「キャリア塾」に2016年7月より2016年12月まで6回にわたり連載された内容をご紹介します。
私(井上雅夫)も中央職業能力開発協会「CSCのためのワークショップ」の公認インストラクターです。
CSCとはキャリア・シフトチェンジのことで、現在40代半ばから50代の方が、シニア世代になっても
職場の戦力として活き活き働くためにはどうしたらよいかを自ら考え、今後の行動変容を促すための研修です。
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前回は、「中年」は仕事人生の中間地点であり、長い後半の仕事人生を充実させるためには、
一度立ち止まり、「キャリアの棚卸し」をする大切さを説明しました。今回は、「キャリアの棚卸し」
の意味とそのやり方、注意点について説明します。
2.「キャリアの棚卸し」とは
一般に、棚卸しとは、商品・製品などの在庫の数を、実際に数えることです。数える際に、品質の
確認も行います。棚卸しをすることで、陳腐化した商品・製品や入手した時より価値が下がっている
もの、また使えなくなったもの、必要価値がなくなっているものを知ることができます。
「キャリアの棚卸し」では、一般的な棚卸しと似たような考え方をします。「キャリアの棚卸し」は、
これまで自分が携わってきた仕事や学習について振り返り、何ができるのか、どんな経験をして
きたのかを、整理する作業です。
皆さん自身が、一つの企業だと考えると、自分という企業が生き残るためには、どんな「売れるもの
=強味(知識、スキル、経験 等)」を持っているか、「売れるもの=強味」の現在の商品価値を
把握することが必要です。働く人は、「キャリアの棚卸し」を実施し、いつでも、自分の売れるものを
用意しておく必要があります。
3.「キャリアの棚卸し」の仕方
商品・製品は、物体として目に見えますが、知識やスキルは目に見えません。さらに、商品・製品
などの在庫と違い、台帳がありません。これが、一般の棚卸しより、「キャリアの棚卸し」の難しい点
です。
台帳がないのですから、台帳を作ることから、「キャリアの棚卸し」を始めます。台帳を作るために、
これまで自分が携わってきた仕事や学習歴について振り返り、何ができるのか、どんな経験をして
きたのかを、書き出します。
実際には、職務経歴書を用いて、記入していくのが良いでしょう。職務経歴書を書くことにより、
どんな時に、どんな仕事をしたか、どんなことを身に着けたかが思い出せます。人事部門に聞けば、
自分が入社後、どんな部署に在籍していたのかを教えてくれると思います。転職の場合は、過去の
職務経歴書や履歴書が役に立つでしょう。異動の年月を正確に把握する必要はありません。
重要なのは、どんな仕事をしたのかを思い出せることです。
過去、どんな部署にいたのかがわかった後は、どの部署でどんな仕事をしたか、その仕事のために
どんな知識やスキルを身に着けたかを、書き出します。ここで終わりにしてしまう方が多いのですが、
ここからが、重要な作業となります。
一般の棚卸しでは、陳腐化した商品・製品は、破棄するなり、安売りをしたりして、仕入れた時の値段
よりも安くなることがあります。「キャリアの棚卸し」でも、知識、スキルが陳腐化していないか、身に
着けた時点より必要価値が下がっていないか、今も必要とされているものなのかを評価することが
必要になります。世の中の技術革新が急激に進み、過去に身に着けた知識やスキルが不要になって
しまうことさえあるのです。陳腐化する迄の時間がどんどん短くなってきていることは否定できないで
しょう。ですから、自分の強味を、再評価をすることは必須となります。
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自分の強味の現在価値を把握しよう
先ほど、どのような知識、スキルを身に着けたか、どんな経験をしたかを書き出しました。それらに
対して、次の3つに分類します。
(1)そのままこれからも使えそうなもの。
(2)ブラッシュアップが必要なもの。 (3)陳腐化して、今は使えないもの。
今回は、「キャリアの棚卸し」の意味とそのやり方、注意点について説明をしました。社員に「キャリアの
棚卸し」をしていただくために、人事・人材開発部門が中心になって、「キャリアデザイン研修」を
実施することがあります。次回は、「キャリアデザイン研修」の実施の仕方について説明します。
以上
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