2016年9月23日金曜日

パソコン使用規定、スマホ使用規定のお勧め


就業規則見直しの必要性

個人のスマートフォンからのネット投稿が原因で、会社の信用が低下したり、閉店に追い込まれたりというニュースが続いたこともありました。
会社が業務上の必要から従業員に貸与しているパソコンやスマートフォンは、本来、業務外の使用が認められない会社の物品です。
個人の所有物の使用を規制するのは困難でも、会社の物品なら合理的な範囲内での規制が許されます。会社を守るためにも、また安易な私的利用で従業員が非難されないためにも、就業規則に使用規程を加えることが必要でしょう。 

企業秘密の漏えい防止

インターネットの私的利用によって、ウイルスに感染する可能性が高まります。ウイルスに感染した端末から企業秘密が漏れることもあります。
就業規則には、私的利用の禁止を明確に定めましょう。これと連動して、懲戒規定にも修正が必要となることがあります。
また内容的には重複するのですが、パソコンやスマートフォンの貸与をする場合には、私的利用をしない旨の誓約書を提出してもらうのが有効です。 

意図的なデータ持ち出しの防止

うっかりウイルスに感染した結果、意図せず企業秘密が流出するというのではなく、名簿会社に売却する目的で顧客データを盗み出すという事件も発生しています。
この場合には、会社から貸与しているスマートフォンを私的に利用するのではなく、個人所有のスマートフォンを不正に使用することが問題になります。
今やUSB接続の充電ケーブルは、そのほとんどがデータ転送ケーブルを兼ねています。ですから、スマートフォンを充電しているのだと思いきや、データを盗んでいるということもありえます。
さらには、パソコンとスマートフォンの間でデータをリンクさせるのに、無線で行うということも普通に行われています。
こうしてみると、社外に流出しては困るデータの入ったパソコンを扱う従業員は、スマートフォンを持ち込めないというルールにする必要が出てきます。

モニタリング規定

労働時間中は、労働者は使用者の指揮命令下に置かれています。
これを使用者の側から見れば、労働者の業務を監視するという関係にあります。
ですから、本来、会社は従業員に貸与しているパソコンやスマートフォンの中にあるデータを確認する権限をもっているわけです。
とはいえ、会社が端末内のデータを確認するとまでは思っていない労働者が、端末内にプライベートなデータを残すかもしれません。
この場合に、会社には権限があるということで、プライバシーをあばいてしまったら、会社の方が非難されるかもしれません。
そうならないように、就業規則には、会社が端末内のデータを閲覧できる旨を規定し、きちんと周知しておきましょう。
さらには、企業秘密を管理する従業員が、データファイルをメールに添付して送信するということも考えられます。こうした危険を考えると、端末の使用履歴もチェックしなければなりません。 

少しでも安心するためには

就業規則の見直しというと、総務・人事の担当者が中心に改定案を作ることになるでしょう。しかし、こうした従業員が、端末でのデータ管理についての専門知識を持ち合わせていることは稀でしょう。
結局、労務管理についての専門家とデータ管理・ネットワーク管理の専門家とで、よく話し合い、打ち合わせを繰り返して就業規則の見直しを進めることが必要になります。
もし、社内に専門家がいないのであれば、社外の専門家の力を借りてでも、就業規則の改定や運用の定着を図る必要があります。
ここまでやって、初めて少し安心できるというのが、日本の現状なのです。

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