その趣旨・性格が様々である現実を認めた上で、それぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を求める。
正規労働者と非正規労働者の間の不合理な待遇差を認めないが、我が国の労働慣行には、十分に留意したものとした。
・また、その対象も、基本給、昇給、ボーナス、各種手当といった賃金にとどまらず、教育訓練や福利厚生もカバーしている。
中小企業の方にも分かりやすいよう、問題とならない例、問題となる例として、事例も多く取り入れた。
 今後、このガイドライン案を基に、法改正の議論を行い、パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法の改正に向けた作業に入る見込です。
詳しくは、こちらをご覧ください。
<第5回働き方改革実現会議資料>
・同一労働同一賃金ガイドライン案
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai5/siryou3.pdf